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ちょっと見てきて総集編
 
仏像の自販機と飼い主を待つ犬たち 〜ちょっと見たいわ総集編


叙情編

 

 

落ちている靴に胸を痛める

道端に落ちている靴(はるさめ さん)

 「見たいわ」きっての叙情派が、こちら。投稿された当初はまったく身に覚えのないテーマに「ん?」と思ったのですが、掲載してみたら写真がくるわくるわ、そしてそのどれもが味わい深のなんの。投稿者のはるさめさんの切なさセンサーに脱帽です。


いきなり猛烈に切ないです。いかにも「脱ぎ捨てられた」感じに立っている左足。白黒写真なのがまた感傷に拍車をかけます。(写真:たくちく さん)

水に落ちてしまった革靴。今にも水が入って沈みそうなのに、ギリギリで持ちこたえているあたりがけなげ。蓮の葉のみどりとのコントラストも、心に染みます。(写真:やし畑 さん)


同系色の落ち葉に彩られ、片足でたたずむトイレスリッパ。これが店頭ショーケースならよくできたディスプレーなのですが、あいにくここは路上でした。(写真:ころころ さん)

金網のワイルドさが、落ちている靴にもドラマを与えます。きっとロックスターに憧れた一人の若者が、ここで夢破れたのでしょう。(それでなぜ靴を脱いだのかは各自考えて下さい)(写真:タタタ さん)


2足落ちてる珍しいパターン。1足なら、酔っぱらいが…、とか背景が想像できますが、2足とは。一人じゃないぶん切なさは控えめ、かわりに不思議度高めの一枚です。(写真:ホリィ さん)
広い空間が胸を締め付ける1枚。「この写真にタイトルをつけろ」といわれたら、10人中8人は「孤独」とつけるのではないでしょうか。(写真:ひゃくはちじゅう さん)

靴底のみ。底のない靴というのはどんな履き心地であろうか。ほかの人々があまり経験したことのない状況を、この落とし主は経験しました。(写真:ねず さん)

落ちている理由がわかれば安心して見られます。残された黄色い袋が、落とし主は靴を買い換えんですよ、というメッセージです。(写真:タタタ さん)


レンガと靴の色が見事にあっています。現代美術かと思わせるほどの完成度。しかし現実の出来事だとわかると、途端に心がざわつきます。(写真:元町二十四軒 さん)

歩道橋の上です。この歩道橋で何があったのか考えると恐ろしいですが、「サンダルにも夕日を見せてやりたかった」というのがもっとも平穏な推理だと思います。(写真:タタタ さん)

この「見たいわ」に最初に投稿された一枚です。奥方向へ長く延びた道がこの靴の歩んできた道のりを感じさせ、同時に途絶えた前途を強調します。この一枚が、この「見たいわ」の方向性を決定づけました。(写真:よつあし さん)

最後は少しコミカルな写真で胸の痛みを癒しましょう。そろえて置かれた靴のせいで、ポストに人が入ってるみたいに見えます。またはポストが靴はいてる。(写真:ばばたん さん)


 どの写真も、そこにあるのは確かに「哀愁」や「せつなさ」の類なのですが、その一言では到底表しきれない複雑な味わいを持っています。僕が最初に『「見たいわ」きっての叙情派』と表現したわけ、わかってもらえたのではと思います。

道端に落ちている靴(はるさめ さん)

 こちらのページにあともう少し投稿がありますので、秋の夜長にでもじっくりご堪能ください。(半年先ですが)

 

 

 

スカスカの時刻表に泣く

 切なさの応酬はまだまだつづきます。つづいてはこちら。

スカスカの時刻表(とむ さん)

もうタイトル見ただけでキュンときました。誰もが「あー、あるよねー」と思うテーマですが、そんな親近感も、写真が放つ圧倒的な寂しさの前では全くの無力なのです。


文字中央寄せが、かえってスカスカ感を強調。花の丘なんて素敵な名前のバス停ですが、実態は1日2本のバスだけを楽しみに、じっとここで待っているのです。(写真:PhotoPierre さん)

やってくるバスは休日のみ、それも1日1本のみ。「バスは休日21:50のみです」と書けば1行ですむのに、表にしたせいでこんなにスカスカになっています。それでも「時刻表」だから表にせずにはいられない。彼らはそんな業を背負っているのです。(写真:ひゃくはちじゅう さん)


表をやめ、片道1本ずつの時刻を横に並べることで、スカスカ感をかなり抑えています。しかしその努力の背中が、かえって見るものの心を締め付けるのです。(写真:felis-qitt さん)

小さな文字もスカスカを強調します。これまで紹介したものに比べたら決して少ない本数ではないですが、文字が小さいばっかりに…。キュン。(写真:ありょん さん)


数字の位置がばらけてますが、どうやら横位置は分を表しているようです(60に近いほど右)。広いスペースを逆手にとって、精一杯時刻をわかりやすくしようという心意気、泣けます。(写真:地上の☆ さん)
スカスカじゃないじゃん、と思ったあなた、左下にちんまりたたずむ黄色い時刻表の存在に気づいてあげてください。自然に涙が溢れてきます。(写真:ぽぽふき さん)

休日のあまりに堂々とした「運行いたしません」に押されて、平日は便が1本あるにもかかわらず、この所在のなさ。そんなになってまでがんばる必要はないよ!もうやめて!(写真:ありょん さん)
この薄汚れた感じ、はがれかけたシール。いろんな要因が少しずつ積み重なっての、この味わいです。ああ、切ない…。(写真:りと さん)

 いちど涙腺が反応してしまったら、こんどからこんなバス停を見かける度に涙がにじむようになってしまうかもしれません。そんなときは、ぜひ「見たわよ」に投稿して、涙供養していただけたらと思います。

スカスカの時刻表(とむ さん)

 

 

 
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