特集 2011年9月20日

とろとろプリンは茶碗蒸しでも可能か

さて、これはプリンでしょうか? それとも茶碗蒸しでしょうか?
さて、これはプリンでしょうか? それとも茶碗蒸しでしょうか?
プリンはいつから固まることを放棄したのだろう…と、ふと思った。

少なくとも、私が子どもの頃のプリンは固かった。というか、きっちり固まっていた。それが最近のプリンときたらどうだ。過去からタイムスリップしてきた人が見たら「なんという失敗作! ちゃんと作れ!」と怒り出しかねないほどの、ゆるゆるとろとろっぷりである。

…しかし、これが大人気なのだ。元々柔らかい食べ物を、さらに柔らかくしたことでプリン人気は確実に上昇した。ならば、似たような食感の茶碗蒸しにも、この法則を当てはめることは出来ないだろうか。

ふわふわとろとろの茶碗蒸し。…うん、これはプリンよりも食べてみたい気がするぞ。
1968年秋田県生まれ。食べたり飲んだりしていれば概ね幸せ。興味のあることも飲食関係が中心。もっとほかに目を向けるべきだと自覚はしています。

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めざすトロトロはこれだ

もちろん、きっちり固まったプリンも売ってはいる。が、もはや主流はとろとろと言ってもいいだろう。

実際、近所の洋菓子店にはプリンが一種類しか置いてなかった。それがこの「とろ~りプリン」である。
それほど乱暴に持ち帰った記憶はないが、フタにプリンが 付くほどのゆるさ。
それほど乱暴に持ち帰った記憶はないが、フタにプリンが 付くほどのゆるさ。
で、このとろとろっぷりだ。ほぼクリームと言っていい。
で、このとろとろっぷりだ。ほぼクリームと言っていい。
正直、このテのプリンを最初に食べたときは「これは固まりぞこないか!?」と憤慨したものだが、実は今ではかなり好印象を持つまでになった。

なんといいますか、やっぱり舌触りがなめらかなんですよねぇ…。

というわけで、茶碗蒸しでもこの状態を目指そうと思う。果たして可能なんだろうか。

どこまでゆるくできるのか

まずは、オーソドックスな作り方から始めることにした。
通常、茶碗蒸しは醤油、みりん、醤油、塩などを入れたダ シ汁と、卵(漉す)をドッキングさせることで完成。
通常、茶碗蒸しは醤油、みりん、醤油、塩などを入れたダ シ汁と、卵(漉す)をドッキングさせることで完成。
そのダシ汁と卵の割合を変えることで、ゆるさを調節して いるわけですが…。
そのダシ汁と卵の割合を変えることで、ゆるさを調節して いるわけですが…。
こちら、卵1個に対してダシ200mlの蒸し上がり
こちら、卵1個に対してダシ200mlの蒸し上がり
確かにゆるいが、あの衝撃的にとろとろのプリンに比べた ら、お話にならないレベル。
確かにゆるいが、あの衝撃的にとろとろのプリンに比べた ら、お話にならないレベル。
これは卵1個にダシ300ml のもの
これは卵1個にダシ300ml のもの
色も薄くなり、かなり柔らかくはなったものの、それでも きっちり固まってます。
色も薄くなり、かなり柔らかくはなったものの、それでも きっちり固まってます。
うーむ。ダシの分量を多くしたところで、意外にきっちり固まるものですな。卵の凝固力、恐るべし…といったところか。

ならば、少しばかり思い切ったことをしなければ、いつまで経ってもとろとろにはならないのではないだろうか。
というわけで、ダシ150mlを入れた器に、卵液を大さじ2 杯だけ入れてみました。
というわけで、ダシ150mlを入れた器に、卵液を大さじ2 杯だけ入れてみました。
さらに卵液大さじ1のバージョンも作成。さすがに不安に なるほどサラサラと薄く、透明度が高い。
さらに卵液大さじ1のバージョンも作成。さすがに不安に なるほどサラサラと薄く、透明度が高い。
なみなみと入ったダシ汁に対して、卵はまるで調味料のような分量しか入れていない。

