特集 2011年7月20日

空中ブランコ12万6000円!サーカス用品専門店へ

リアルなピエロのイラストってどうしてこんなに怖いのか
リアルなピエロのイラストってどうしてこんなに怖いのか
前回の「本当に馬鹿な鍋を食べてみた」を取材した時に訪れた、みなとみらいからほど近い横浜の野毛地区で、すさまじく怪しげな看板を掲げているお店を発見した。

リアルすぎて異様な雰囲気をかもし出しているピエロのイラストの横には「サーカス用品店」の文字。一体、どんな商品が売られているのだろうか。
1975年群馬生まれ。ライター&イラストレーター。
犯罪者からアイドルちゃんまで興味の幅は広範囲。仕事のジャンルも幅が広過ぎて、他人に何の仕事をしている人なのか説明するのが非常に苦痛です。変なスポット、変なおっちゃんなど、どーしてこんなことに……というようなものに関する記事をよく書きます。(動画インタビュー)

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サーカス用品店を見つけました

スナックや立ち飲み屋が立ち並ぶ飲み屋街に
スナックや立ち飲み屋が立ち並ぶ飲み屋街に
異様な空気を放ちまくりなお店が
異様な空気を放ちまくりなお店が
マッチ専門店やハニワ専門店、計器専門店など、ものすごくターゲットを絞り込んだニッチなお店って色々ありますが、それにしても「サーカス用品店」って。ニッチにもほどがありますよ!

まあ確かに、サーカスで使われている定番アイテムってあるわけで、サーカス団の人たちもアレをどこかで手に入れているのは間違いないんでしょうけど、サーカス用品を専門で扱っているお店があるなんて考えてみたこともなかったです。
おそらくこういう商品が売られているんでしょうね
おそらくこういう商品が売られているんでしょうね
さあ、そんなサーカス用品店、すごく興味ありますよね。さっそくお店に入ってみたいと思いますが……。
あれ、開いてない?
あれ、開いてない?
残念なことにお店は閉まっているようです。

定休日なのかなー、ということで後日、看板に書かれていた電話番号に連絡してみると。
そういうシステムなんすね
そういうシステムなんすね
まあ確かに、通りがかりの人がフラッと買いに来るようなお店じゃあなさそうだし、しょっちゅう開けてといても仕方がないんでしょうね。

……というわけで日を改めて取材をさせてもらうことになりました。
今日はお店を開けてもらっています
今日はお店を開けてもらっています
異世界に吸い込まれそうなスゴイ階段を上がると……
異世界に吸い込まれそうなスゴイ階段を上がると……
サーカスの楽しさと怪しさが凝縮されたようなポスターたち
サーカスの楽しさと怪しさが凝縮されたようなポスターたち
これまた怪しげなピエロが貼られていて、ものすごく入りづらい入口
これまた怪しげなピエロが貼られていて、ものすごく入りづらい入口
お店に入る前から「さすがサーカス用品店!」といった非日常的な雰囲気がビンビンに漂っています。

一見さんにはすさまじく入りづらい入口ですが、ドキドキしながらお店の中に入ると……!
うおおおおおっ! なんだかよく分からないものがいっぱい
うおおおおおっ! なんだかよく分からないものがいっぱい
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サーカスはフランスが本場!

狭いスペースに、なにやら楽しげで怪しげなアイテムの数々がみっちみちに置かれた店内。
そのどれもが人を楽しませることのみに特化したものということで、なにに使うのかよく分からなくても見ているだけでウキウキしてきますな。

そんな店内で、代表のIKUO三橋さんが出迎えてくれました。
「ちょっと物を持った写真を撮らせて」とお願いしたら巨大なナイフを構えてくれました
「ちょっと物を持った写真を撮らせて」とお願いしたら巨大なナイフを構えてくれました
ほいっほいっ
ほいっほいっ
サービスで(?)ナイフをクルクル回してくれましたが
サービスで(?)ナイフをクルクル回してくれましたが
すごく狭いスペースなので怖い! ひー!
すごく狭いスペースなので怖い! ひー!
このIKUOさん、自らもパフォーマーとして活動しているというだけあって、すごく楽しいユカイなおじさんです。
日本唯一(たぶん)の店舗型らしいです
日本唯一(たぶん)の店舗型らしいです
ただ、このお店も現在は規模を若干縮小していて、デカイ商品は丹沢にある倉庫に置いてあり、そこから直接発送しているんだとか。

――そもそも、なんでサーカス用品のお店をはじめようと思ったんですか。

「サーカス用品ってなかなか日本じゃ手に入らないから、もともとは自分のやってる劇団で使うために個人輸入していたんだけど、他の人たちも手に入れるのに苦労しているみたいだから、すでにルートを持ってたウチがお店をやったら便利だろうなって思ったんだよね」

――あ、やっぱりサーカス用品って日本じゃ手に入らないんですね。

「日本で作ってるメーカーもあるけど、一般向けなんでプロのハードな現場での使用に耐えないものが多いんだよ、やっぱりフランスが本場だね」
意外な経歴!
意外な経歴!
すごいんでしょうね、やっぱ
すごいんでしょうね、やっぱ
日本でパントマイマーとして活動した後、「本場で勉強しなきゃ」とフランスに渡り、ついにはフランス初の国立サーカス学校であるパリ国立サーカス学校の講師をつとめるまでになったんだとか。

