特集 2019年1月21日

和服+金色の背景で”お歳暮のひと”になれるぞー!

みんなー!お歳暮のひとになるぞー!

年末、街を歩いていると高級なハムやビールなどお歳暮を送ろうと促す広告が目に入る。もうこんな時期か、季節の移ろいを感じるとともに思う。

「お歳暮のひと、みんな和服を着て金色の背景の前にいるな。」

よし、筆者もお歳暮のひとになってみよう。

埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。(インタビュー動画)

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まずはいったん心を年末年始にしてください

さて、1月も下旬となりそろそろ正月ボケも治まってきたところ申し訳ないのだが、いったん心を年末まで戻ってほしい。なぜなら筆者がお歳暮の話をしたいからだ。

今回の年末は両親とも21時には「もう寝る」と言って布団をかぶってしまい、年越しそばも食べずに過ごした。うちの親はあまりにも世相に流されない。

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我が家のお雑煮である(埼玉ルーツ?)

醤油ベースの汁に、煮た角餅。具材は鶏肉、大根、ほうれん草、海苔、三つ葉、正月はこれにゆずの皮が乗る。大変おいしいので北向家では年がら年中お雑煮を食べている。

やぁ2018年も良い年でしたね、今年の紅白はけん玉成功するかなあ。そんな気持ちになったところで、今回は『お歳暮のひとのなり方』についてである。

本題です

皆様は「お歳暮のひとになれるのは一握りの人間なのだ…」と、心のどこかで諦めてはいないだろうか。そんなことはない、誰だってお歳暮のひとになれるのだ。

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お歳暮の広告、これである

お歳暮の広告らしさは、衣装・背景・モノ

お歳暮になるべく、広告を並べて見えてきた共通項は以下の通りだ。

・和装である
・背景は金色である
・だいたい手には風呂敷の包みを持っている

”暮れの挨拶”をイメージさせる和装や風呂敷もお歳暮のひとには欠かせないマストアイテムなのである。

今回は「衣装」「背景」「モノ」の3つの軸で"お歳暮のひとらしさ"に迫った。

お歳暮チャレンジ

衣装、背景、モノ。この3つを満たすだけで誰でも簡単にお歳暮のひとになれる。裏を返せばその3つのどれかが欠けることでお歳暮のひとではなくなってしまうということだ。

では何を満たせば可で、何が欠けたら否なのだろうか?境界を探る冷静な判断を下すため、見届け人の皆様にご協力いただいた。

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こちらに編集長の林さんをくわえた4名。編集会議の前の時間をお借りしました

「衣装○背景○モノ○」は文句なしのお歳暮人

さぁでは始めていこう。まずは衣装、背景、モノのすべてが揃っているパターンからである。

そもそもこれがお歳暮のひとに見えなかったらその時点でアウトだ。筆者がすごい恥ずかしくなってこの後の編集会議も欠席する。

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羽織に着替える。ヤフオクで競り落としました

安物なのでパーツが揃っているのかもわからないし着付けも不安だけどやさしく見守ってほしい。オークション、はじめて挑戦したので無駄に緊張した。いろんなものが安価で手に入れられるし便利だなと思いました。

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着付けの調整

これトルーさんが撮影してくれたのだけど、すごい上からの視点じゃないだろうか。トルーさんが身長3メートルくらいあったときの写真だ。

ちょっと金色の背景についての説明

ちらっと先ほどの写真に写り込んだ金色の紙が今回使う背景である。写真スタジオ業界では撮影用の背景を”バック紙”などと呼んだりする。
これが今回の肝でありがんばりポイントなので少し補足したい。

お歳暮特有のあの背景を作る。おそらく金屏風のイメージなのだと思う、それらしい質感の金色を後ろに敷いたらそこに模様を乗せていく。屏風といえば霞が欠かせないだろう。

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こう、Illustrator(というソフト)で赤い四角をいっぱい並べたらパスファインダー(という機能)で合体させて…
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「角を丸くする」で瞬時に霞っぽい感じになった。今回1番の為になる情報です

デザイナーの方からすれば「なにをそんな当然のこと」と思われるかもしれないがただのサラリーマンである筆者はそれっぽいものが目の前に現れるたびにホクホクと興奮する。
ここに松竹梅や鶴などめでたい要素を追加していけば…

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じゃーん完成、めでたい背景

さらにこれを印刷屋でA1サイズに出力すれば…

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じゃーん完成、ぜんぜん小さいバック紙

うそ、充分大きいと思ったけど全然足りない。本番までに身長を半分にする必要がある。
泣く泣くA0サイズで出力し直してなんとか間に合わせた。このサイズでも半身ギリギリ、かなり大きく印刷する必要があるようだ。

あと、持つモノについては適当な赤い布を適当な箱に包めばどうにかなる。

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わちゃわちゃしていたらべつやくさんが包んでくれた。はじめて風呂敷を見た人みたいだ

お待たせしました。お歳暮のひとです

さぁではこれらすべて揃った場合の写真が、こちらだ。

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はい!

