特集 2011年9月29日

久留米の地獄や極楽に行こう

駐車場、だだっ広い。
駐車場、だだっ広い。
先日、福岡へ旅行に行ってきた。事前に周りにおすすめスポットはないかと聞いていたところ、「久留米に地獄がありますよ!」という情報が。

え、久留米に地獄!?調べてみるとそこは『大本山 成田山久留米分院』。たまにB級スポットとしても取り上げられてたりする場所だ。

ついでに調べていくと出てくる単語がなんかおかしい。
「インド村」だとか「地獄極楽館」だとか・・・
「白豪には直径30センチの純白板に3カラットのダイヤモンドが18個ついてます」とか。
とにかく気になったので見に行くことにした。
島根県生まれ。毛糸を自在に操れる人になりたい。地元に戻ったり上京したりを繰り返してるため、一体どこにいるのか分からないと言われることが多い。プログラマーっぽい仕事が本業。(動画インタビュー

前の記事:こんにゃくゼリーを溶かして振る舞う

> 個人サイト それにつけてもおやつはきのこ

お台場ガンダム3個分強、牛久大仏の半分

成田山久留米分院の巨大観音は高さ62メートル。結構遠くからも見えるんじゃないかな・・・と思いつつ、久留米駅からバスに乗る。

ずっとバスの窓の外を眺めつつ、でかい仏がいつ現れるかいつ現れるかと構えていたが、バス乗車30分後、すぐ近くまできてやっと見えた。
62メートルって意外と近くまで行かないと見えないのか。確かに20階建てのビルぐらいと言われれば、そんなに遠くからは見えないか。
どう考えても早めに構えすぎてたか。
はじめてきた久留米駅。駅前がきれい。
はじめてきた久留米駅。駅前がきれい。
成田山最寄りバス停は三軒・・・じゃなくて二軒茶屋。
成田山最寄りバス停は三軒・・・じゃなくて二軒茶屋。
ちなみに小野さんの記事(超巨大仏を見て混乱する)に出てた「牛久大仏」は120メートル!え?この倍??

ついでに、見に行った時に大きいという印象だった、以前お台場に居た等身大ガンダムとも比較してみたところ、ガンダムは18メートルなので成田山の巨大観音の3分の1以下??え、そんなに小さかったのかあのガンダム!

巨大なもの同士の大きさの比較って全然見当がつかないものだなーと思う。
比率としてはこのぐらいの差!
比率としてはこのぐらいの差!
こう比較すると全く訳が分からなくなってくる
こう比較すると全く訳が分からなくなってくる

意外にまだ築30年弱

インド風の建物と仏像が見える以外は、ごく普通の地方の住宅地といった風景だ。
これが住人にとっては当たり前の風景なのか、と思うと慣れってすごいなぁとも思うが、この仏像は昭和57年に建造されたものらしいので、そんなに古いものでもない。
突然こんな大きなものが現れてさぞかし町は騒然としたのでは・・・と勝手に想像する。
周辺は普通の住宅地
周辺は普通の住宅地
建物の間から見えた「古着屋 西海岸」が気になった
建物の間から見えた「古着屋 西海岸」が気になった

何故か幼稚園に迷い込む

大仏が遠くから見えてはいるが、どこからどうやって近づけばいいのかよく分からなかった。
バス停からちょっと歩き、寺院へ繋がる一本道を見つければあとは分かり易いのだが、どういう訳か施設に辿り着くまでにすごく時間がかかったのだ。まず最初、隣接している幼稚園の方へ迷い込んだ。


仏像の真横に幼稚園がある、ってことはそこの園児はこれを当たり前の風景として育つってことか・・・など考えつつ通過。
あのネズミに徐行を促される
あのネズミに徐行を促される
インドっぽい建造物のすぐ隣がまさかこんなことに
インドっぽい建造物のすぐ隣がまさかこんなことに
間違ってたので幼稚園からは引き返し、更にウロウロ。なんとか正式なルートを見つけ、入場した。
どうして発見できなかったのか分からないほど分かり易い入口だったので、これから行く方は幼稚園に迷い込む心配はそんなにされなくて良いと思う。
通常の入口。どう見ても入口。
通常の入口。どう見ても入口。
インド風建造物の隣の建物の前には福の神
インド風建造物の隣の建物の前には福の神
地獄館ってなんだ
地獄館ってなんだ
近づくとこの異国感!周りは普通の住宅地なのに。
近づくとこの異国感!周りは普通の住宅地なのに。
更に至近距離!今倒れてこられたらアウト。
更に至近距離!今倒れてこられたらアウト。

