特集 2011年8月28日

つぼでサザエを焼く

常滑焼のつぼ。多分、耐熱製ではないと思う。
常滑焼のつぼ。多分、耐熱製ではないと思う。
「サザエのつぼ焼き」という料理があります。サザエを殻ごと焼いた料理です。硬く大きな巻いた殻をつぼに見立てています。焦げた醤油やサザエの磯の香りに、殻のままという大胆な姿。香り、見た目、味の3つが揃った美味しい料理です。

ところで、サザエのつぼ焼きでは殻をつぼに見立てて焼いていますが、実際につぼに入れて焼いたらどんな味になるのでしょうか?やってみました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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まずは普通にサザエのつぼ焼き

味の比較の為にまずは普通にサザエをつぼ焼きにしてみます。
東京でサザエを買ってきたのは初めてかもしれない。
東京でサザエを買ってきたのは初めてかもしれない。
サザエと網と醤油を用意します。
焼くと縮まってフタが閉まり、食べるとき面倒なので先に外しておきました。中に入ってしまうとそう簡単には取れないので一瞬の勝負。
焼くと縮まってフタが閉まり、食べるとき面倒なので先に外しておきました。中に入ってしまうとそう簡単には取れないので一瞬の勝負。
あとは網にのせて焼くだけです。
焼いている最中の香りがいいですよね。
焼いている最中の香りがいいですよね。
垂らした醤油がジュワジュワといい香りを立てて湧き上がってきたら出来上がり。
取り出す時に先が切れた。無意識にビールも用意。
取り出す時に先が切れた。無意識にビールも用意。
夏の海を思い出すねー!比較の為というより、普通に焼いたサザエで飲みたかっただけかも。
夏の海を思い出すねー!比較の為というより、普通に焼いたサザエで飲みたかっただけかも。
磯の香りの詰った弾力のある身。醤油のこげた香り。サザエのつぼ焼き、旨いです。夏の海を思い出しつつビールを1杯。

さて、普通のサザエのつぼ焼きの味が分かったところでここからが本題。続いて、サザエをつぼで焼いてみましょう。

耐熱じゃないから弱火でじっくりと

美味しいけれど、中身だけの貝は見た目グロいですよね。
美味しいけれど、中身だけの貝は見た目グロいですよね。
つぼに入れる為、まず殻から身を出します。これも途中で切れてしまいましたが、なんとか全体を取り出すことに成功。
本来、保存用容器なので火にかけるのはあまり良くないと思います。
本来、保存用容器なので火にかけるのはあまり良くないと思います。
つぼをセットします。直火を避けるため、網の上に置きました。急激に温度上昇しないように、弱火でゆっくりと加熱していきます。
火傷しないようにトングでサザエを入れる。気分はバーベキュー。
火傷しないようにトングでサザエを入れる。気分はバーベキュー。
少し加熱したところでサザエを投入してフタを閉じます。
正につぼ焼き。
正につぼ焼き。
耐熱容器じゃないという不安をかかえつつ加熱を続けます。
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時間がかかる

加熱すること約10分。熱でつぼが割れるようなこともなく、問題なくサザエがつぼで焼かれていきます。
フタを開けて中を確認。醤油を投入。まだ半生ぐらいに見えるところがある。
フタを開けて中を確認。醤油を投入。まだ半生ぐらいに見えるところがある。
そろそろ味付けということで、フタを開けて中を確認してみました。結構熱いものの、フタの部分は手で持てる程度の熱さ。中のサザエもつぼの表面に触れている部分は焼けているようでしたが、他はまだ半生でした。

醤油を入れて味付けした後、フタをしてさらに10分ほど加熱。
結構いい色になってきた!
結構いい色になってきた!
ようやく入れた醤油に細かい泡が立ち始め、サザエ全体に火が通った感じになってきました。フタをして更に5分ほど加熱。これだけ加熱しておけばちゃんと焼けているでしょう。

では、つぼで焼いたサザエを味わってみます。
さーて、焼け具合はどうかなー。刺身用のサザエを買ってきたから生でも一応大丈夫。
さーて、焼け具合はどうかなー。刺身用のサザエを買ってきたから生でも一応大丈夫。
おおっ!身が凄く柔らかくて、普通のサザエのつぼ焼きよりうまいぞ!
おおっ!身が凄く柔らかくて、普通のサザエのつぼ焼きよりうまいぞ!
つぼで焼いたサザエ。驚くほどうまいです。普通のサザエのつぼ焼きに比べて決定的に身が柔らかい。別の貝のようです。また、貝の旨味がより多く出てきます。
日本酒を用意せずにはいられない。
日本酒を用意せずにはいられない。
以前から、サザエのつぼ焼きは美味しいのだが身の部分がちょっと硬いと思っていました。それも味の内なのかと。

