見てきてジャーニーとは?
「
ちょっと見てきて」のなかで、なかなか見てきてくれないところを、デイリーポータルZのライター陣が旅をしながら見てくる企画です。
お待たせ! Android版いまでました
パンパカパーン!
ひと月ほど前に衝撃の登場を果たした「ちょっと見てきて」のiPhoneアプリ。
Andoroid版はいつ出るんだ、はやく出せとの声に応えて、当初年内との発表から大幅に早まって、ついに本日リリースの運びとなりました。
当サイトの場合、年内と発表したら1月くらいにずれ込むのが常なのですが、予定よりも早くリリースできたところに、我々のやる気を感じていただければと思います。
なのでAndroidをお持ちの方は、やる気に押される感じでいますぐインストールしてください。
手の中に収まる見てきて
iPhone版にはない「一覧表示」も
Android携帯にインストールしておけば、ちょっとした暇つぶしにもなるし、近くの「見てきて」を見てきたら、だれかから感謝されるかもしれません。
ひとから感謝されるなんて、そうそうあることじゃありませんよ。
僕なんか勤労感謝の日に勤労したにもかかわらず、誰からも感謝されなかったくらいですから。
もちろん僕も、見たいわを見てきて、だれかに感謝されるべく、アプリをインストールします。
ガツサシのうまい居酒屋さん
東あずまは東吾嬬であって「ひがし東」ではない
というわけで、ちょっと見てきてアプリをインストールしたAndroid携帯を持って、見てきてジャーニーだ。
今回は、だれかの思い出にきざまれた、うまそうなものを見てこよう(いや、食べてこよう)と思っている。
まずは、焼き鳥とガツサシがうまいというお店にいってみよう。
はじめて降りる駅
電車を乗り継いでやってきた東あずま駅。
僕の生活圏からは離れており、はじめて訪れる駅だ。
東京に住んで10年、わりとあちこち出歩く方だが、まだいったことのない町はたくさんある。
見てきてジャーニーのためというよりは、知らない町散歩のつもりで駅前を歩いた。
クリーニング屋さんの店頭には作業を生中継するディスプレイが(消灯中だったけど)
ぱくぱくという名の弁当チェーン
まずは人に聞く
「ちょっと見てきて」の担当として、これまで何度か見てきてジャーニーの記事を書いてきたが、まず「見てきて」の場所を見つける一番簡単な方法は、地元の人に聞くことである。
その時、今までだったら「見てきて」のページをプリントアウトして持っていかねばならなかったが、Androidアプリ(と、iPhoneアプリ)になったので、直接その画面を見せて、近所の人に聞くことができる。
古くから住んでいそうな人に、「あのー、すいません。このお店を探してるんですけれど…」と聞いてみると、かなりの確率で情報を得ることができる。
お茶屋のご主人が知っていた
この二階にあったよ
駅近くにあるお茶屋さんのご主人にきいたところ、まさしくこのショッピングモールの、二階に「めおと」は入居していたそうである。
けれども、もう十年も前にお店は閉めてしまったそうだ。
この二階に「めおと」があった
ご主人によると、店を閉めたあとも「めおと」のマスターとママはこの近所にお住まいだそうだ。
二階に上る階段のところにテナントを表示した看板があったのだが、そこにうっすらと「炭火焼 酒処 めおと」という文字が見えた。
具体的にどこがその店だったのかはわからなかったが、たしかにこのビルにあったのは間違いなさそうである。
うっすらと「めおと」の文字が
おそらくこのへんがお店だった
今はスカイツリーが見えます
投稿者のtota さんが通われていたころはまだなかった、スカイツリーがお店の前からにょっきりと見えた。
お店がまだあったら、ガツサシを食べようと思っていたのだが、残念ながらそれは叶わなかった。
お店があったあたりからスカイツリーが見えます
なめたけ入り玉子焼き
続いては、東あずまのお隣小村井駅にやってきた。
こんどのうまそうな見てきては気さくなママのいる、あこう鯛となめたけ入り玉子焼きがおすすめの店だ。
こちらもさきほどと同じtota さんの投稿である。
tota さんとは、たぶん食べ物の趣味が近いんじゃないかと思う。
交番で聞いてみるも情報は得られず
「あのへんにあったよ」という地元の方
あのへんにあったんだけどねえ
まずは駅前の交番で「沢井屋」を尋ねてみたが、飲食店名一覧には載っていなかった。
お店があるらしき場所を探し歩いていたところ、家の前でゴルフの練習をしている方がいたので、聞いてみた。
すると「あの先のあたりにあったんだけど、ずいぶん前になくなってしまったよ」という情報が。
「俺もよく行ってたんだけどねえ、いい店だったよ」とこの方も懐かしんでいる。
教えられた場所に行ったところ、お店のことを知る方がいた。
ちょうどここにあったのよ
いまは「ハイカラ軒」に
グリーンのコートが素敵な小母さまに聞いてみたところ、ちょうどこの場所、いまは「ハイカラ軒」が入っているお店が、沢井屋だったとのことだ。
こちらも10年ほど前にお店をたたまれたらしい。
