特集 2011年7月19日

夏の公園で遊ぶ子供に暑くないのか聞く

この暑さの中、走りまわる子供。それが信じられなくて「暑くないのか?」と聞いて回った。
この暑さの中、走りまわる子供。それが信じられなくて「暑くないのか?」と聞いて回った。
100円払うから言わせていただきたい。暑い。

こんなに暑かったっけ?と思うほど今年の東京は暑い。暑いというか熱いというか日なたではなんだか危険な感じがするほどだ。

そんな猛暑中の先週末、公園でガンガン走りまわってる小学生の集団がいた。うわ、すごい、信じられない。君達、暑くないのか!?

暑いのか暑くないのか、その答えを聞いて回った。
動画を作ったり明日のアーというコントの舞台をしたりもします。プープーテレビにも登場。2006年より参加。(動画インタビュー)

前の記事:モノレールしかない沖縄にも駅弁がある

> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

日陰が極端に少ない公園での出来事だった
日陰が極端に少ない公園での出来事だった

今週もいるのか?

子供たちがいたのは今日と同じ土曜の午前11時半頃。太陽も頂点に近く、暑さもそうだがとにかく日射しがきつい。

さすがに今日は誰もいなかった。

ちょっと待ってみたところ幼稚園くらいの姉弟がお父さんに連れられてきた。帽子もかぶってないので、移動中にちょっと寄った感じだ。
すべり台、やけどするくらい熱い
すべり台、やけどするくらい熱い

先週の勇者たち

先週も暑かったが、そんな中、彼らは鬼ごっこをしていた。

一人の男の子が突然「勝利の女神だ」と名乗った。「女神?女なの?」と年長者の女の子が気づく。

女神だ女神だ、とはやし立てながら集団は逃げ、残された男の女神は追いかける。

彼は女なのか?いや、女なのかどうかは当然問題ではない。

問題はその一連のやりとりが猛暑のさなか行われていることだ。それ本当に35℃付近でやることなのか?
鬼ごっこは25℃にして、35℃はおしゃべりか昆布の形態模写くらいしかやっちゃだめだと思う
鬼ごっこは25℃にして、35℃はおしゃべりか昆布の形態模写くらいしかやっちゃだめだと思う

暑くないのか

先ほどの姉弟のお姉ちゃんがきゃあきゃあ叫びながらブランコに座る。

「暑くないの!?」ちょっと驚いて声をかけてみると、「‥‥(うん)」女の子は黙ってうなずいて去っていった。

そうか、暑くないのか。

なんという超人なのだろう。最近の子供は頑丈にできている。感心、感心。非常に感心である。
ブランコはうまく計れなかったが
ブランコはうまく計れなかったが
砂だと67℃くらいあった。体感では同じくらい。
砂だと67℃くらいあった。体感では同じくらい。

ブランコ多分60℃はあるぞ

後ほどどれくらい温度があるのか計ってみた。

ブランコはうまく計れなかったが、同じくらいの熱さだった砂場の表面で67℃ほどだった。暑くないわけがない。少なくとも熱い。

そうか、恥ずかしかったのかもしれない。いや、待てよ、そうか。私が不審だったのだ。

不審か。いや、いい。それならそれで別にいいのだ。不審者と話さなかった女の子は感心、感心。花まるあげたい。

対して不審者の私には厳罰を処したい。

それも丸太ん棒を二本使ってぎりぎりと締める独創的なやつを、たっぷりと、くらいがふさわしい。
グラフの意味はないが、一応最初なので
グラフの意味はないが、一応最初なので
ニつ目のパブリック灼熱地獄(公園)にゴー☆彡
ニつ目のパブリック灼熱地獄(公園)にゴー☆彡