しかし、つぼに入れてゆっくり加熱することにより、その問題が解消されました。しかも、味はサザエのつぼ焼きですが、貝の旨味がよく引き出されてよりうまくなっている。

これからは、サザエはつぼ焼きではなく、つぼで焼くのがいいかもしれない!つぼで焼くサザエ。アリです!
時間がかかるからまたやるかは悩むところだけどね。なにはともあれ、日本酒と合うわー。
時間がかかるからまたやるかは悩むところだけどね。なにはともあれ、日本酒と合うわー。

残った殻をつぼとして再利用してみよう

つぼで焼いたサザエは実にうまかったです。来年の夏は、海の家とかで「つぼ de 焼サザエ」などと名づけて売っていて欲しいです。

さて、食べ終わった後のサザエの殻。身を抜かれてただの殻として終わらせるのも残念な感じなので、つぼとしても使ってみましょう。

こちらの本の料理をサザエの殻で作ってみます。
以前、「クワス」を作る時に使った本。こちらの記事です。
以前、「クワス」を作る時に使った本。こちらの記事です。
サザエの殻を使ってロシア料理を作ります。ロシア料理でつぼと言ったらあの料理です。
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キノコのつぼ焼き

サザエの殻を使って作るロシア料理はこちらです。
ガルショーク ズ グリバーミ。ピロシキと並んで日本人に馴染みのあるロシア料理だが、ロシアではあまり食べないそうだ。しかも、このロシア語の言い方も少し違うらしい。
ガルショーク ズ グリバーミ。ピロシキと並んで日本人に馴染みのあるロシア料理だが、ロシアではあまり食べないそうだ。しかも、このロシア語の言い方も少し違うらしい。
キノコのつぼ焼きです。鶏肉とキノコをサワークリームで煮込んてつぼに入れ、パン生地でフタをしてオーブンで焼く料理です。これをサザエの殻をつぼに見立てて作ってみたいと思います。
つぼの代用は茶碗蒸しの器、湯のみ、コーヒーカップなどでもいいそうなので、サザエの殻でも問題ないでしょう。多分。
つぼの代用は茶碗蒸しの器、湯のみ、コーヒーカップなどでもいいそうなので、サザエの殻でも問題ないでしょう。多分。
まずは中に入れるキノコの煮込みを調理します。
シメジ、椎茸、マッシュルーム、タマネギ、鶏胸肉。生クリーム、牛乳、小麦粉、塩、胡椒も使います。この本では、生クリームとヨーグルトを1対1で混ぜた物をサワークリームと呼んでいました。
シメジ、椎茸、マッシュルーム、タマネギ、鶏胸肉。生クリーム、牛乳、小麦粉、塩、胡椒も使います。この本では、生クリームとヨーグルトを1対1で混ぜた物をサワークリームと呼んでいました。
使うキノコはシメジ、椎茸、マッシュルーム。タマネギ、鶏胸肉も入れます。サワークリームを作るのに生クリーム、牛乳。味付けに小麦粉、塩、胡椒を使います。

まず、みじん切りにしたタマネギと鶏肉を炒めたらキノコを入れて炒め合わせます。
キノコから出ている水分とサワークリームのみで煮込みます。凄く濃厚だ。
キノコから出ている水分とサワークリームのみで煮込みます。凄く濃厚だ。
炒めたら生クリームとヨーグルトを混ぜたサワークリームを入れます。水は使いません。塩、胡椒で味を調えてしばらく煮たら出来上がり。

つぼに入れて焼く

では、出来上がったキノコ煮をつぼに入れて焼いていきます。まずはノーマルのつぼ。
網の上で火にかけても大丈夫だったので、オーブンでも大丈夫だろう。コーヒーカップとかでも代用出来ると書いてあったし。
網の上で火にかけても大丈夫だったので、オーブンでも大丈夫だろう。コーヒーカップとかでも代用出来ると書いてあったし。
キノコ煮をつぼに入れたら、つぼの縁に卵液を塗って作っておいたパン生地を貼り付けてフタをします。

