銀座のブラジルの浅草へ
まずは浅草の銀座ブラジルへ行ってみよう。
地下鉄銀座線の田原町駅で降りて北へ向かい、浅草ROXの交差点を右へ折れると、アーケードが見えてくる。
なんかいろいろすごいことになってるなと思ったので大きめで
この商店街には「セキネ」という肉まんのお店がある。芸人の林家ペーさんがビートたけしさんにお土産で送ることが何十年も続いたある日、たけしさんから「ほんとは肉まん好きじゃなかったけど、ペーさんに悪くて言い出せなかった」と言われて泣いたという逸話があって、ここに来るとそれを思い出してぼくもつらくなる。まあそれはいい。
スカイツリーのそびえるアーケードを進むこと数分でそのお店は見えてくる。
高らかに銀座ブラジル浅草店
銀座なのか?浅草なのか?ブラジルなのか?
お店に入り、いったいそこがどこなのかをはっきりさせようと思った。いや、浅草なのは分かってるんだけど、もしお店のなかがどうしようもなくブラジルだったら、もうそこはブラジルってことでいいんじゃないかと思ったのだ。言ってることがだんだん分からなくなってきましたかね。
中に入ると、そこは地元の人がモーニングを食べにくるお店という雰囲気で、あまりブラジルではなかった。当然ながらブラジル人もいなかった。
アイスカフェオレを頼む。うまい。
まあブラジル人はいないだろう。うすうす分かっていた。タイ料理屋「ティーヌン」に必ずタイ人がいてコップンカーって言ってくれるのとは違う話だ。
と思ったら正面にブラジルが
正面に大きく南米の地図が描かれていて、ああよかった、ブラジルの要素があったと思った。でもその隣には笑点や落語のポスターがいくつも貼られていて、ブラジルを上回って浅草だった。
銀ブラとは銀座でブラジルコーヒーを飲むこと
はっきりさせよう。アイスカフェオレを飲み終えたぼくは思い切ってレジに行き、「いったいここは銀座ですか?ブラジルですか?浅草ですか?!」と詰め寄るくらいの勢いで「お勘定をお願いします」といった。店主の女性は「350円です」といった。
お話を聞くと、銀座の本店はもうなくなってしまって、いまはこの浅草のお店だけらしい。銀座でブラジルコーヒーを飲むのが「銀ブラ」と言われてもてはやされたころにはだいぶ賑わったんだよと、自慢とさみしさが入り混じるような声で教えてくれた。
お店の入り口に写真。これは昔の銀座本店だろうか。
グローバル三角形
視点を地図に移してみよう。銀座からダイナミックに海を渡ってブラジルへ飛び、そこから急に浅草へ戻る。それが「銀座ブラジル浅草店」という店名を見たときのぼくの心の動きだ。地球上にその3点を打てば大きな三角形ができるだろう。
銀座と浅草が近すぎて三角形に見えないが、拡大していくと実は三角形だと分かる。東京の上空1万キロメートルくらいから遠くこの三角形がブラジルまで延びていくのを見ることを想像して欲しい。なんてグローバルな世の中なんだろうか。
銀座+外国+日本の支店
銀座ワシントン新宿サブナード店の名前も同じ構造だ。
あこがれの銀座を本店とし、遠い異国のワシントン、そこからぐっと新宿に戻ってくる。あこがれタイプとでも言おうか。
どこだか分からなくなる学校
地名の要素が多すぎる学校というのもある。たとえば「四谷大塚巣鴨校」がそうだ。
巣鴨駅徒歩3分
四谷大塚巣鴨校舎です
進学塾として有名な四谷大塚は、その名の通り東京の四谷と大塚からはじまった。ただし今では四谷と大塚はなくなってしまったという。さっきの銀座ブラジルと同じだ。なにかそういうマーフィー的な法則があるのか。
もし今でも残ってればそれらは四谷大塚四谷校舎と四谷大塚大塚校舎と呼ばれていたかもしれない。それはそれで大変なことだ。