第二ラウンド、水鉄砲中の子供

さっきの姉弟はちょっと寄っただけっぽいのでなんとも言えないが、次の公園に移動した。

ここではこの公園の水道を利用して水鉄砲で遊ぶ子供がいた。

水遊びか。納得だ。それは暑いから水遊びやってるのだ。

それでも「暑くないの?」と聞いてみた。
男の子は黙ってうなずいてどこかへ行った
男の子は黙ってうなずいてどこかへ行った

ちょっと反則、水遊び

男の子は黙ってうなずいていた。そして去った。はい、君も暑くない、と。

感心、感心。君にもはなまるあげよう。僕?僕は不審者だから極刑かな。

それもトビウオやダツといったの尖って突進力のある魚を利用した動物愛護団体から吊るし上げをくらいかねないやつを、たっぷりと、かな。
今のところ100%不審
今のところ100%不審
これはなんなんだろうね、と思うくらい熱いイス
これはなんなんだろうね、と思うくらい熱いイス

意味がわからなくなるほどの温度

砂場にばかでかいどんぐりが埋まっている。ユーモラスだがさわると「一体これはなんなのだ?」と思うほど熱い。

ユーモアが灼熱。これはどういうものなのだ。

いや、こんな舌先ばかりのおしゃべりはやめにしよう。そして正直に言おう、ここから先は何も起こらない。

正確に言うと子供がいなかった。暑すぎて子供がいなかったのだ。

そんなわけないだろう、と思われる方はぜひ次ページに進んでもらいたい。この調子で4ページいってるから。
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いないと言ったろう
いないと言ったろう
何もないと思われたすべり台で、すべり終えた先に何かを発見(ドラクエ的だ)
何もないと思われたすべり台で、すべり終えた先に何かを発見(ドラクエ的だ)

子供がいないぞ

そう、ここから子供がいないことに気づいた。公園の規模が一回り小さくなったからか、正午に近くなったからか、子供が全くいなくなった。

だからといって大きな公園にいってしまうと日陰も多くなる。日なたを走りまわる超人集団(サスケオールスターズくらいをイメージしている)を見るならこういう小さな公園なのだ。
タバコを何度も押し当てられたようなGO-BANG'sのCDを発見して人生の経験値がたまりついにレベルアップ!
タバコを何度も押し当てられたようなGO-BANG'sのCDを発見して人生の経験値がたまりついにレベルアップ!
灼熱の荒野にパンダ二頭。子供ゼロ。
灼熱の荒野にパンダ二頭。子供ゼロ。
この公園にゴリラがいるぞ
この公園にゴリラがいるぞ
木陰があってもいない
木陰があってもいない
暑いうえにいたずらが陰惨
暑いうえにいたずらが陰惨

いないことが正しいのだが…

それにしてもいない。このいなさ加減、ちょっとおかしくないか?

いや、「こんな暑いのに外で遊ぶなんておかしくないか?」と言いたくて外に出たのに、何を逆のことを言ってるのだろう。

暑いから子供は公園にいない。それは正しいのだが、私たちが子供に期待してるのはその超人っぷりなのだ。
ここは平和なロッキンが3つ
ここは平和なロッキンが3つ
面構えも平和だが
面構えも平和だが
引いて見るとパブリック灼熱地獄。
引いて見るとパブリック灼熱地獄。

本当に実在するのか?

もしかしたら夏の公園で遊ぶ子供たちなんてそもそもいなかったのかも。大人のノスタルジーが作り出した幻想だったのかも。そんな気さえしてくる。
子供ゼロ 子供ゼロ
0点 0点
ペケ ペケ
最初の公園に戻る、いない 最初の公園に戻る、いない
緑道沿い、いない 緑道沿い、いない
いるけど木陰で水遊び いるけど木陰で水遊び

企画が逆転する

今や企画は完全に「夏の公園で遊ぶ子供はいないのか?」に変わってしまった。

いや、もうそれでいい。いけどもいけどもこれといった子供がいないのだ。暑い。だからこそいない。

もし夏の公園で遊ぶ子供がいたとしても、「暑くないか?」ではなく、その手をとって「ありがとう‥‥」とひざまずいて泣いてしまうかもしれない。
日陰でDSやるのが現代の公園か
日陰でDSやるのが現代の公園か

日陰でDSやってるのが通常か

遊具の陰でDSをしてる集団が目についた。そうか、こういうのが正解なのかもしれないと思った。

外で遊ぶのは危険、なら木陰で動かない遊びといえば今は携帯ゲーム機だろう。いや、まったくもって正しい。熱中症にならないから感心、感心。僕?僕は不審だから極刑。

いよいよ日なたを走りまわる子供の存在が信じられなくなってきた。
絶望 絶望
断念 断念
徒労 徒労
何度か最初の公園に戻ってこれは夕方5時。誰も来ない。
何度か最初の公園に戻ってこれは夕方5時。誰も来ない。

