特集 2011年10月4日

Windowsのファイルコピーを生で見たい

あの世界的に有名な動きをこの世に出したいと思います
あの世界的に有名な動きをこの世に出したいと思います
Windowsでファイルをコピーすると紙が飛ぶアニメーションが表示される。その途中で紙が「くるん」とするのだ。

あれが不思議だ。いったいどうなっているのだろう。あんな風に飛ぶ紙を見たことがない。

だが、あの「くるん」の実物を見てみたい。
そして「ああこれね。これを表していたのね」と腑に落ちたいのだ。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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これです

紙が飛んで「くるん」となる動きとはこれである。仕事中にぼんやり眺めることも多い。これまで眺めた時間を合計したら「北の国から」の1シーズンぐらいにはなっているかもしれない。
右斜め上に飛び出して中央で「くるん」、そして右下に
こんな動きは実際にあるのだろうか。デザイナーがアニメーションとして見栄えがする動きを作っただけかもしれない。
いや、もしかしたらマイクロソフトの人が風の強い日に書類を飛ばされて偶然あの動きを見た可能性もある(そして天啓とも言える動きをOSに入れたのだ)。

しかし書類を飛ばして偶然あの動きになるのを待つと50年ぐらいかかりそうなので(ドラえもんでならば無人島でひげもじゃになるぐらいの時間)、自分で再現することにする。

「くるん」をよく見てみる

アニメーションをひとこまずつ書き起こすと以下のような動きになった。
「くるん」の分解画像
「くるん」の分解画像

小見出し

これでもよくわからない(とくに真ん中のあたり)ので裏面に色をつけて分けてよく見てみる。
前半
前半
後半
後半

ベリーロールなのではないか

走り高跳びでいうベリーロールのような動きをしている。ファイルコピーはベリーロールだったのだ。背面跳びに追いやられてポジション的には9人制バレーのような位置にいる飛び方である。

言い忘れたがこの「くるん」は最新のWindows7には入ってない。ビルゲイツもベリーロールという昭和の匂いに気づいたのかもしれない(注:もうビルゲイツはWindowsを作ってません)。
ファイルの「くるん」あらためベリーロールを斜めから見た想像図
ファイルの「くるん」あらためベリーロールを斜めから見た想像図
たぶん斜めから見たらこんなことになっているのではないか。
右下のめくれ始めるところに注目してみると進行方向に対してねじのように回転しているようだ。
めくれる角の動きをオレンジで描いてみた
めくれる角の動きをオレンジで描いてみた
紙を一定の方向に引っ張って、めくれるところをねじれるように引っ張れば紙を「くるん」と飛ばせるかもしれない。なるほど、見えたぞ!
材料を買ってきた。オールユザワヤである。
材料を買ってきた。オールユザワヤである。
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結果からご覧ください

まずは四の五の言わず結果から見ていただこう。これがWindowsのファイルコピーの「くるん」の実写版だ。
………。ものすごい期待はずれ感。いま多くの人がこのページから離脱しているのが見える。僕には見える。

いや、待って欲しい。あのファイルコピーのアニメーションはやっぱりデフォルメされたもので、本物は荒々しいのだと考えることはできないだろうか。

クレイアニメーションのピングーはかわいいが、本物のペンギンは魚ばかり食ってるので生臭い。漫画のYAWARAと実際にヤワラチャンと呼ばれていた選手が違うことも僕らは知っているはずだ(それがいいとかわるいとかではなく、リアルはそういうものだ)。

トリックが魚用

いいわけを並べてみたがやっぱりこれはない。敗因としては見えにくいと思って用意した素材がよく見えたことだろう
紙をつっているテグス
紙をつっているテグス
紙を引っ張るアクリルの棒
紙を引っ張るアクリルの棒
魚だとこれら透明な素材が見えなかったかもしれないが、このサイトの読者層は魚類ではない(主なターゲットはF1層と魚類です、なんて言ってみたいものだ)。

あとなんといっても全体の雰囲気を陥れているのが
人力でーす
人力でーす
しかしこれをモーター駆動にしたところで、この荒々しさはぬぐえないだろう。モーターを使ってもピングーは現れずにギーギーいう生臭いペンギンが登場するだけだ。
そんな産業革命的なペーソスはいらない。

次の方法

プランBである。もう糸はあきらめた。
ひとコマひとコマ、紙を作ることにした
ひとコマひとコマ、紙を作ることにした
しかし紙が完全に折れているのではなく、ふわっと丸い感じで固定するのが意外に難しく時間がかかった。
(大変だったのでふたつ上の「人力でーす」の写真より幅を100ピクセル大きくした)

できあがったものを壁に貼ってみよう。
Windows 6(階の会議室の壁)
Windows 6(階の会議室の壁)
なんというか、インスタレーションみたいではないか。インスタレーションの意味は分からないが検索もせずに勢いで書いている(いま検索したけどよくわからなかった)。

横からみたWindowsのファイルコピーである。
ファイル送る側のフォルダ視点「ファイル送ったよー」
ファイル送る側のフォルダ視点「ファイル送ったよー」
ファイル受け取る側のフォルダ視点「あー、きたきたー」
ファイル受け取る側のフォルダ視点「あー、きたきたー」
こんなダイナミックなことをしていたのか。1ギガのファイルコピーはさぞかしたいへんだろう。重いぶん慣性がついてそうだ(イメージ)。

ではこれを動かしてみたい。
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腑に落ちよう

並べて貼った紙を1枚ずつ貼ってアニメーションにしてみた。

これがWindowsでコピーをするときの「くるん」の実物だ。トラディショナルなアニメーションGIFでごらんいただきたい。
「くるん」とはつまりこういうことだったのか
「くるん」とはつまりこういうことだったのか
そしてこれが誰も見たことがなかった、Windowsのファイルコピーを斜めから見たようすである。
なかなかに大変そうな動きである
なかなかに大変そうな動きである
もうファイルのコピーに「残り 1時間」と出ても怒らない。Windowsの気持ちを大田区でいちばん分かっている男である。

1時間もかかるのかと思って別の作業をしていると、こっそり「残り時間 5時間」と締め切りを延ばすのもまるで自分を見るかのようである。

早いバージョン

ちなみにこれはグレーの壁で撮ったもの
ちなみにこれはグレーの壁で撮ったもの
右下のテーブルに貼りかえたファイルが現れたり消えたりしている。うっかり写り込んでしまったのだ。
それを越えてまでも載せたいファイルのスピーディーさである。
やりきった0時過ぎ
やりきった0時過ぎ

手が切れた

紆余曲折あったが、Windowsのファイルコピーの「くるん」を見ることができた。コマ撮りしているときは本当にこれで見えるのかと半信半疑だったが、フォトショップでアニメーションにしてみたら見えた。

結局コンピュータのなかでしか見えてないのではという指摘は野暮である。

ファイルコピーを再現しているときに紙で少し手を切ってしまった。Windowsもきっと血まみれだろう。OSはたいへんである。
どうやって実現しようかのメモ。テグスという間違った方法が書いてある。
どうやって実現しようかのメモ。テグスという間違った方法が書いてある。
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