カフェテラスだそうな。喫茶店の様な定食屋の様な雰囲気。
新橋 ポンヌフ
1軒目はサラリーマンの街、新橋のポンヌフ。 新橋駅前ビルの1階にある。店内に入ると店員さんがたくさんいて一瞬怯んだ。昼前でまだ空いていて、客より店員の方が多かった。
注文はもちろんナポリタン。値段は600円。
金属の皿で出てくるのが昭和っぽくて良い。
懐かしい味だ
具は、ハム、玉葱、缶詰のスライスマッシュルーム。スパゲティはかなり柔らかめでフニャフニャ。アルデンテ?そんなの関係ねー!みたいな気概すら感じる。これぞ昭和のナポリタンだ。すげぇ美味い!っていう感じじゃないけど懐かしい。
子供の頃東京のデパートで食べたナポリタンを思い出した。ああ、これこれ、みたいな。思えば、昔のスパゲティは絶対に茹で置きだった。ミスター味っ子のスパゲティ対決を読むまで、アルデンテとか茹で上げとか全然知らなかったし茹で置きが普通だと思ってた。
味は結構な濃い目で、トマトピューレがたっぷり使われている。白いごはんを食べたくなる濃さだ。
ごはん欲しくなる味だ。
食べながら他の人の注文を聞いていたが、一番人気のメニューはハンバーグスパゲティ、800円。+200円でナポリタンにハンバーグが付くならお得である。殆どの人が注文していた。
中には、ハンバーグスパゲティの白ってメニューを頼んでる人もいた。そんなのもあるのか!ちなみに白の正体は、ケチャップ無しのナポリタンである。それはそれで美味そうだ。
新橋駅にある立ち食い蕎麦の「ポンヌッフ」。カフェテラスのポンヌフとは違う店である。両方とも「新(ヌッフ)橋(ポン)」という意味のフランス語だが。
昼時は行列が出来てます。
2軒目も新橋、むさしや
ポンヌフがある 新橋駅前ビルとは新橋駅を挟んで反対側、ニュー新橋ビルの1階にあるのが「むさしや」だ。カウンターのみの小さな店で、昼時に行ったら中年男性の行列が出来ていた。
注文は、ナポリタンにミニハンバーグトッピング(+200円)。ポンヌフでハンバーグ熱が出てしまい、ついトッピングしてしまった。
ピーマンが入っております。なぜか味噌汁付き。松屋か!(牛丼の松屋もなんにでも味噌汁を付ける)
具は少なめでシンプル。洋食のそえ物スパゲティをたくさん食べてる感覚。
スパゲティに歯ごたえがある
具は、ピーマン、ベーコン、玉葱。マッシュルームは入ってない。あくまでも主役はスパゲティであり、具は少なめ。
壁に貼られた新聞記事の切り抜きによると、量は600g。でも食べた感じそこまで多いかなぁ?という気がしなくもない。
バターをたっぷり使っているのでコクがあるそうだ(よくわからなかった)。ポンヌフのナポリタンと比べるとスパゲティの食感が固めっていうか、ちゃんとコシが残っている。
煮込みハンバーグは柔らかくてソースもコクがあり美味いので、ここで食べるべきはハンバーグとご飯とナポリタンを楽しめる「ハンバーグ丼700円」なんじゃないかと思います。やっぱ白いご飯食べたくなる。
こっから30分並んだ。左に見切れてる妻は「あたし無理」って言ってマクドナルドに行った。
3軒目は銀座、ジャポネ
どんどん行くよ。
新橋を離れて次はジャポネ。銀座インズ3、マクドナルドの隣である。昼時に行ったのが悪かった様で行列が出来ていた。むさしや同様、主に中年男性がずらりと並んでいた。おじ様達は本当にナポリタンが好きですなぁ。
お店はカウンター席のみで、見てると一人前の量がかなり多い。その為に回転が悪くて行列になってしまうようだ。
食べてる人達は一様に無言でスパゲティと格闘していた。この殺伐とした雰囲気はラーメン二郎に似ている。そうか、ここは修行飯(※)の店なのだ。
※…修行っぽい食事の事。行列が長いとか量が多いとか殺伐としているとか、一見(いちげん)が知らないルールがたくさんあるとかそういうやつ。
行列は角を曲がってまだ続いていた。
席はサラリーマン達でみっしり。
並び始めてから30分待ってようやく着席。
「ナポリタンを大盛りで」と注文した。本当は普通盛りを頼むつもりだったのだけど、みんなが大盛りを頼むので雰囲気に負けてつい大盛りにしてしまった。普通盛りを頼んだら負けかな、って思っちゃう辺りがまさに修行飯である。
ナポリタン大盛り650円。普通盛りは500円。凄い量だ。そして、なぜか緑の葉っぱがたくさん入っている。
推し具は小松菜とシイタケ。
具がナポリタンっぽくない
