もうちょっとうまくできるかも
完成度は高くないけど、一応、紙にはなった。さらに最初にスライスするときの厚みとか、発酵の時間とかを試行錯誤すれば、このやり方でもけっこう丈夫な物ができそうな気がした。今回だけで2週間くらいかかったのでもうやりませんけど。
というわけで、シリーズ「古代文明に学べ」、次回は「水晶でドクロを作ろう」です。おたのしみに!(やりません)
電子書籍だの出版不況だのと、出版をめぐるアレコレが話題だ。しかし最新のトピックで頭がいっぱいの私たち、ここらで原点に立ち返ってみては、と思うのだ。
原点に返れ、というのは文明規模で解釈すると「古代文明に学べ」ということになると思う。
そういうわけで、シリーズ「古代文明に学べ」、第一回となる今回は、古代エジプトに学ぶ「パピルス紙を作ろう」です。
※2010年7月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。
パピルスというのはナイル川に生えている背の高い植物のことで、古代エジプトではこれを使って紙を作っていた。英語のペーパーはこのパピルスが語源だそうである。(できた紙のこともパピルスと呼んだりするけど、今回は区別のためにパピルス紙と呼びます。)
僕はパピルスを見たことないのでどんな植物だかよく知らない。知らないからそのへんに生えてる雑草とどう違うのかもよくわからないし、違いがわからないということは「そのへんの草でもできるんじゃねーの」という気になってくるのも無理のないことではないだろうか。
「古代文明に学べ」などと題しておきながら、エジプトに対して大変なめた態度で挑んでいる。
古代、文明は川の近くに栄えた。川は水源であると同時に、重要な水上交通ルートでもあったからだ。
ひるがえって現代、我々にとって交通と言えば道路である。ナイル川流域に生えるパピルスに見立て、国道沿いに茂る雑草を収穫した。
ちなみにパピルス紙の作り方は「パピルス 作り方」で検索するといろいろ出てくる。今回はいくつかのサイトのやり方をミックスして、我流で作業を進めている。
パピルス紙は和紙のようにすいて作るのではなく、薄く割いた茎を格子状に並べて作る。よって今回も茎の太い草を探した。
この雑草、名前はわからないがすごいレベルでどこにでも生えている。街路樹のふもと、道路の脇、放置された花壇、公園の隅っこ、…などなど。これだけ豊富な資源があれば文明を支える記録媒体となりうるだろう。
切っていると、この草が非常にくさい。いやこの草に限ったことではないのかもしれないけど、これだけ大量に葉を削いでいると、いわゆる草いきれというか、草むら独特の匂いがあるじゃないですか。あれを凝縮したような強烈なにおい。あのにおいが鼻に残って、1週間以上経った今でも僕はプチトマトが食べられない。ヘタの部分から同じにおいがするから…。
あと作業が終わってから休憩していたら、地面に置いてた軍手に大量のアリが群がっており震撼した。
なんかわかんないけど、成長力以外の部分でも異様にパワフルなのだ。雑草。
続いてできた棒を薄くスライスしていく。
切り始めてすぐに気づいたが、これはアレだ。明らかにパピルス紙に向いてない。
だって茎が固すぎて、薄くスライスなんて到底うまくできない。薄さ2mmが目安って書いてあったけど、縦半分に割るのが限界。しかも真ん中へんはフワフワと綿状になっていて全然繊維っぽくないのだ。
先に今後の工程を紹介しておくと、これを数日間水につけて発酵させ繊維を柔らかくしたあと、格子状に並べて圧迫し、乾燥させるとパピルス紙の完成。
素材は色こそ緑だが、触った感じはほとんど枝。カゴ編みならともかく、こんな工程で紙には絶対ならないだろう。ミキサーでも使えば別かもしれないけど。
ここまであからさまにダメだと、結果がでるまでの1週間を憂鬱にすごすことになる。僕の明るい週末のために、保険をかけておきたい。
自分の雑草を見る目にすっかり自信を失ったので、ちがうアプローチで身近な植物を探した。野菜だ。
このまま数日間、発酵させる(と言えば聞こえはいいけど、要するに腐らせる)。
雑草は1週間、野菜は3日間待った。保険をかけたおかげで、心配事のない楽しい週末も過ごせた。社会人生活、こういうの大事ですよねー。
野菜部門はなんとなく期待できるような仕上がりになっていて何よりである。続いて本命の(はず)(だった)雑草。
野菜を投入した時点でこちらにはまったく期待していなかったので、特にがっかりとかはないです。淡々と作業をすすめた。
そして二日後。重しが適当(水入りバケツ)だったのが今ごろになって気になっているのだが、果たしてプレスはうまくいっているだろうか。
薄く延ばされたうえに色も茶色っぽくなり、想像していたパピルス紙にだいぶ近づいてきた気がする。
そして次はいよいよ最後の工程。これを乾燥させるのだ。
翌日。
この時点では布と一体化していて、成否の判断に迷うビジュアル。ゆっくりと分離します。
いやー、もろい!ビジュアル的には野菜クズとパピルス紙の中間くらいまで行ったと思うんだけど、強度のなさはオブラート以下。もっと繊維が密で、太さも太ければよかったと思うのだが、そのへんが本家パピルスの強みなんだろう。
最後に、整形してより紙っぽくしてみた。
完成度は高くないけど、一応、紙にはなった。さらに最初にスライスするときの厚みとか、発酵の時間とかを試行錯誤すれば、このやり方でもけっこう丈夫な物ができそうな気がした。今回だけで2週間くらいかかったのでもうやりませんけど。
というわけで、シリーズ「古代文明に学べ」、次回は「水晶でドクロを作ろう」です。おたのしみに!(やりません)
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