どうだろう、なかなかのお歳暮ぶりではなかろうか。

見届け人の評価
・完璧完璧、完全にお歳暮のひと(古賀)
・歌舞伎役者の息子っぽい(林)
・歌舞伎役者のいとこっぽい(古賀)

良かった!ぶじにお歳暮のひとになれた。
そして副産物として歌舞伎役者の息子にもなれることがわかった。

さらにはキャッチコピーを明朝体で添えることでお歳暮は加速していく。

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伝統の贈り物  日本の心を、あの人へ


次第に熱を帯びていく現場。周囲から「爆笑してみて!」という指示が入る。爆笑?

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爆笑??

なんで、と思いながら爆笑してみたが、意外と見届け人の評価は高かった。

・これはこれであり、新年っぽい(林)
・「おめでとうございます」感がある(べつやく)

 

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この3つが揃った効果は絶大だ。正解を把握したところで少しずつずらして何が欠けてはいけないのかを検証していく。

「衣装○背景○モノ×」もわりといける

次にモノをずらしてみる。果たしてお歳暮人においての持ち物の重要性は?
先ほどの赤い布をほどいて箱を丸出しにしてみよう。

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・変わったデリバリープロバイダだ(林)
・初詣帰りに荷物を受け取ったひとだ(べつやく)
・わりといけるけど、なんの広告かはわからない(べつやく)
お歳暮度:80点

混乱もあったが、意外とそれらしくなる、とのことで80点の評価。
モノは他にもうふたつ、家から適当にむんずとつかんで持ってきた。まずはなんとかなりそうなコーヒー。

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・完璧、違いがわかるひと。宮本亜門だ(古賀)
・宮本亜門か野村万作(べつやく)
お歳暮度:90点

そもそもコーヒーって「ネスカフェ ゴールドブレンド」だったり「ワンダ 金の微糖」だったりやたらと金色との相性が良い。
匂いを嗅いでみて!というガヤに従う。

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・それっぽい?かも?(古賀)
・匂いを嗅ぐのって、コーヒーを淹れてからじゃない?(べつやく)

もっともだと思う、コーヒーの瓶を直接嗅ぐCMは、たぶんない。
今回は前述の通り見届け人が多い。それはつまり横から自由闊達な茶々が入るということでもある。
 

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ときは1月4日。三が日があけ自由な論議を交わす見届け人の皆様

一方でお歳暮に向かないものもあった。鍋だ。

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・なんだろう(古賀)
・ジャパネットだ(林)
・新年の通販だ!(べつやく)

ジャパネットの初売りだ、とざわつく一同。
林さんが「別の島に着いた。この島じゃないな、という島に」とつぶやく。我々は座礁したのだ。

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ちなみにアマゾンの箱以外のモノたちの出番はここで終わりです。
和装と背景との組み合わせは強力だった。ほぼこれがお歳暮成分なのだろう。

「衣装○背景×モノ○」で一気に崩壊する

では次、背景を除いたらどうか。
衣装をおさえておけば大丈夫じゃない?という見届け人たちの予想に反してどうにもならなかった。

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どういう状況?


・なにしにきた感(べつやく)
・撮影合間の楽屋みたい(べつやく)

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明朝体でドーピングしてもどうにもならない

あれ、こんなに一気にゼロ点になるのか。
他の背景でも試してみよう、とのことで隣の応接室で撮ってみる。

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・NHKのBSの番組っぽくなった(べつやく)
・新年の対談だ!(古賀)
・おみやげを対談相手に渡すんですかね(トルー)
・完全に蛇足の写真だ(林)


これはお歳暮ではない。ただ、また別の島に流れ着いた。

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適当なタイトルを入れてみた

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応接室で和装を着るとNHK BSになる。世界は発見に満ちているなあ。

さらにお歳暮が遠くへ行くのは確定的だが、持ち物をアマゾンの箱に変えたのが以下の写真だ。

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もちろんだめだ


・なんで着物着てるんだろう(べつやく)

なんで着物を着ているんだ、の姿勢が猫背にも表れている。ちょっと正解を忘れかけている頃合なので今一度正しいお歳暮のひとを見返そう。

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ああそうそう、これこれ。
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あと、さっきからずっとべつやくさんがサーティーワンを食べている

最後に衣装をずらしてみる

林さんが「水道工事のひとの衣装あるよ」と編集部から作業着を引っ張り出してくれた。デイリーポータルはなんでもあるので頼もしい。

トルー「いま調べてたら、阿部寛がニット着てるんですよ」
古賀「あー、ハムのひととかも普通に洋装着てる」
べつやく「意外とお歳暮っぽくなっちゃうんじゃない?」

これで奇跡的にお歳暮のひとになったりしないだろうか。頼む!もう一波乱起きてくれ!

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頼む!
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どうだ!?
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ぜんぜんだめだ!

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波乱は無しです、ありがとうございました。


「おじいちゃんな、昔はお歳暮のひとだったんだ」「フフ、おじいちゃんたらまたその話?」

最後なんて衣装、背景、モノすべて揃っていないのだからお歳暮のひとになるわけがない。やはりこの3つを揃えることでお歳暮が生まれるのだなぁという深い気づきがあった。
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"カメラロールの肥やし"だ
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