大量に乗っている葉っぱは小松菜。あと、海老、しいたけ、玉ねぎが入ってる。シイタケとか小松菜とか、僕がイメージするナポリタンの具とはだいぶ違う。
他のメニューもシイタケと小松菜が必ず入ってる。ナポリタンぽくはないが、小松菜のシャキシャキした歯ごたえがアクセントになっていて意外に嬉しい。
麺は太めで、柔らかさはここまででトップ。味の濃さもトップレベルで、具のデタラメ加減と相まってジャンク具合がすごいのだ。ジャンクナポリタンナンバー1といえる。
異常に熱くて量も多く、食べきるのがなかなか大変だった。やはり修行飯、食べに行くには覚悟が必要となる。並ぶ覚悟と食べきる覚悟と口を火傷する覚悟。食べ終わったら汗だくになった。
食べきれるかかなり微妙だったが頑張って完食した。
どうも脱脂粉乳入りの粉チーズらしい。
ちょっと面白かったのが粉チーズで、なぜかクリープのような味がした。パルメザンチーズではない、なにか別の物だった。
調べてみると、QBBの業務用粉チーズで脱脂粉乳が混ざっているらしい。なるほど、道理でクリープみたいな味がしたわけだ。
粉チーズが妙だったり、小松菜とかしいたけとか入れちゃったり、そういうデタラメ加減が面白い店だと思った。
店名のロゴが似ているが、小岩井農場に名前を借りてるだけで、経営は全然別らしい。
4軒目は大手町、リトル小岩井
大手町、丸ノ内線の改札近くにあるのがリトル小岩井。以前からナポリタンが美味いと聞いていたので行ってみた。
店内はテーブル席のみで14席。基本相席なので入ったら空いてる席に適当に座ればいい。
ナポリタンは510円。いい加減お腹もいっぱいなので普通盛りにした。大盛りは50円増し。なお、別盛りってメニューがあるけど、それはキャベツの漬け物単品の事です。
安いけどベーコンたっぷりで美味しそうです。キャベツの漬け物が付きます。
これ、超美味い。
喫茶店のナポリタンである
具はベーコン、玉ねぎ、マッシュルーム、ピーマン。たっぷりのトマトピューレで味付けされていて、僕がイメージする「喫茶店のナポリタン」に一番近い。
510円と低価格ながら具が多くて美味い。太めの麺は柔らかすぎず、といってアルデンテの様に固すぎない。ここまでの4軒で一番好きな味だ。
客層はやっぱり中年男性に偏っていて、同僚や上司に頼まれたのか沢山のスパゲティを持ち帰りで買っていくサラリーマンもいた。
具だくさんです。
粉チーズでジャポネを思い出した。
粉チーズがジャポネと同じだった
テーブルには粉チーズが入った器があって、スプーンでどばどば入れられる。粉チーズって買うと意外に高かったりするので随分気前がいいなぁ、なんて思って掛けたらジャポネの粉チーズと同じクリープの味がした。
B級グルメに詳しい友達の話では、ジャポネはリトル小岩井から生まれたのだそうな。暖簾分けみたいなものか。なので同じ粉チーズを使っている、と。
おそらく店名のジャポネはリトル小岩井にあるメニューのジャポネに由来する。しょうゆ味のスパゲティだそうな。という事はジャポネの看板メニューはナポリタンではなくジャポネだったのかも知れない。まぁいいか。
1号店は渋谷ですが、ちょうど用事があったので神田店で。
5軒目は神田、スパゲティのパンチョ
4軒行ったしもういいかな、って思ったんだけど4は不吉な響きがあるのでもう1軒。渋谷、神田、御徒町などにあるパンチョに行ってみた。
入り口の看板に「改めてナポリタンはうまいと言わせたい!」と書かれていた。全体的に気合い過剰な雰囲気がある。
食券を買って店員さんに渡す。この店、実は小盛りも普通盛りも大盛りも値段は同じ。ただし、普通盛りの時点でかなり多いので「初めての方は大盛りはお控え下さい」と書かれている。迷わず普通盛りにした。
普通盛りですでに多い。量はジャポネと同じくらいかな。
「朝ごはん」という名前のメニューがあるらしい。大雑把なネーミングにしびれた。
人気No1というナポリタン目玉焼き、普通盛り。ちょこちょこ焦げてる雑さが良い。
友達の家でご飯食べてるみたい。
初めて来たけど食べた事ある味だ
運ばれてきたナポリタンを食べてみると、初めて来た店なのに「あ、この味知ってる」って思った。僕は学生の頃アパートで一人暮らしをしていたのだけど、よくナポリタンを作って食べていた。安上がりだから。
これは大体そういう味だ。具は玉葱、ソーセージ、ピーマン。結構焦げてたりしてお店で食べているとは思えない雑な味わいである。
