バブリーで変なお寺があるらしい
「群馬に変わったお寺があるらしい」
ずいぶんと前の話なんで誰から聞いたのかも忘れてしまいましたが、ずっと気になっていました。
こんな寺だという話なんですが……?
なんでも、そのお寺にある鐘はボタンひとつで撞木が自動で動いてゴーンと鳴らしてくれるとか、住職さんが寺の敷地内をカートに乗って移動しているとか……ちょっとバブリーなニオイのする面白そうなお寺らしいのです。
前回に引き続き群馬県桐生市からお送りいたします
……というわけで、何年も前から狙っていたスポットだったのですが、近くに行く機会があったのでついでに取材してきました。
上毛電気鉄道、略して上電に乗って出発!
この電車、珍しい車体なのか「レトロでカワイイー!」みたいな感じでバシバシ写真を撮られていました。
自分が群馬に住んでいる頃は足としてフツーに利用していた電車が、珍しいもの扱いされているのは少々複雑な気持ちです。
この手のお寺が交通の便がいい場所にあるハズもなく。最寄り駅から歩きで約40分ほどの道のりをテクテク歩いて行くと。
おっ、看板が!?
「成田山赤城寺」なんとも迫力のあるフォント!
鳥居……じゃないよな、お寺だもん。なにやらゲートらしきものがドドーンと!
お寺というよりは地方の変な観光スポット感のある看板
この不動明王(?)のイラストも、実に味わい深い顔をしております
しかし、ここが到着ってワケじゃないんですよ。もうちょっと山を登らなければなりません。
コレも不動明王かな? いい顔してますねぇ
さて、こんな感じの山道を、さらにしばらく登っていくのですが……。
腐って落ちた柿が道に散乱していて、すさまじい悪臭を放っていたり
野生に帰って、とんでもないことになっているサボテンがあったり
夜道を照らすためになのか、大量の電球が山道の脇に吊されているのですが
それを支える柱がバッキバキに折れてたりして……
予想以上に朽ち果てた雰囲気の山道に、だんだん高まる不安感と戦いながら進んでいくと……。
おっと、読経をする声が聞こえてきましたよ。ようやくお寺が近づいてきたのかな?
……いや、それにしてもまだお寺の姿も見えていないのにこんなによく聞こえるなんて、どんだけ声を張り上げてお経読んでるんだよ!?
歩きすぎて幻聴が聞こえてきたのかと思いましたよ
なぜか山道に設置されたスピーカー
今流れている音声が、お寺で読んでいるお経を生中継しているものなのか、あらかじめ録音されたものを流しているだけなのかは分かりませんが、いずれにせよ山中にお経を響き渡らせてどうしようっていうんでしょうか。
そもそもスピーカーから流れるお経って御利益あるのかな?
群馬の山奥で志村けんと出会う
さらに山道を登っていくと、なにかが見えてきましたよ。
うわーっなんじゃコレ!?
まあ、おめでたいものですから、お寺に招き猫があるってのはまだ分かるんですが。
これは……
しかし、おどろくのはまだ早かった。招き猫たちの足下に目をやると……。
「奉納・東京都 志村けん」!?
えーっ、本物の志村けんなの!?
たしかにユーモアあふれる招き猫&ピ○チューの像は、志村さんのイメージともつながらないことはないですが……。
群馬の山奥にあるお寺と志村けんとの間にどんな関係があるというのでしょうか。
ちなみに、招き猫の隣にはなんとも悲痛な雰囲気漂う表情の像が建っていました。
コレも志村さんが奉納したのかな? という感じがする面白い像なのですが、諸事情により全体像を掲載するのは自粛しておきます。……お察し下さい。
ぞくぞく発見、変なもの
さて、ついに問題のお寺に到着しました。阿&吽の金剛力士像に守られた表門をくぐると……。
背後に燃えさかる色鮮やかなファイヤー! この部分が不死鳥になってるのかな?
不動明王ならぬ「不死不動明王」の像!
不死鳥+不動明王のパワーをダブルで併せ持つという、なんとも欲張りでアリガタイ像なのです。
この像をナデナデすることによって、様々な願いがバッチリ叶ってしまうのだ!
こういうの「触らなきゃ損だ!」と思って、しこたま触ってしまいますよね
一方、この像はなんなんだろう……と思ったら、どうもこのお寺を建てた先代住職の像らしいです。
校長室に歴代校長の写真が飾ってある的なこと? お寺に住職の像が設置されているのなんて見たことないですよ。
飲み屋ばりの赤提灯が吊されているのは若干気になりますが、まあ普通のお寺です
さて、こちらがこの「成田山赤城寺」の本堂なんですが、まあ本堂はフツーなんですよ。
それよりも本堂の横に作られた生け垣が気になります。不自然に刈り込まれているようですが……。
ああ、お寺の名前が書かれているのか。バブリー!
作られた当初はキレイに名前が浮かび上がっていたんだと思いますが、最近はあまりメンテナンスしていないのかな? 生け垣が成長しちゃって文字が埋もれちゃってます。
さらに、こんな不自然に白い壁も……
どうやらココにも不動明王(不死不動明王?)が描かれていたようですね。……日に焼けて消えちゃったのかな?
そしてこちらは、まあなんの変哲もないごく普通の灯籠なんですが。
奉納者が「コロムビアトップ」!
