ライター:スズキナオ
第一回:やるぞ窯の掃除!
第二回:いよいよ焼くぞ
第三回:芋とファミチキの焼け具合
第四回:たまごとりんごの焼け具合
第五回:コンビニ弁当の焼け具合
※小出し記事は書けたところから即、小出しに公開する連載企画です!
焼きたい食材をボイラーに並べていく

用意したもののうち、サツマイモ、リンゴ、玉子を濡らした新聞紙で包み、さらにその外側をアルミホイルでしっかりと包む。

ファミチキをじかに新聞紙で巻くのは気が引けたので、直接アルミホイルで巻くことにした。

コンビニ弁当については、この日のために購入したダッチオーブンに中身を詰め替えて焼くことにする。ダッチオーブンは分厚い金属製の鍋で、キャンプやバーベキューなどで使用されるもの。これで煮ものを作ったりすると食材にじっくりしっかりと火が通って美味しいのだそうだ。

鋼鉄のお弁当箱だと思うことにしてこのまま食べてしまいたいが、もっと美味しくなることを信じて蓋を閉めた。

先ほど掃除をしたボイラーに焼きたい食材を並べていく。


いよいよ重油式バーナーに火がつく
「ほな、いきますよー」と桂さんが重油式のバーナーの作動ボタンを押す。

すると轟音が鳴り響き、バーナーの炎が床を赤く照らし始めた。

これは……どう見てもとんでもない高熱なんじゃないか。火加減どうこうなど関係なく、全部一瞬で真っ黒焦げになってしまうんじゃないだろうか。
本当に今さらだが、そもそもボイラーで焼き芋を焼くなんて、こんなことをして大丈夫なんだろうか。聞いてみたところ、桂さんはこれまでに何度か実際にこうして焼き芋を作っているんだという。
桂さんはこの銭湯を以前の店主から引き継ぐ形で経営しているのだが、前の店主からボイラーの説明を受けた際、「ここで焼き芋は焼けますかね」とたずねたそうである。すると相手は一瞬ポカーンとして「まあ……焼けるんちゃう?」というような返事をしたそう。
ボイラーの説明を受け、真っ先に焼き芋が焼けるかどうかを質問するなんて、桂さんも改めて変な人である。
とにかく、そうして実際に焼き芋を焼いてみた桂さんだったが、結果、本当に美味しく焼けたんだそう。ただ、どれぐらいの時間をかければちょうどいい焼き具合になるかなどといったノウハウは一切なく、毎回なんとなくの勘でやっているらしい。よって、今回がうまくいく保障もまったくないとのことだ。
という感じなので、自宅に重油式ボイラーがあるという方もあまりマネしないでいただけるとありがたい。あくまで桂さんの経験則あってのこの企画なのである。
炎の赤い光に見とれていると、桂さんが私を外に手招きした。「ほら、見えますか?煙突の先から煙があがってますよ」と。見上げると確かに煙突の先端から薄く黒い煙が空に流れていくのが見えた。

以前、親戚の葬式で感じたような、なんともいえない思いが私の胸に去来した。いやしかし、本当に上手に焼けるんだろうか。大丈夫か!?
ライター:スズキナオ
第一回:やるぞ窯の掃除!
第二回:いよいよ焼くぞ
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