が、それが嫌じゃない。店内の雰囲気と併せてなんだか懐かしく感じられて嬉しい。
店内が色々面白い
入り口の看板やメニューも面白い店で、ナポリタンが出来るのを待っている間キョロキョロと店内を観察してしまった。
写真でザザッとご覧ください。
650円のナポリタン、結構な量があります。
「うまいもんはカロリーが高いんだよ」という共感できるコメント。
80年代の人んちみたいな店内。
やたらでかいタバスコ。同じのがジャポネにもあった。
壁にはなにやら名言っぽいものが。
たしかに言ってみたい。
調味料は「マヨ様」と「飽きたらかけるタレ」。
飽きたらかけるタレを掛けたら味が変わって、なんだかよくわからないけど美味くなった。旨味と油と辛味のタレです。多分。
細かいネタがいちいち面白い変わったお店だった。テーブルにはビール1杯無料券ってのがあって、次回来たときに使えるらしい。また今度、ナポリタンで懐かしくなりたくなったら行ってみようと思う。今回行った5軒のうちでは、一番居心地がよかった。
こうしてリピーターになってしまうのだ。
家でナポリタンを食べよう
以上の5軒を巡ってナポリタンを食べまくってきた。個人的な好みではリトル小岩井が好きだが、どれも懐かしくて味が濃くて量が多くて麺がフニャフニャで美味しかった。
でもわざわざ出かけて食べるのも面倒くさい。という事で、家で美味しいナポリタンを食べてみよう。
まず普通にスパゲティを茹でるのだが、アルデンテなんてもっての他なので茹で時間は標準プラス2分。7分で茹で上がるパスタ、おっと違った、スパゲティなら9分茹でる。
お湯に塩は入れない。たっぷりのケチャップで味付けするから。
茹で上がったらサラダオイルをまぶす。
茹で上がったスパゲティにはサラダオイルをまぶして混ぜておく。茹で上げスパゲティでいきなりナポリタンを作ってはならない。そんな事したら台無しだ。
最低でも1時間はざるに放置するのがポイントだ。もう冬だし、なんなら一晩寝かしてもいい。
具はお好みで。ジャポネに敬意を表してシイタケも用意してみた。
たっぷりのケチャップで味付けしましょう。
具はピーマン、玉ねぎ、ベーコン、缶詰のマッシュルームなどが定番。ここで、最近スーパーで見かけるからって生マッシュルームとか使っちゃダメ。缶詰じゃないとあの味は出ない。
具と麺を強火で炒めて味を付ければ完成。強火で具や麺が多少焦げるくらいが良い。ナポリタンは雑に作った方が美味しく出来ると思う。
味付けはケチャップ、または業務用スーパーで売ってるトマトピューレ。普通はケチャップで良いと思います。量は量らず目分量でやっちゃってください。
これで515gある。結構な量だ。一人分の材料費はえーと、150円くらいかな。
うはー、うめー。
クリープを掛けてジャポネ風。
家ナポリタンはトッピングし放題
家にあるあらゆる物でトッピングし放題なのが家ナポリタンの良い所。ジャポネやリトル小岩井の粉チーズが好きなら、クリープをぶっかければいいし、ピザ用チーズとか、カゴメのうま辛ドライトマトなんかも美味い(パンチョの飽きたら掛けるタレに似てる気もする)。具入りラー油も合うよ。
自分好みの味付けにして、心ゆくまでナポリタンを楽しんでください。
ピザ用チーズを掛けると美味いよ。
さすがカゴメ、トマトの旨味と酸味が凝縮されたエライ美味い瓶詰めを作りやがった。
懐かしさでお腹いっぱいになりたい時に、ナポリタン
ナポリタンを食べると言う事は、懐かしさを味わうという事である。
若い頃食べた喫茶店のナポリタン。家族で東京に出かけて、デパートのレストランで食べたナポリタン。学生時代に彼女が作ってくれた、色々焦げたナポリタン。お互いに口の周りが真っ赤になって笑ったり。
ナポリタンを口に運ぶたびに、ナポリタンの味と匂いが過去の記憶を呼び覚ます。
年々変わっていく自分や他人、社会と比べて、いつもずっと変わらないナポリタンの記憶。ナポリタンを食べる事で思い出されるキラキラした記憶や情景。
それを味わうためにサラリーマン達はナポリタンに行列するのかも知れない。とりわけ、なぜだか年末はナポリタンを食べたくなって仕方ない。
もうすぐ2011年も終わり、懐かしさを食べに行ってみてはいかがでしょうか。行くのが面倒くさければ、家ナポリタンで。子供に「アルデンテじゃないのー?!」なんて文句言われながら。