これほどまでに透明度が高い状態で、果たして固まってくれるのだろうか。よもや、とろとろ以前の話になりやしないか。大丈夫か。
というわけで、卵大さじ2のバージョンの蒸し上がり。い ちおう固まったみたいです。
というわけで、卵大さじ2のバージョンの蒸し上がり。い ちおう固まったみたいです。
おおお、なかなかのとろとろっぷり!
おおお、なかなかのとろとろっぷり!
ですが、どんどん食べ進めるうちに、
ですが、どんどん食べ進めるうちに、
液状化がひどくなり、ほぼスープ状態に。
液状化がひどくなり、ほぼスープ状態に。
続いて卵を大さじ1しか入れなかった方も蒸し上がった…のだが、途中あまりに固まらなかったため、ちょっと強火にした途端、スが入ってしまった。
それでもなんとか固まった…のか?
それでもなんとか固まった…のか?
と、スプーンを入れた途端…
と、スプーンを入れた途端…
逃げる茶碗蒸し。す、すくえない…。
逃げる茶碗蒸し。す、すくえない…。
そうこうしてるうち、ほぼ「かき玉汁」の様相に。
そうこうしてるうち、ほぼ「かき玉汁」の様相に。
どうやらスプーンですくえる茶碗蒸しの限度は「1つの容器に対して卵の量が大さじ2以上」ということになりそうだ。それ以上ならなんとか固まるようである。

こんなんじゃダメだ

いくら卵の量を減らしたところで、茶碗蒸し自体が柔らかくはなるものの、プリンのようにとろとろにはなってくれない。

あのプリン、なんであんなにとろとろになるんだろう…? と調べてみたら、どうやら秘密は生クリームにあるらしい。

そうか、生クリームか。でも茶碗蒸しに生クリームって…。ない。それだけはない。

というわけで、ぎりぎり妥協して牛乳を入れてみることにした。少しはとろとろ化してくれるんだろうか。
ドキドキしながら牛乳を入れ、
ドキドキしながら牛乳を入れ、
さらにそこへ、ダシ汁を。
さらにそこへ、ダシ汁を。
さっきより丁寧に混ぜ、慎重に蒸したせいか、ものすごく 綺麗な仕上がりに。それとも牛乳の影響でしょうか。
さっきより丁寧に混ぜ、慎重に蒸したせいか、ものすごく 綺麗な仕上がりに。それとも牛乳の影響でしょうか。
おおお、なめらかさが格段にアップ!
おおお、なめらかさが格段にアップ!
ものすごくツルンとした茶碗蒸しが出来上がった。牛乳の分量が控えめだったせいか味への影響もほとんどない。

でも、求めているのはツルンじゃないんだ、とろとろなんだ…。牛乳がダメだとすれば、…あ、もしかして、豆乳は?

さらに、使う卵も黄味だけの方が、よりふわふわになるのでは?(今さら気付いた)
ダシ類を入れた豆乳に、今度は黄味だけを大さじ2杯
ダシ類を入れた豆乳に、今度は黄味だけを大さじ2杯
無事、蒸し上がりました。
無事、蒸し上がりました。
あ、スプーンを入れた時の感触が今までと違う! 柔らか いけどツルンとしてない!
あ、スプーンを入れた時の感触が今までと違う! 柔らか いけどツルンとしてない!
これは今まで作ったのとは別物ですわ。とろとろふんわり しております! 気になる液状化もナシ!
これは今まで作ったのとは別物ですわ。とろとろふんわり しております! 気になる液状化もナシ!
これまでと違い、豆乳自体も固まろうとしてくれている。そこへ、にがりのような役目を果たす卵黄が加わり、なんというか、茶碗蒸しというよりも「固まり損なった豆腐」みたいなことになっているが、それがまたいい。

とろっとした汲み上げ湯葉にダシ汁をかけて食べてるような、なんとも言えないウマさがある。
これに具があれこれ入ったら…と思うだけで、身悶えしそ うなほど。たまらん。
これに具があれこれ入ったら…と思うだけで、身悶えしそ うなほど。たまらん。

これはおすすめしたい

卵の割合を減らすだけで、勝手に柔らかくなるもんだとばかり思っていた茶碗蒸しだったが、そう単純なものではなかった。最終的には豆乳という救いの神が現れてくれて、本当に良かったと思う。

しかし、こうしてまとめの文章を書いている現在も「豆乳を泡立ててから使えば、さらに良かったかも」とか「もしや豆乳を使わずとも、卵を泡立てれば何とかなったのでは?」と、今さらながらなアイデアが次々と湧いてくる。気になる皆さんは、是非試していただきたい。

とりあえず、我が家の茶碗蒸しには明日以降、豆乳が入ること に決定いたしました。
目指したプリンの画像を最後にもう一度。…ま、ここまで とろとろにするには、やはり乳脂肪分とかに頼らなければ ならないのでしょうか。
目指したプリンの画像を最後にもう一度。…ま、ここまで とろとろにするには、やはり乳脂肪分とかに頼らなければ ならないのでしょうか。
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