特集 2026年6月11日

中国で流行っているというザリガニ料理は社交的な食べ物だった

調理!

自宅に戻ってから水を張った容器に移して一晩泥抜きしたところ、翌朝になるとなぜか一匹減っていた。どこにいったのだろう?

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どこにいったか知らないかい?

幸い、試しに料理してみる分には十分過ぎる数が残っている。これ以上数が減る前に速やかに調理してやることに。

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薬味はふんだんに。

調理する前に、腸抜きと言ってフンの詰まった消化器を取り除いてやる。普段何を食べて生きているかわからない野外個体なので必須の工程と言えるだろう。

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尾の真ん中のパーツをペキッと折って、
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慎重に引き抜くと、ワタがひっついて出てくる。
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ワタを抜いたザリガニは、衰弱してしまう前に速やかに熱した油の中へ。

油に入れた瞬間めちゃくちゃに暴れたりしたらどうしよう、と危惧していたのだがそんなことはなく、彼らはあっさりと運命を受け入れて赤く染まっていった。あっぱれな連中だ。

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"もと"は2パック入っていた。

1パックでザリガニ1.5kg分を調理できるらしい。全部入れると濃くなりすぎるから、3分の1くらいを入れて残りは取っておいた。

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赤いザリガニに赤いソース。
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煮詰まってきたら、
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完成!
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ザリガニだけでなく、食事に生まれる「間」を味わおう

冷めないうちに味わっていこう!

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一番立派な個体から。

ビニール手袋をつけて殻を剥きながら食べるのが正しいやり方だそうである。実際にやり始めると、これがなかなか難しい。

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一番大きな可食部がある尾の部分。

殻が固いのである。ちゃんと比較したわけではないけれど、車海老とかよりも全然固い。とはいえザリガニにも言い分があろう。殻はそもそも敵に食べられにくくするためにあるのだし、カメやサギといった敵で溢れた環境で生き抜いていくためには、これだけ強固な殻が必要なのだ。

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力任せに剥こうとするとかなり派手に弾け飛ぶ。

そしてソースが飛び散る。この記事を読んでザリガニを食べたいと思った人は紙エプロンなどを用意しておくといいかもしれない。ザリガニが中国で「夏の風物詩」と認識されている理由の一端を早くも見た気がする。これは、屋外で食べるべきものだ。

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そして出てきた尾の部分の肉。体サイズの割に可食部は少ない。
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気になる味は......。

思ったよりも身が詰まっていて美味しい。唐辛子と山椒をこれでもかと効かせた四川風の味付けもあって、ザリガニ固有の味とか香みたいなものは感じられない。エビと同じだ。というかおそらく、剥いた状態で出されたらエビと区別がつかないと思う。
「見た目のインパクトがあって、食べるのにちょっと手のかかるエビ」を想像してみてほしい。それが中国のアメリカザリガニ料理である。気の利いたことが言えなくて申し訳ないけれど、それ以上でもそれ以下でもないのだ。

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味噌の部分も美味しい。ここもエビと同じだ。
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食べ終わると、食べる前とほぼ同じ体積のガラが残った。
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ガラの山が残る。「食べた!」という満足感が可視化されている。

アメリカザリガニの料理は美味しかったけれど、率直な感想を言うと「エビの方が剥きやすくて可食部も多いのでは?」と思った。味は区別がつかないくらい似ているのだ。
ただ、少し考えてみて実はこの「食べるのに手間がかかって可食部が少ない」部分にこそ中国でザリガニブームが起こった理由があるのではないかと考えた。

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茶館での喫茶の様子。

成都の茶館でお茶を飲んだ時の写真である。机の上を見てもらいたい。お茶請けに用意された食べ物は、殻のついたピーナツ、ひまわりの種、厚ぼったい皮のみかんと、どれも剥くのに手間がかかって可食部が少ないものばかりだ。そして、お茶の席ではこの一見すると欠点とも言える性質が好都合なのである。
殻や皮を剥いている間、手は塞がるけれど口の方は暇だから同席者と会話を続けることができる。可食部が少ないせいでなかなかお腹が膨らまないから長居することもできる。何より剥くと言う行為が適度に間をもたせてくれる。
アメリカザリガニは、社交のための食べ物だった。そして一皿で長居ができる料理がブームになるあたり、中国の懐の深さを見た気がしたのだった。


余った"もと"でイカを炒めてみた

つまり、家で食べる分にはザリガニ料理の良さはあまり活かせないということだ。
余ったザリガニ料理の"もと"でイカを炒めてみた。

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美味しい!

美味しくて、食べやすい。ザリガニに合う味付けはイカにもピッタリだった。我ながら良い見立てだ。と思ったら、

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パッケージでしっかり推奨されていた。「魷」というのは「イカ」という意味の漢字で、一応日本語でも使われるのだとか。勉強になった。
編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
採って調理して食べて…の流れはこーだいさんの十八番といったところですが、それにくわえて最後の考察パートが良いですよね。 先日現地訪問したばかりということで、実体験の実感のこもった考察であることも良かったです。
ところで調理前に逃げ出した一匹がどうなったのか気になります。こーだいさんの家のどこかで生き延びていて、5年後くらいに急に出てくるかもしれない…。(石川)

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