フタをしたら、パン生地の表面に再び卵液を塗ります。そのまま200度のオーブンに入れて12分ほど焼く。
パン生地が徐々に膨らんでくる。問題なく焼けている模様。
パン生地が徐々に膨らんでくる。問題なく焼けている模様。
これでキノコのつぼ焼きの出来上がりです。
本の記述が大雑把だった割にはちゃんと出来た。
本の記述が大雑把だった割にはちゃんと出来た。

サザエのつぼでキノコのつぼ焼き

味見は後にして、続いてサザエの殻のつぼでキノコのつぼ焼きを作ります。作り方は普通につぼを使うのと同じです。さあ、どうなる。
サザエの中にキノコが!凄い違和感。
サザエの中にキノコが!凄い違和感。
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安定感に欠けるサザエ

サザエにキノコ煮を入れたら卵液を塗ってパン生地でフタをしました。
倒れそう・・・
倒れそう・・・
フタは上手くできたのですが、パン生地が乗った影響で上部のバランスが悪くなる。少し触れるだけで倒れそうです。液体が入っているので、倒れてもらっては困るのですが、このまま焼いてしまいます。

パン生地が膨らんで密封されれば漏れることも無いだろう
焼いている最中に倒れないか監視。膨らんできたら重さが変わり一度倒れて焦る。キノコ煮の漏洩は無かったのでセーフ。
焼いている最中に倒れないか監視。膨らんできたら重さが変わり一度倒れて焦る。キノコ煮の漏洩は無かったのでセーフ。
焼いている最中に1度倒れて慌てました。膨らむとバランスが変わる。とはいえ中身が漏れることもなく、なんとか焼けました。こちらです。
キノコのサザエつぼ焼き完成。
キノコのサザエつぼ焼き完成。
では、普通のつぼ焼きから食べてみましょう。
中身もフタのパンも凄くうまいぞ!
中身もフタのパンも凄くうまいぞ!
ヨーグルトと生クリームのサワークリームで煮た中身は濃厚で酸味があって驚くほどうまかったです。フタのパンもどっしり詰ったパンで、甘さがあり中身の付け合せとして美味しく食べられます。

また、サザエの方を焼いている間はそのまま放置していたのですが、中身がかなり暖かい。つぼに入れて焼いてパンでフタをしているので、一定の温度で保温されるのでしょう。そのため、鶏肉が柔らかく、キノコの味も出ています。これは合理的な調理法だ!

さて、キノコのサザエつぼ焼きはどうでしょう。
特に問題はなさそうだ。漏れも無し。
特に問題はなさそうだ。漏れも無し。
フタのパン生地の焼け具合は問題ありません。中身も特に問題は無さそうです。ちゃんと加熱もされているし、へんな物が浮かんでいるとかもありません。1つ気になる点はあるのですが、とりあえず食べてみましょう。
凄くうまい!
凄くうまい!
しばらく置いておいたサザエの殻は磯の腐ったような匂いがしてくるので、それが移ったらと心配したのですが、あまり感じませんでした。普通のつぼ焼きと大体同じ。うまいです。
奥の方はスプーンですくえないから、殻から直接いっちゃえー。あっ、やっぱりちょっと磯臭いかも・・・
奥の方はスプーンですくえないから、殻から直接いっちゃえー。あっ、やっぱりちょっと磯臭いかも・・・

普通のつぼで焼こう

キノコのサザエつぼ焼きは凄く美味しかったです。見た目もちょっと変わっているので、こうして出てくると面白いかもしれません。しかし、若干ですが磯臭いです。鶏肉やキノコではなく、魚貝を使ったスープが入っているのならばいいかもしれません。あと、容器の安定感も悪いです。

中も外もかなりよく洗って使ったのですが、荒海に揉まれて育ったサザエにはガッチリと磯の香りがついていました。あまり容器として使いまわすのには向いてないようです。

「サザエはつぼで焼くと柔らかくて美味しい」、「サザエの殻を使いまわすと磯臭い」。この2点が分かった夏の終わりでした。
でも、磯臭いのは若干でした。味は美味しかったので、日本酒と合わせてみました。ロシア料理うまいね。日本酒とも合う。
でも、磯臭いのは若干でした。味は美味しかったので、日本酒と合わせてみました。ロシア料理うまいね。日本酒とも合う。
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