ついに銭湯の重油ボイラーで芋やリンゴやファミチキが焼けた

いよいよボイラーに火が入った。食材を並べた部分もかなり高温になっているはずだが、一体どれぐらいの時間をかければちょうどいい焼き具合になるのかはまったくわからない。
桂さんは「そこはスズキさんの判断にお任せしますわ」と言う。こんなに難しい判断を任されたことがあったろうか……。
編集部からあらすじ
銭湯の店主に、ボイラーで焼き芋が焼けると聞き、ぜひと頼んで焼かせてもらえることになった。窯の掃除をすませていよいよ投入した食材。はたして……!
前の記事:いよいよ銭湯の重油ボイラーで芋やリンゴやファミチキを焼いてみる

ライター:スズキナオ
第一回:やるぞ窯の掃除!
第二回:いよいよ焼くぞ
第三回:芋とファミチキの焼け具合
第四回:たまごとりんごの焼け具合
第五回:コンビニ弁当の焼け具合
※小出し記事は書けたところから即、小出しに公開する連載企画です!
焼き上がりまでの間、銭湯の湯が温まる仕組みを教わる
根拠も何もないが、なんとなく「30分ぐらいしたら開けてみましょうか」ということに。
その間、ボイラーで加熱されたお湯が浴場内にどのように循環していくかを教わった。千鳥温泉には浴室中央にある熱めのお湯が張られた湯舟の他に、ぬる湯、水風呂などいくつか浴槽があり、それぞれのお湯(水)は混ざらずに独立している必要があるため、パイプの構造もその分だけ複雑になる。


温かいお湯がもわもわっと湧いてくるパイプということで、「男ワキワキ」「女ワキワキ」と書いて識別しているそう。

お湯を加熱するパイプとは別に、それぞれの湯舟のお湯(水)を吸い上げ、ろ過機に通して清潔に保つためのものもある。ろ過機に投入するための薬剤を準備する桂さんの姿を脇で眺めながら「銭湯の仕事って大変なんだな……」と素朴過ぎることを思う。当然のことだが、番台に座っているだけなんかじゃないのだ。

30分が経ち、ついに扉を開ける時が来た
「そろそろちゃいますか?」と桂さんが言う。ボイラー内の湯温を示す温度計を見ると、いつの間にか80度近い高温となっている。

本来なら一度点火したボイラーは営業終了時間近くまで自動で運転を続ける。お湯の温度がある程度に達したら自動で火が消え、冷めてくるとまた着火される仕組みだ。しかし今回は焼き上がった食材を取り出すために一度ボイラーをオフにしなければならない。桂さん、こんなことに付き合わせてしまってすみません。

桂さんがボイラー上部の扉を開くと、そこには30分前に置いた通りの銀紙が見えた。

まずはサツマイモを包んだ銀紙を取り出してみる。軍手を通しても伝わってくる熱さ。中はどんなことになっているやら。

銀紙を剥いてみると……いい感じに焼けているではないか!手で軽く力を入れただけでサツマイモがパカッと2つに割れた。



私の方は少しだけ芯が残っていて、あと5分ぐらい焼きを入れてもよかったかなと思う感じではあったが、しっかりホクホクして美味しい焼き芋ができていた。

芋は焼けた。ファミチキはどうだ?
こうなってくると他の食材にも期待が高まる。上手に焼けているんじゃないだろうか。銀紙で包んだファミチキを開封してみよう。


ファミチキは四隅がちょっと焦げてカリカリ状態。水で濡らしたキッチンペーパーで包んだ方がよかったかな。しかしギリギリのところで衣の中のジューシーさは失われておらず、ザクザク食感がやけに強めの唐揚げと聞けばそう思えそうなレベル。

桂さんが「これ、30分というのがギリギリやったかもしれないですね。もう少しやり過ぎてたら真っ黒やったんやないですか」と言う。確かに、30分が絶妙なラインだったかもしれない。

こうなるとその絶妙なラインの焼き加減で他の食材がどうなったのか、いよいよ気になるところだ!
ライター:スズキナオ
第一回:やるぞ窯の掃除!
第二回:いよいよ焼くぞ
第三回:芋とファミチキの焼け具合
第四回:たまごとりんごの焼け具合
第五回:コンビニ弁当の焼け具合
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