駅の食堂で食べられる?
またたびラーメンが食べられると聞いて向かったのは秋田内陸縦貫鉄道の阿仁合駅。構内の食堂で食べられるらしい。
「ラーメン」と書かれたのぼりは、ラーメンがあることを示している。
構内には食堂があった。「開店」とあるのはどうやらリニューアルオープンしたらしい。
そしてまたたびラーメンは焼肉ラーメンになっていた。
またたびラーメンはなかった
またたびラーメンはもうやっておらず、食堂のおばちゃんは出してたことすら知らなかった。
あとで観光案内所の人に聞いたところ、道の駅「あに」でまだ食べられるそうだ。
阿仁合駅はまたたびラーメンから馬肉ラーメンになって、今では焼肉ラーメンになったのだという。
どんどん普通になっていって最後には、好きな食べ物ランキングの上位ニ者が合体している。早急に結果が求められたのかもしれない。有事を匂わせる二品チョイスだ。
こちらはかつてまたたびラーメンとともに名物だった馬肉丼(小)。
駅のイメージがちょっとちがう
またたびラーメンはなかったのだが、この秋田内陸縦貫鉄道の駅は東京の駅とちょっと感じがちがう。うまくは言えないが、なんだろう、駅にみとめ印とかあんまり売ってないと思う。
アイスの上にハンコ売ってる。中を見たら珍しい姓があるわけでもなかった。
この辺りでは『IRIS』という秋田を舞台にした韓国ドラマが猛プッシュされている
広告などが入りそうな枠に「ドラマが撮影しにきました!」という大きなポスターが
駅前の休憩所という場所に行ってみたら…
熊が三頭いた(うち二頭は敷物として)
アングルによってはこんな熊まみれの写真も
やはりマタギ文化か
この辺りの観光資源は山の文化が多く、「コロッケの街阿仁合☆彡」なんて軽い雰囲気がない。
マタギ!
とか、わっぱ!
とか鉱山事務所!
とか。山の生活の重みを背負ったようなものがメインだ。
最近ではチェーンソーアート!
だそうだが、まだまだ重い。コロッケアート☆彡とか出してもらって油まみれの手でコロッケをこねくり回してその存在の軽薄さを学んでほしい。
今は道の駅「あに」で食べられます
阿仁合駅からまだ南下し、道の駅「あに」に到着。今はここでまたたびラーメンが食べられるらしい。
道の駅「あに」には「またたび館」という名前がついていた。わ~、またたびラーメンが食べられそうな名前でうれしい!
チェーンソーアートが飾られた道の駅「あに」のまたたび舘。ラーメンのポスターも発見。
「疲労回復・コレステロールを低下・更年期障害などにも効能があるとか!」断言してくれ。
またたびラーメン。700円。いい意味でも悪い意味でもなく普通の意味で普通の味だ。
さあ食べてみよう
こんな状況でいながら普通の味
またたびラーメンを食べた。鶏がらのうま味と醤油の風味があっておいしくて…うん、普通だ。
いい意味で普通の味だし、普通の意味で普通の味だ。食堂のラーメンってこういうものだ。
どうやら麺にまたたびの粉末が練りこんであるらしい。たしかに香りが小麦に何か混じったような気がする(実際混じってる)。
これなんだ?またたびの味がわからないから、またたびを実感できない。
プツプツと褐色の粒が見える。麺にまたたびが入っているらしい。ちょっと香りがちがう?くらいだが、元の味を知らないのでなんとも言えない。
こんなにあった、またたび食品
またたびの味を知りたいと思ったところ、さすがまたたび舘。またたびを使った食品がたくさんあった。
またたびせんべい。こちらも粉末をお煎餅に入れた形なので味の変化はそれほどない。
またたび甘納豆。材料を見るとほとんどそのままっぽいぞ、これはいい。
どうやら味がわかってきたぞ
またたび煎餅は粉末のせいか、ここでもまたたびを感じられない普通さ。 炭酸せんべいにも似た風味を持つ甘く懐かしいお煎餅だった。
またたび甘納豆は、本物の実を砂糖漬けにしたもの。食べてみると、すっぱい。意外だ。
力強い甘酸っぱさと最後に辛く感じるような野生の味がして終わる。辛い?しびれる?どっちだろう、妙に荒々しい後味だ。
一言でまとめると「おら食ったことねえ」味で気に入った。
道の駅の隣りの酒屋ではまたたびワインを出しているという
阿仁またたびのワイン購入。赤と白があるらしい。
またたびワインを売ってるお店の方にちょっとだけ話を聞いた
――この辺の人はまたたびを食べるんですか?
「食べはしないですけどね。またたびは『またたびに出る』っていうくらいでね。食べると元気になるっていうんで果実酒にしたりするんです。でもそれだと飲みにくいんで、ワインにしたんですよ。こればっかり飲むっていうよりは、食前酒なんかにして。体にいいんですよ。」
――このワインは、ワインにまたたびを漬けたものなんですか?
「そこはね…業者さんがね、へっへっへっへっ(知らないようだ)」
――はっはっはっはっ…ありがとうございました。
観光案内所の人も言ってたが、またたびは普段から食べるというものでもないようだ。山の薬のようなものなのだろうか。
ワインを飲んでみるとたしかに何かがちがうのはわかるのだが、結局またたびがよく分からない。うまかったが、甘みも酸味もこれはワインのそれなのか?
そして最後に生の実をかじってみた
生をかじってみた
果実酒用だろうか、またたび舘では若い生の実が売られていたので、かじってみた。
ほんのりと甘く、奥歯まで一気にしみわたる酸味。なるほど、ビタミンCが豊富だというのはこれか。
香りは野生の実って大体こんな香りがするねという定番の青臭さだが、香りの強さはそれほどない。だから加工したところでわからなかったのだろう。
そして甘納豆で感じた、辛味?しびれ?がここでも徐々にやってきた。か、か、か、がらい。いや、痺れてきた、これは食べられない痺れだ。
「辛い!」なぜか文豪っぽくなった
何かしたくなる存在なのだ
義父に聞いてみると、自分もまたたびを焼酎漬けにしているという。
寒くなってきたら、酒につけたマタタビを納豆汁に入れて食べるらしい。話とちがって、意外と普通に食べていたりもするようだ。
なんでそんなものを食べているのか?と思っていたが、猫が酔っ払うほどのものは人間が食べても強烈だった。
食べても元気になるというし、味もいい。序盤のほんのりした甘みと力強い酸味はすばらしい。しかしあの痺れでトータル0点になるかなしさ。
しかし「あれ食ったら元気になるだろうな~」と思わせる何かは確実にある。だからこそ色々と食品が生まれているのだろう。
またたびワインを飲んで結局人間も酔っ払う。後に、義母の評判を大いに下げる。