正直、“昔ちょろっとパフォーマーをやってたけど諦めてサーカス用品店をやってるおじさん”だと思ってたんですが、実はすごい人だったんですね。

知らなかったとはいえスミマセン!
IKUO 三橋・著『サーカス芸入門』!
IKUO 三橋・著『サーカス芸入門』!
なんと、こんな本も出版されているそうです。

世の中には色んな教則本がありますが、サーカス芸の教則本なんてものもあるんですなぁ。数々のサーカス用品にまじって、もちろんこの本も売られていたので購入させてもらいました。
「クラウンのギャグで笑わせちゃおう!」
「クラウンのギャグで笑わせちゃおう!」
本の中では、ジャグリングやアクロバットのテクニックはもちろん、クラウン(ピエロ)の重要な仕事であるギャグのやり方なんかも解説されていて、まあボクは一生サーカスとかやることはないでしょうけど、それでも興味深い内容。
メイクのテクニックなども紹介されています
メイクのテクニックなども紹介されています
クラウンのメイクをするにあたって、第一のアドバイスは「お母さんのいらない化粧品をもらっておきましょう」だそうです。
子供むけの本かと思いきや、サーカステントの設営にまで触れられていたりして……本格的!
子供むけの本かと思いきや、サーカステントの設営にまで触れられていたりして……本格的!
「サーカスって演劇、アクロバット、ギャグ、動物の芸……ってなんでもアリだから面白いでしょ。もっと多くの人にサーカスの楽しさを知ってもらいたいし、興味を持ってくれた人たちがはじめやすいように、こういう本を書いたり、サーカス用品の店をやったりしてるんだよね」

さすがサーカス学校で講師をしていただけあって、後進の育成にも積極的に取り組んでいるようで、サーカス芸のワークショップを開いたり、ここ野毛地区の一大イベントとなった「野毛大道芸」の立ち上げにも携わったりしているそうです。
サーカス・ワークショップのチラシ「今度やる時は来なよ!」といってもらいましたが
サーカス・ワークショップのチラシ「今度やる時は来なよ!」といってもらいましたが
……そんな感じで、そろそろ肝心のサーカス用品の数々を見せてもらいましょうか!
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色々気になる商品のお値段は

それでは、店内の商品を見ていきましょう。
ジャグリング用のボール
ジャグリング用のボール
皿回し用の皿
皿回し用の皿
まあこの辺の、東急ハンズとかでも売られていそうなものから。
大小各種ナイフ
大小各種ナイフ
ファイヤー・スティック、3900円也
ファイヤー・スティック、3900円也
先端のファイヤー布という部分に灯油をしみこませて使うそうです
先端のファイヤー布という部分に灯油をしみこませて使うそうです
こちらもファイヤー物の、ファイヤーボール&手袋。セットで15750円! 手が燃えちゃわないように丈夫に作られているんでしょうが、結構いい値段しますな
こちらもファイヤー物の、ファイヤーボール&手袋。セットで15750円! 手が燃えちゃわないように丈夫に作られているんでしょうが、結構いい値段しますな
こういった、サーカス用品店ならではの商品もいっぱいありますし。
変な帽子
変な帽子
変な衣装
変な衣装
変なクレヨン
変なクレヨン
さらには、クラウン用の衣装やメイク道具なども揃っています。

しかし、なんといっても最もインパクトが強かった商品はコレでしょう。
空中ブランコ!
空中ブランコ!
おお、やっぱり空中ブランコとかも売ってるもんなんですね。
さあ、空中ブランコのお値段、気になりますよね
さあ、空中ブランコのお値段、気になりますよね
なんと126000円ッ!
なんと126000円ッ!
さすがの価格.comにも空中ブランコの値段は出ていないんで相場というのが分からないですけど、こんなにするもんなんだ!

空中ブランコなんて、要は丈夫なロープの先に棒ッ切れをくくりつけたものでしょ? くらいの認識だったんですが、先端の棒が丈夫なことはもちろん、かなり重く作っておかないと、長い間ゆれ続けてくれないんだとか。
まあ高級な一輪車×3と考えればこのくらいの値段はまだ納得できるんですが
まあ高級な一輪車×3と考えればこのくらいの値段はまだ納得できるんですが
玉……玉……ただの玉が47万円!? 金で出来てるわけでもないのに! 「安定感が違う」とのことです
玉……玉……ただの玉が47万円!? 金で出来てるわけでもないのに! 「安定感が違う」とのことです
複数人数でチーム・アクロバットをする時に使用するシーソーらしいんですが、それにしても50万!
複数人数でチーム・アクロバットをする時に使用するシーソーらしいんですが、それにしても50万!
買う気もないのに余計なお世話ってヤツですけどね
買う気もないのに余計なお世話ってヤツですけどね
いやあ、サーカスをはじめるのにも初期投資でかなりお金がかかるんですね。

それにしても玉……。

まあ、販売数や丈夫に作る必要性なんかで値段も決まってるんでしょうけど、それでも……三連一輪車よりも玉が高いなんてちょっと納得出来ない!

未知の世界の専門店は面白い

サーカス用品なんて相場もなにも分からないので、ほへーほへーいって見ているだけでしたが、全然知らない世界のために作られた専用のアイテムがズラズラ並んでる様は見ているだけで愉快な気分になってきます(どんなに高くても別に買う気もないし、欲しくもないのでストレスがたまらないってのもあると思いますが)。

丹沢にある倉庫には、今回見られなかったデカイ商品や、サーカスの練習場もあるらしいので、チャンスがあったらそっちの方にも行ってみたいですね。
●サーカス用品店むごん劇かんぱにい
神奈川県横浜市中区野毛町2-78
http://www.mugongeki.co.jp/
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