二日目に突入

世田谷だからだめなのか?そう思って翌日は江東区の公園を覗きに行った。

しかし結論は最初の通り、子供がいない。当然次のページに進んでも何も起こらないので覚悟していただきたい。
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江東区豊洲。子供が多い気がする。
江東区豊洲。子供が多い気がする。

子供対策も入念に(後に効果なしと判明)

東京の東側、江東区へ。何度かこの辺の公園で撮影をし、子供が多い印象があった。

[参考]傘があれば忍者になれる

不審がられないよう、だらしなく伸ばしていた顎髭も剃った。明け方に天啓を得たとばかりにハッとして剃ったが、後に全く意味がなかったことが判明。
さあ、子供いないめぐり、スタートです
さあ、子供いないめぐり、スタートです
団地付近の公園、いない
団地付近の公園、いない
海沿いの公園。上半身裸で歩いている大人が目に付く
海沿いの公園。上半身裸で歩いている大人が目に付く

この気温なら屋内か

日傘をさした男の子二人が、ショッピングモールに入っていった。

親としては不恰好でも日傘を持たせたいし、遊ばせるならショッピングモールくらいにしておきたい。その気持ちはよく分かるし、これが普通か。

しかし子供は変なおじさんだから変なおじさん♪と歌いながら入ってった。心配とは無縁の陽気な歌声と選曲だった。
自転車練習は親子でやってるので安心度が高いのか、暑くないのか?って感じじゃない
自転車練習は親子でやってるので安心度が高いのか、暑くないのか?って感じじゃない
子供用遊具のそのマイルドな見た目と表面温度の高さのギャップには心ひかれる
子供用遊具のそのマイルドな見た目と表面温度の高さのギャップには心ひかれる
この日陰の無さ、暑いに決まってる
この日陰の無さ、暑いに決まってる

暑いと思う

遊具で遊ぶ親子が何組かいたので、親が目を離したすきに「暑くないの?」と聞いた。

5~6才の男の子は黙ってうなずいて、また遊びに戻っていった。

どう考えても暑いと思う。なんだかもう信じられなくなってきた。

ああ、走りまわっている子供とかいないのか?どう考えても暑いだろ、と思えるような子供がいたらいいのだが。
今回逃げなかったのは近くにお父さんがいたからだと思う
今回逃げなかったのは近くにお父さんがいたからだと思う

大きな公園に行く

子供のいる他のライターに電話して聞いてみると、たしかに今公園に子供はいないという。水遊びのできる公園には逆に多いくらいいるらしいが、普通の公園では姿を見ないという。

どうしよう、どこに行ったらいるのだろう?

大きな公園でいえば、世田谷公園はどうだろうか?という話になったので世田谷に戻る。

まあ、いなかったんだけども。
プールがあってそこは子供がたくさんいた
プールがあってそこは子供がたくさんいた
そして木陰で水遊びのプレーパークも人気
そして木陰で水遊びのプレーパークも人気

プール人気すごい

世田谷公園にはプールがあって人が押し寄せていた。水中メガネとキャップを着用して駆けてく子供もいた。待ちきれない感がすごい。

あとは水遊びのできる場所も人気。それ以外は親子連れの単独グループがちらほら、といった程度。

ショッピングモールやプール、水遊びのできる公園。正解をたくさん知るが、だからこそ日なたを走りまわる子供を見たくなる。

次ページも何も起こらないのだが、最後なので走り回ってる子供くらいは見つけてきた。
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子供だけ集団はやはりマイナー公園に

世田谷公園のすぐそばにある別の公園に寄ってみた。地元の小学生が男女二集団いた。
男の子は遊具の陰でDSをして
男の子は遊具の陰でDSをして
女の子は木陰でおしゃべりをしている
女の子は木陰でおしゃべりをしている
柱にしがみついて「すごいものを見つけたんだ」と友人に報告しにいく小学生。多分すごくないのだろう。
柱にしがみついて「すごいものを見つけたんだ」と友人に報告しにいく小学生。多分すごくないのだろう。