仏像の足元から入る

この仏像は中に入って肩の辺りまで登れるらしい。そして、地下通路から地獄極楽館、歴史館(別館)へと繋がっているという説明を受けた。

さて、入ってみるか。
こっちこっち!
こっちこっち!
飛び込め観音様!
飛び込め観音様!
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撮影NGなので展示物をスケッチしつつ

軽い気持ちで入口に入った瞬間ビクゥゥゥッ!!!!
全然心の準備をしてない状態で、静まり返った薄暗いフロアに仏とそれを崇め奉る色んな国籍の色んな時代の人にいきなり現れられたらもう・・・・
唐突すぎて、変な汗がじわじわ出てくる。

施設の展示物の撮影はNGとのことだったので(下の写真は後々許可を得て撮らせて貰えた)
とりあえず詳細をメモしておいて、記事内ではそれを元になんとかしよう・・・とスケッチを開始するも、多分この仏像の中に今居るのは自分ひとり・・・。(この施設へは一人で行きました。)
「全地球帰依拝仏の像」があらわれた!!
「全地球帰依拝仏の像」があらわれた!!
おお・・・・おおおおお・・・ おおお・・・・
おお・・・・おおおおお・・・ おおお・・・・
(※展示物を観覧している自分の様子等については編みぐるみを代用してます)
本当に誰一人としてこの建物(というか仏像の中)には居ない状況でずっとこれの前に居ると、気分的に「スケッチなんて急いで終わらせて次に進もう・・・」という気になる。
というかなんでスケッチしてるんだっけ・・・という気分に。
これを後々どうする気だ・・・という殴り描き
これを後々どうする気だ・・・という殴り描き
すごく遠巻きに描く
すごく遠巻きに描く
壁隔てて反対側には「全く同じ大仏の周りに動物」というバージョンもあった。
ドドーーンとどうぶつ!!え、どうぶつ!?
ドドーーンとどうぶつ!!え、どうぶつ!?
薔薇加えてる。なぜ。
薔薇加えてる。なぜ。
わくわく動物ランド・・・
わくわく動物ランド・・・
フロア内には完全に一人だったが、小さい子供を連れた若い親子連れが入ってきた。
子供は最初ご機嫌だったが、「早くおうちに帰りたい」「こわい」と突然泣き出した。
動物エリアでその鳴き声は嗚咽・号泣へとシフトチェンジ。もうただ事じゃないという雰囲気の中地獄エリアへと続く地下道へ移動していったが、あの子、大丈夫だっただろうか。
通り過ぎるまでひっそり待機するしかない
通り過ぎるまでひっそり待機するしかない
そういや全動物の種類も書き記してたんだった
そういや全動物の種類も書き記してたんだった
ちなみに、この仏や動物のエリアの掃除は一年に一度、年末にするらしい。(この後話を聞いた住職さん談。ついでに施設全体は毎朝20人ほどで掃除を行うらしい。)

大仏に登ってみる

今のこの展示物は仏像の1階フロアだったが、ここから肩の辺りまで階段で登ることができる。
上までずっとこんな景色
上までずっとこんな景色
たまに出現する施工当時の写真。劣化してて全く分からない。
たまに出現する施工当時の写真。劣化してて全く分からない。
ここまで誰も人がいないと、逆に「誰か居たらどうしよう」と恐る恐る進んでいく中で、大量の仏像やお供え物が突然現れるとちょっとビクッとし、だんだん一人で肝試しでもしているかのような感覚が芽生えてくる。