年代的に、さすがにタイムリーで活躍していた時期はまったく知らないんですが、戦後の東京漫才界を牛耳り、その後、国会議員まで務めた大物漫才コンビ「コロムビア・トップ・ライト」のトップ師匠じゃないですか!?
さっきの志村けんといい……このお寺、芸能関係に強いんですかね?
得体の知れないオブジェの数々に驚愕
さてこのお寺、まだまだ気になるものが沢山あるんですよ。
えーっと、えーっと、遠目で見てもかなり異様な雰囲気がプンプンしているんですが。
夜中に見たら絶対に泣くな
アップになるとさらにこう……。
光の当たり具合なのか、木の色が絶妙な陰影を生み出しているのか、なんとも怖ろしい面構えになってしまっている木彫りの像です。どんな願いが込められているんでしょうか?
さらに、こちらは「まゆ玉大黒」と名付けられた大黒様(群馬はまゆ&生糸で有名だったので、その辺と関係あるんですかね?)。
知り合いにこんな人いるような気がする
この大黒様もまた、とんでもないお顔をしております。なんか悪い薬でもやっちゃってるのかな?
そして、コレ以上にへんてこ感があふれ出ている像がこちら。
この、ふざけきった顔は……仏像にしていいのか?
なんというか……こういうパロディ的なキャラクターがあってもいいとは思いますが、本物のお寺にこんなの設置しちゃっていいもんなんでしょうか。
……すると、こんなものが。
「世直しトップ地蔵尊」トップ地蔵……!?
えーっと、えーっと……(コロムビアトップさんの顔を画像検索中)やっぱり! このお地蔵様、コロムビアトップの顔を模しているんだ。
でもなんで!?
ちなみにここの住職さんはお寺のお宝を持って『開運!なんでも鑑定団』に出たこともあるんだそうで(鑑定結果はすごく安かったとのこと)まあ、面白い人だったんでしょうね……
遂に発見ボタンでゴーン鐘、しかし……
さて、ここまででも十分へんてこなものを見まくって、若干頭がクラクラしてきてしまったこのお寺ですが、ボクが一番見たかったのは、話に聞いていたボタンでゴーンと鳴る鐘。果たしてどこにあるんでしょうか。
もうちょっと境内を探索してみましょう。
ズラズラーっと無数に立ち並ぶ像
全部がこんな感じの不動明王像となっています
あっ!
撞木にケーブルがつながっていたり、謎のローラーがくっついていたりと、普通の鐘ではないことは間違いないでしょう!
この辺の、電気使ってそうな感じも明らかにボタンでゴーンなんですが、肝心のボタンが見あたらないんですよ。
さっきのおばちゃんに聞いたところ、お寺の人が朝夕のおつとめの時にボタンでゴーンしたらラク(それもどうかと思いますが)なように設置されているものなので、みんながボタンでゴーンできる鐘ではないとのこと。
そ、そうか……というか、冷静に考えたら、来る人来る人ボタンでゴーンしてたらうるさくってたまらないですからね。どうして高橋名人ばりにボタンを連打しまくって鐘をゴンゴン……という想像をしていたんでしょ。
幻想的すぎてどーかしている光景が
ボタンでゴーンはまあ仕方ないので、他に面白いものは……と探索を続けることにしたのですが。
おっ、秘宝館!?
「縄文・弥生時代からの遺品をロマンと共に展示致しております」こ、コレは気になる。見るしかないでしょ! ……と思ったものの、入口が閉まってる!
またしても「今は公開してないよ」ということなんだそうで、ションボリ。
心底がっくりしているボクを見て気の毒に思ったのか、掃除していたおばちゃんが「ここを見ていったら?」と教えてくれたのがこの「観音霊場」。
建物の中に入ると、なんだか薄暗くて細長い部屋です。
天井からズドーンと巨大な赤提灯が吊されているのにビビりながらも進んでいくと。
こんな感じの仏像がたくさん並べられているのですが……。
とにかく暗いし仏像はいっぱいあるしで、ホント怖いんですよ
わーっ、いきなり照明が点いた!?
……と思ったら謎の機械が動き出しましたよ! なにコレ!? ひー!
しゃ……シャボン玉!?
細長い部屋を半ばくらいまで進んだところで、いきなり照明が点き、壁に取り付けられたシャボン玉発生マシーンからシャボン玉がバンバン吹き出して来ました! なにこれ、なにこれ!?
自分の頭がおかしくなっちゃったんじゃないかと不安になるほどシュールな光景が目の前で展開されています!
いや、そういうことじゃない!
そういえば、もうひとつ気になっていた境内をカートで走り回る住職ってのも発見できなかったな……と思いつつ出口に向かっていると
駐車場の片隅にあった物置でこんなものを発見!
あ、カート……やっぱり先代の住職が使っていたものなのかな?
確かに変なお寺ではありました
「バブリーで変」という噂を聞いていたんですが、「バブリー」の部分が経年劣化で朽ち果てて「変」という部分のみが残っているお寺でした。それでも相当面白かったですけどね。
どうやら、先代住職がかなりキャラの強い人だったようで、ご存命の頃ならもっと楽しめたのでは……ということでした。残念ですが、こればっかりは仕方ないですよね
●成田山赤城寺
桐生市新里町大久保413-4
【電話番号】0277-74-1695