夏の公園の使い方の基本

男の子の二人組が遊具の中で携帯ゲーム機で遊び、時折水道の水をペットボトルに入れに行く。

一方、女の子は木陰のベンチでおしゃべりをしている。聞こえてくるのは携帯電話の話やジャニーズの話。

男はバカで女はませてて、今の子の公園遊びはやはりこういうのが正解なのかと思う。
じゃあ誰がこの真中のスペースを使うのかといえば、大人が出てきてフットサルがはじまった。大丈夫か、大人。
じゃあ誰がこの真中のスペースを使うのかといえば、大人が出てきてフットサルがはじまった。大丈夫か、大人。

最後の最後で何かが起こる

最初に自分で言っておいてなんだが、本当に何も起こらないな。

一体どこにいるのだ、とまた近所の公園に戻ってきた。木陰が多い、と紹介した公園であるが、携帯ゲーム機の小学生集団が威勢良い。これは見込みがあるかもしれない。
木陰で携帯ゲーム機で遊ぶ子供たち
木陰で携帯ゲーム機で遊ぶ子供たち

DSからブランコへ

しかし何も変らないか、とあきらめながら、だからといって他にあてがあるわけでもなく‥‥じっと待っているとブランコ遊びを始めた。そうか、遊びは変わるのか。ゲームばっかりじゃないのか。

これは待ってたら走りまわるかもと思ったら、きた、鬼ごっこが始まった。
ブランコ遊びにうつった、そうか、遊びは移り変わるのか
ブランコ遊びにうつった、そうか、遊びは移り変わるのか

走りまわった!

ついに鬼ごっこが始まった。ボールと高い場所を使った、うんと激しいやつである。

けたたましい叫び声とやたらめったらな動き。 「禁断の作戦やっていい?禁断の作戦やっていい?」と不穏な言葉が飛び交う。

時刻は午後三時半と、陽も落ち着いてきたころであるし、木陰も多い公園だが、とにかく走りまわってくれた。

「禁断の作戦!禁断の作戦!」まだ言ってる。禁断なのにそんなに連呼していいのか不安になるが、なんだっていい。やれ、やってくれ!

とにかく実在した!夏の公園で走りまわる子供はやっぱりいたのだ!ワーッ!
高い場所とボールを使って鬼ごっこが始まった!暑いに決まってる!
高い場所とボールを使って鬼ごっこが始まった!暑いに決まってる!

感動の一瞬のはずが

いよいよこの時がやってきた。二日間回っていよいよめぐってきたチャンスである。

とにかく暑かった。この暑さで走り回ったらそりゃもう暑いに決まってるが、聞くのだ。

今まで100%無言だけど大丈夫か?

暑くないの? と聞いてうなずいたら、どう話を展開させよう。本当に?とダメをおしてみようか。よし、それだ。

意を決して、あのさあ?と小学三年生くらいの太ったメガネの男の子に声をかけた。

聞こえているだろうその距離で、男の子はスーッと通りすぎていった。

もう一度強く言った、あのさあ。
無視か‥‥
無視か‥‥
図示するとこうなる。100%無言であることがわかる。
図示するとこうなる。100%無言であることがわかる。

子供が公園で遊ぶのも大変なんですね

たしかに走りまわる子供がいたにはいたのだが、最初の結論の通り、何も起こらなかった。

いや、こうして見ると、やっぱり無視が正解だ。おっさんがなんか声かけてきて良いことなんてひとつもない。今回にしたって「暑くないのか?」なのだ。リスクが高すぎる。

それにしても、都会の子供のセキュリティ意識は立派だな~。

100%強がりであるが、身を持って不審者になることで知り得た現代っ子の大変さ。

暑さも大変だし、防犯も大変。よくやってるよ、うん、あげよう。花まるあげよう。え?僕?僕は不審だから、極刑だよ。(了)
公園を見て回るのはアンパンマンのパトロール気分だったが本物の人がいた
公園を見て回るのはアンパンマンのパトロール気分だったが本物の人がいた
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