頭まではビル20階相当ぐらいの高さだが、肩まででも結構な高さだ。
事前に受付で「上まで行くのにどのぐらいの時間かかりますか?」と尋ねたところ、「早い人は3分ぐらいで行きますよ」と言われた。いや・・・タイムアタックをしてるんじゃあるまいし、いくらなんでもそれはないだろう・・・と思いつつも登り続ける。
空気が篭ってて結構暑い。(まだ屋外もじめっとしていて暑い日だった。)
鳩が入るから締め切りか。暑い。
鳩が入るから締め切りか。暑い。
たまに出現する拝むためのエリア。下階の方では地獄絵図だが登っていくに連れて極楽浄土の絵になっていく。
たまに出現する拝むためのエリア。下階の方では地獄絵図だが登っていくに連れて極楽浄土の絵になっていく。
そして、ビル4~5階分は登ったかなぁ。ちょっと疲れてきた・・・と思ったぐらいのところで、「ようやくひざですよ」のお知らせがきた!え、まだ膝!!?
まだ膝部分・・・・。先は長い・・・。
まだ膝部分・・・・。先は長い・・・。
こんな風に定期的にどの辺りに居るか知らせてくれる。
こんな風に定期的にどの辺りに居るか知らせてくれる。
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めざせ!仏の肩!

だいぶ登ったところで自分の背丈ほどの穴を発見。恐る恐る入る。
これまでに仏像のみならず地獄絵図、かと思えばお供え物(ぬいぐるみ)など、出現するものが全く予測不能だったため、どうしても行動が「恐る恐る」になってしまっていた。
中に何があるのか読めなさすぎる
中に何があるのか読めなさすぎる
ハイハイ、穴にはいるよー
ハイハイ、穴にはいるよー
小さい窓がふたつ
小さい窓がふたつ
必要以上に慎重になっていたところで、入ってみたら「あら?窓だけ?」という拍子抜けの結果ではあったが、普通すぎる部屋にちょっと安心。

そういえば今どの辺にいるんだろう・・・・??
途中、今どの辺りを登っているのかという情報は「ひざ」「子供部分」という程度にしか与えられなかったので、ゴールがどの辺か全然見えずに登り続けていた。

窓から見えたパーツはなんだろう?と思ってたが、改めて見直してみると、もしかしたら子供の頭部分かもしれない。
熊本方面。・・・というか横から見えてるのは何のパーツだ・・・・・。
熊本方面。・・・というか横から見えてるのは何のパーツだ・・・・・。
この辺りかもしれない。
この辺りかもしれない。
そしてここからちょっと進むとすぐに展望室に到着。

やっぱり「早い人は3分」って、どんだけダッシュして登ったらそうなるんだろう・・・というぐらい長い道のりで、着いた頃には汗だくだった。
ここがゴールか・・・・!!(BGM:サライ)
ここがゴールか・・・・!!(BGM:サライ)
展望室から見れるのは久留米市街地方面
展望室から見れるのは久留米市街地方面

地獄へのルート、地下へ降りる

展望室から元の大仏が動物や人間に崇められている展示物がある1Fフロアに戻る。
そしてそこから更に地下に降りると「地獄 極楽館」「歴史館」へと通じる地下道がある。
振り返れば大仏がいる
振り返れば大仏がいる
次は手描き壁画エリア。横にあった真っ暗なトイレが不気味だった。
次は手描き壁画エリア。横にあった真っ暗なトイレが不気味だった。
中国の説話とそれに関する絵が描かれたメインの通り
中国の説話とそれに関する絵が描かれたメインの通り
かと思えば二宮金次郎
かと思えば二宮金次郎
この絵だけTシャツにプリントしたい。
この絵だけTシャツにプリントしたい。
地下道の壁には中国の説話の本文が貼ってあり、そのエピソードが壁画となっていた。

暫く歩いていると彫刻壁画ルートへ入り、それを抜けると次のエリアに辿り着くのだ。

展望室まで登った疲労もあり、ここはボーーッと眺めつつ通過。
そしてこの地下ルートを抜けると・・・・・!?
そしてこの地下ルートを抜けると・・・・・!?
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つぎは歴史館・地獄館へ

次々と登場する非日常に、何が普通で何がどうなのか・・・という判断力が落ちつつある中、次に現れたのは天然宝石作り歴史館。え、宝石!?
つぎはこれだ
つぎはこれだ
中にうっすら見える地獄館はまたあとで。
中にうっすら見える地獄館はまたあとで。
この歴史館、古代(というか神話の頃)から明治維新までの流れを天然石を使ってざっくりと説明してあるのだ。