四谷大塚横浜校舎もある。
さっきの「銀座」ベースのお店はあこがれから出発しているが、進学塾は地に足がついている。地元の塾として有名になり、だんだん大きくなって別の町に校舎ができ、その結果よく分からないことになる。
大宮予備校 横浜校。
そこらへんは早稲田ゼミナールとか駿台予備校とかも同じ構造だ。埼玉県三郷市早稲田に早稲田ゼミナールの校舎ができたら、それは早稲田ゼミナール早稲田校ってことでいいんだろうかと思う。
佐々木ゼミナール
高田馬場に「佐々木ゼミナール」という予備校があり、うっかり代々木ゼミナールと勘違いして入る人もいるんじゃないかとどきどきしていたが、今回の話とはあまり関係ない。
進学塾や予備校の名前で地名が並ぶ場合は、地元の名前+校舎のある町の名前、ということになるようだ。四谷大塚みたいに発祥の地が二つあると、ぱっと見大変なことになる。
「東京理科大学長万部校舎」とか「山口東京理科大学」とかについては、どっちも東京じゃないじゃないかとか、「青山学院大学」に入ったと思ったら一年目は青山じゃなくて相模原校舎だったという問題もあるが、まあそれは別のお話ということになるだろう。
響きのいい地名がついてくる
冒頭でも紹介したが、新潟にラフォーレ原宿の支店がある。
ラフォーレ原宿というお店の新潟の店舗なんだから、「ラフォーレ原宿・新潟」で確かになんの問題もない。なのになんだろう、この割り切れない感じ。原宿じゃないよねと思ってしまう感じ。
ひとつには、原宿という地名がラフォーレの後にあるために、「原宿・新潟」と連続してしまっているため、っていうのがあるだろう。「原宿ラフォーレ新潟」だったらそんなに違和感はないかもしれない(と思ったけどやっぱり妙な感じだ)。
もうひとつは原宿っていう地名の響きがやっぱりいいいからだと思う。山口東京理科大学を東京じゃないじゃんと感じてしまうのに似てる。どう考えても「ラフォーレ新潟」とか「山口理科大学」のほうが自然だもんねえ。
地名がそもそもややこしい
神奈川の戸塚に「そば処 名古屋 戸塚原宿店」というおそば屋さんがある。
お店はこちら
看板どーん
さあここは名古屋なのか、それとも戸塚なのか、原宿なのか?
答えを書いてしまうと、横浜市戸塚区には原宿という地名があるのだ。当サイトでもライターの
小野さんがとりあげているとおり、横浜市には浜松町があったり奈良があったりしてなかなかややこしいことになっている。だからそこらへんのお店の名前は自然にこういうことになる。
戸塚区原宿
戸塚駅からバスを乗り継いでやってきた「そば処名古屋戸塚原宿店」。この日はとても暑かったので、冷やしたぬきそばをいただいた。つるつるしておいしい。
お昼ごはん
お店の人に話を聞いたところ、「昔は日本橋で名古屋きしめんのお店をしていたと聞いている。日本橋のお店は今はない。」とのことだった。 名古屋なのか戸塚なのか原宿なのかという意味では、おおむね戸塚ということになるんだろう。個人的にはここにラフォーレ原宿ができてほしい。「ラフォーレ原宿戸塚原宿」っていう看板が見たいだけなんだけど。
どこだか分からなくなったら最後を見よう
地名が並んでるだけで基本的に何もいってない店名っておもしろいなと思ってめぐってみたが、どこだか分からなくなる、はまあいいすぎたかと思う。店名の最後をみればそこがその場所だ。
「新宿高野新宿高島屋店」みたいに、ぱっと見「何?」となるようなのも面白いなと思うので、これからもお店の名前には注目していきたい。
好きな場所どうしの地図を比べられるサイトを作りました