アメ横のある上野にやってきました
おっちゃんを狙え!
おっちゃんは年の瀬のアメ横にいるだろう、と思い上野にやってきた。
現場はなかなかのおっちゃん率。上野公園の階段からスナイパーのように写真を撮りまくる。
ここでおっちゃんを定義づけよう。今回は「見た目が45歳以上」ということにして上限は設けなかった。
おじいちゃんもバンバンその枠に入ってくるのだが、私の想像する「おっちゃん」像と変わらなかったのでそのままにした。
なので今回はおっちゃん像にはおじいちゃんも入ってる。
地獄のおっさんカウンティング
おっちゃんを数えろ!
そして3時間が経過し、600枚近い写真を撮った。晴れたとはいえ寒く、体は冷え切った。
帰宅後地獄のおっさんカウンティング作業が始まった。600枚の写真の中から395人のおっさんをチェックした。
まずチェックしたのは服の色。この日は寒く、おっさんたちは皆上着を着ていたので上着の色をチェックした。
これでおっさんの間で何色が流行っているのかわかるはずだ。
おっちゃんの流行色は黒
こうして見ると、黒強し。おっさんの流行色があるなら断然、黒。それもたぶんあと30年くらいは黒がつづくと思われる。
アメ横にあった紳士服店では暗い色が多い
地味に生き抜くハトの色だ
アメ横にあった紳士服店「ドヴステーラー」では、調査結果そのままのような服が並んでいた。暗く、重く、はなやいだ世界から一線引いた諦念の色とも言えるような服がぶら下がっている。
それにしてもドブス、すごい名前だと思ったらDoves、ハトのことなのだ。
そういえばおっさんはハトなのかもしれない。平和の象徴の白いハトではなく、都会で生き抜くためにできるだけ目立たないようにしたあの灰色のハト。
おっさん、それは生き延びてきた人たち。おっさんの服の黒さは生き抜くための知恵なのだ。
黒のダウンは60人/395人中
おっさんの上着を分類するのは不可能に近い。「コート」「ジャンパー」と大きな枠でしか言えないようなものばかり着ている。
そして注目すべきはダウンの92人。ほぼ4人に1人がダウンを着ている。ダウンといえば暖かさ最強、見た目はおいといて機能性最高な上着だ。
おっさんと機能。これも生き抜くための知恵なのだろう。
そして「黒い」×「ダウン」を着ている人はなんと60人。6人に1人が黒いダウンなのである。
生き抜くための黒い色と、生き抜くための機能主義をかけあわせた黒いダウン。
うむむ、長生きとしか言いようなないではないか。あれはもはや鶴や亀といった長寿の象徴としての黒いダウンなのである。
ジーパンかスラックスか
おっさんにジーパンは意外と多い。そして折り目が入ったズボンも多い。スラックスというやつだ。
「あんな不良が履くもの!」とばかりに、右派(スラックス)と左派(ジーパン)に別れて今も戦っているのである。
ジェームズ・ディーンが死んだのは、遠い昔ではない。
野球をしない野球帽
帽子のトップはダントツで野球帽型。野球選手かというほどに、野球帽をかぶっている。
しかも野球帽でありながら、野球チームの帽子は2つ(50個のうち)しかなかった。ヤクルトと阪神のものである。
あとは野球もせずに野球チームですらない、在野の野球帽、野良帽といってもいいような帽子たちである。
ここでもミニ企画としてもう少し深く見てみよう。「おっさんの帽子には何が書かれているのか?」である。
おっさんの帽子には
何が書かれているのか?
「あいまいな言葉」編
世界ゲーム。デスノート的なスケールのでかい話である。
「特別な、選手権、国際的」大きな声でなんにも言ってない。
確認できる文字は「取っ組み合う」「自然」そして大きく「爆発」である。なんだ、どうしたのだ。
「走る走る」もしくは「ランラン」。そういうおっさんの名前なのかもしれない。
おっさんの帽子には
何が書かれているのか?
トロフィー編
先ほどの帽子もそうだが、おっさんの帽子にはトロフィーみたいな柄が多い
「アメリカ合衆国」と書かれているようだ。
おっさんの帽子には
何が書かれているのか?
若者向け編
「ディスコ・ガール」人間は自分と遠く離れたものを愛する傾向がある
「マイノリティ」そうか、がんばろう、と応援したくなるような帽子である
おっさんの帽子には
何が書かれているのか?
個性の時代編
軍艦が好きなんだろうな
ゴルフの聖地「セント・アンドルーズ」。好きなんだろうな。
DKNYが好きなんだろうな
「恐竜を発見」と書かれている。きっと著名な古生物学者なんだろうな
広い
「ブライアン・セッツァー・オーケストラ」というバンドのことなのか、「ボール、ストライク、アウト」表記のことなのか
おっさんの帽子はトロフィーっぽい
なんだか妙に「トロフィーっぽい」という印象が残った帽子探索であった。
さあ、本題に戻ろう。最後にカバンと靴に関してだ。
セカンドバッグを持ってる人は2人
おっちゃんってセカンドバッグとか持ってそうだな、と思ってたが調べてみると2人しか持ってないのだ。
結果は肩がけカバンが圧倒的人気。若者とあまり変らない結果である。
おっちゃん靴といえば歩きやすそうな革靴
おっさんの靴は速そうだ
そして靴だ。おっさんの靴は速そうなのである。
まず圧倒的多数を誇る「歩きやすそうな革靴」がまず革靴のくせに速そうである。
そしてスニーカー派の中でも一大勢力を誇るハイテクスニーカー。これが「おっさんの靴が速そう」の最たる理由である。
ハイテクスニーカーが3つ並んだときは、思わずため息がもれた
まとめ「これがおっちゃんの格好だ」
以上のような調査を踏まえて、これがおっちゃんの格好だというスタイルを完成させた。
どうぞ、ご覧いただきたい。
ものすごくイメージできつつある
なんだかありそうだぞ、これ。「こっちの方があったかそうだしな」「こっちの方が速そうだしな」で選んでいったら、すぐにでもおっさんになれそうだ。
振り返ってみれば、おっさんは機能主義なんじゃないかという思いが強く残った。
おっさんの美というものがあるとしたらそれは機能美のことで、フェラーリが美しいのと同じ感覚でおっさんが美しいのかもしれない。
そして私はおっさんになる
さあ、イメージできてしまった。
おっさんってなんでああなるのかわからないよな~、みたいな余裕も消しとんでしまった。気を抜けばすぐにでもおっさんになるぞ、これ。
ただ一つ気になるのは、うちの父が持ってたようなドル札ジャンパーがなかったことだ。もしかしたら東京だから、ということもあるのかもしれない。
そうか、ああ、そうか。あれはジャンパーじゃなかったのでは(!)という疑念が今湧き上がった。
そうだ、うちの父はドル札を貼りつけて生きていたのではないか、という疑惑である。次回、「ドル札でみのむし化した父の正体」を乞うご期待。