と言ったところで「なんの話だ」という感じかと思うので、ざざっと写真を見てもらおう。
天照大御神
天照大御神
ヤマタノオロチ!
ヤマタノオロチ!
全部宝石・・・?ってどういうことだ。
全部宝石・・・?ってどういうことだ。
頬がほんのりピンク・・・
頬がほんのりピンク・・・
その後この調子で平安、鎌倉、室町についてはそれぞれ1~2シーンずつぐらい登場。石でここまで!?と驚くほど細かく作られている。

そして戦国のあの人たちが2Dで登場。平面画。・・・いや、「画」じゃないか。
あの3人だよホトトギス
あの3人だよホトトギス
え、え・・・・宝石でこのクオリティ・・・!
え、え・・・・宝石でこのクオリティ・・・!
最後は明治維新の志士たちの像。

見てるうちに、こんなにすごい物が並んでるのに、客が自分ひとりで見張りも居ないっていいんだろうか、と思えてきた。平日だからかもしれないが。

改めて見返してみると、一体どういう経緯でこうなったんだろう・・・と気になりつつも、見応えもあった。
この人たちのやったことを思えば服はこのぐらい高価で丁度いいのかもしれない。
この人たちのやったことを思えば服はこのぐらい高価で丁度いいのかもしれない。
顔以外宝石。これは木戸孝允。
顔以外宝石。これは木戸孝允。

気分的にはデパートのお化け屋敷と同じ

この明治の志士達の像のすぐ隣には「地獄極楽館」がある。近づくとセンサーで薄暗い照明が付き、うめき声が鳴り始める仕組みになっていた。
この張り付いてる骸骨は全然きらいじゃない
この張り付いてる骸骨は全然きらいじゃない
ちょっと入ると「ギャアアアーーーギャアアアーーーウギャアアアアアアアア」という叫び声の録音が再生される。
薄暗い照明が付くとは言っても、何とか進む方向が判断できる程度のものなので、かなりの暗さだ。
子供の頃、デパートのお化け屋敷に入ると言い出したにも関わらず、いざ入るとなると躊躇してなかなかは入れなかったのと全く同じ心情が蘇ってきた。ここだけはやめておこうかと引き返したり、戻ってきたり。

普段はこの手のものに対してここまで無理とは思わないが、ここに辿り着くまでに立て続けに現れた不気味なものたちにちょっと心がやられ気味なのか、この施設内にひとけがなさ過ぎるせいなのか。
そういや大仏前で号泣してた子とその親と遭遇して以降、ここまで全く誰とも遭遇してない。

結局、中に入って一通り見てきたが、ここに関しては写真がちゃんと撮れてないので・・・ここだけはパンフを紹介します、すみません。

しかしなんで「極楽」という単語を付けたんだろう・・・この部屋。どこに極楽の要素があるのかサッパリ分からない。
真っ暗な中にこんなのがいっぱい居た
真っ暗な中にこんなのがいっぱい居た

そして極楽浄土へ・・・?

ラストはこんな極楽浄土っぽいエリアがあった。色んな苦難を乗り越えて、極楽浄土に辿り着いた・・・・ということなんだろうか?と勝手に解釈したところで出口を出た。
極楽浄土っぽいエリア
極楽浄土っぽいエリア
こっちがほんとのゴール。安心感が半端ない。
こっちがほんとのゴール。安心感が半端ない。

撮影は禁止だったのでスケッチしてたが・・・

展示物の撮影は禁止ということだったので、まず撮影はせずに簡単にスケッチしつつ一通り見て廻った。
そして最後出たところで偶然住職さんと遭遇したので、撮影についてお願いしたところ、「今から施設内の戸締りと消灯をするので同行しつつ撮影してもよい」という返事を貰った。

それと同時に「もし撮影を断られたら一体どうするつもりだったんだ・・・」と言われた。
その場合は、毛糸で編むなり自分で扮装するなりしてなんとかするつもりでは居たが、こう実際撮らせて貰った写真を改めて見ると、本当に撮らせて貰って良かった・・・と思う。
しかしノートを見返してみると最後の方本当にいい加減すぎてなんだこれ。これをどうするつもりだったんだっけ・・・・
しかしノートを見返してみると最後の方本当にいい加減すぎてなんだこれ。これをどうするつもりだったんだっけ・・・・
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