今はお食事とコーヒーの店になっていた
ハイカラ軒はちい散歩やアド街など、テレビでも取り上げられる人気店のようだ。
この日もネクタイ姿のサラリーマン数名が入店していた。
おなかもすいていたので入って食べちゃおうかとも思ったが、tota さん(たぶん食べ物の趣味が僕と近いんじゃないかと思う)の思いでの店ではないのでがまんすることにした。
反対側から。となりの「びっくりそば」も気になる
ちい散歩とアド街で取り上げられたらもう完璧じゃないか
さあ、つぎこそうまいものにありつきたい。
めざすは「塩辛」である。
おいしい塩辛が食べられる定食屋
いい感じの商店街を通って見てきた
空腹のまま向かった先は西新井である。
ひとつ手前の梅島駅の方が近そうだったのでそこで降り、目的地に向かったところ、途中の商店街がとても賑やかで素敵だった。
近所の「見てきて」を見てくるのもいいが、こうやって知らない町にやってくると、「見てきて」以外にも発見があって楽しい。
そういう面でも、スマートフォンにちょっと見てきてアプリが入っているのは、とても便利だ・
うまそうな持ち帰りの天ぷら屋さん
天井から釣り銭カゴがぶら下がっている八百屋は久しぶりに見た
魅力的なお総菜を店頭に並べている店がいくつもある中、とりわけ目を惹いたのが「鶏皮餃子」というのを置いている焼鳥屋さんだ。
こりゃうまそうだ、という僕の感が働いた。
じつをいうと、あまりにおいしそうなので帰りに買って食べてしまったのだけれど、このために梅島までまた来ようかと思うほどにおいしかった。
豚の角煮もうまかったぞ
光陽楼発見するも…
さて、投稿の場所に行ってみたところ、「光陽楼」と書かれたお店が見えた。
やっとうまいものにありつけるかと思いきや、シャッターが下りているではないか(なので帰りに買い食いをしてしまったのだ)。
僕は生姜焼きも大好物で、さらには塩辛もたまらなく好きだ。
もう完全にビールと塩辛のつもりでいたので、愕然としてしまった(なので帰りに買い食いをしてしまったのだ、くどいようだけれども)。
閉まっているじゃないか
10年も前に閉店しましたよ
塩辛、塩辛と嘆きつつ、お隣のたばこ屋さんに聞いてみたところ、もうかれこれ10年ほど前にお店はたたんでしまったそうだ。
その後お店の方がどうしたのかはわからなかった。
ずっと前に店を閉めましたよ
ちなみにこの撮影を頼んだ友人も生姜焼きが好きで、「おごるから」という条件で同行してもらっていた。
大食漢の彼は僕以上に落胆していた(なので帰りに買い食いを…)。
あー、塩辛
おじちゃんが作るチキンカツ
チキンカツを求めて自由が丘にやってきました
こんどこそ本当に「うまいもの見てきて」にありつきたい。
一段と強い思いで向かったのは、自由が丘にあるというコロッケやチキンカツがうまい定食屋さんだ。
トンカツの影に隠れがちなチキンカツではあるが、僕は大好きである。
あのじゅわっとした肉汁とぷりぷりの肉は、トンカツにはまねできまい。
ただ、この投稿も15年前に通っていたという「見てきて」なので、はたして営業しているのかどうか、心配ではある。
さすが自由が丘、路地もオシャレ
やっとありついた
駅前の細い商店街を進むと、右手に「瀬戸」という看板が見えてきた。
やった、あった。
4軒目にしてやっとうまそうな見てきてにたどり着くことができた。
さっきの買い食いもうまかったのだが、やはりだれかの思い出に裏打ちされたうまさを味わってみたい。
やっとありつける
お店の入口にメニューが張り出されていた。
投稿文にあったコロッケもチキンカツもあるので、この店に間違いないだろう。
のれんをくぐると、60代後半と思われるご夫婦が、カウンターの中で、てきぱきと働いていた。
ここに間違いなさそうだ
じっくりと揚げたぷりぷりすぎるチキンカツ
迷うことなくチキンカツを注文した。
マスターが油の様子をみながら、じっくりと揚げている。
カウンターの隣では、常連さんらしきサラリーマン二人が、ママと会話を楽しんでいる。
もうそろそろ待ちきれない、と思ったくらいのタイミングで、マスターはチキンカツを油から上げた。
そこへママがささっと茶碗にごはんを装う。
こういう、あうんのコンビネーションにお店の歴史を感じる。
チキンカツは、口から伝わり落ちてしまいそうなくらいの肉汁で、ぷりぷりすぎるほどぷりぷりだ。
そのぷりぷりさときたら、いまにも「ダイヤモンドだね~」と歌い出しそうなくらいである。
投稿者ujin さんの思い出も加わって、いままででいちばんのチキンカツになった。
ごはんもみそ汁もうまかった
うまいものにありつけるかもしれないアプリ
今回は4打数1安打の成績だったが、最後はホームランで締めくくることができた。
やっぱり、だれかの思い出となっている食べ物は、知らずに食べるよりもずっとおいしい。
うまさが何割も上乗せされているのだ。
こんなふうに、ちょっと見てきてアプリは、使い方によっては、隠れたうまいものにめぐりあうことができるアプリなのだ。
うまいものを食いたいと思ったら、グルメクチコミ系のアプリもいいけど、「ちょっと見てきて」も役に立つのである。