座布団と幸せを運ぶ山田隆夫は神である
笑点の世界の中では、いい回答に対して、座布団というご褒美を渡す山田隆夫。
そんな山田隆夫が笑点以外の世界へ飛び出してみたら、大自然に対してご褒美を渡す存在になった。
大自然に対してご褒美を渡す存在といえば神である。
つまり、山田隆夫は神だったのだ。
もう一度言う、山田隆夫は神だったのだ。
別にもう一度言うことはなかったな。
国民的座布団運び、山田隆夫さんが不憫でならない。
毎週毎週、座布団を運びつづけている彼は笑点の世界しか知らないからだ。
山田隆夫さんに笑点以外の世界をみせてあげたい。
※編集部注) つりばんど岡村さんは山田隆夫さんはテレビのなかだけで生きていると思っているのでそのまま話を進めます。
山田隆夫さんに笑点以外の世界をみせるため、さっそく山田隆夫さんにご協力願おう。
と思ったがやってくれそうにないので、今回は私が山田隆夫さんにになりきって笑点以外の世界をどう感じるのか確認してみることにした。
計画の段階では、笑点の座布団を持って赤い着物を着れば誰にでも山田隆夫さんににみえるはずだと踏んでいたが、実際にやってみると山田五郎には見えるかもしれないが、山田隆夫さんに全く見えないので驚いた。
そこで、試しに笑点風のテロップを入れてみると「あんたがそう言い切るんなら、山田隆夫なんでしょうよ」と思っていただけるレベルまでクオリティを上げることができたので安心した。
ということで、引き続きお付き合いください。
はじめて笑点以外の世界にでる山田隆夫さん。
広いところへ行きたくなったので海へやってきた。
山田隆夫さんがはじめてみる笑点以外の世界。後楽園ホールとは比べ物にならないほど世界は広く、はじめて屋外に出た子犬のように足が震える。
私個人としても、いつも撮影の趣旨を説明すると面白いと言ってくれる撮影者が今回は無言であり、先の見えない撮影に足が震えそうだったが。
ええいもう、始めてしまったからには、とにかく山田隆夫として歩こう。
すると、まっさきに目に飛び込んできた草に思わず座布団を差し出してしまった。
山田隆夫さんには緑の草が風で揺れるのが、喉仏を上下させて笑う歌丸師匠に見えたのである。
少し歩くと黄色いポールが立っていた。
こちらのポールにも座布団を差し出す山田隆夫さん。
ポールが「いやん、ばかん」と歌う木久蔵師匠に見えたのである。
さらに歩くと今度は大きな黄色い遊具があった。
それに向かって小走りで座布団を差し出す山田隆夫さん。
さきほどと同じ黄色だが、その大きさから木久扇と改名したあとの師匠に見えたのである。
そして、
長年笑点の世界の中で生きてきた山田隆夫さんは、笑点の世界以外でもメンバーの着物の色と同じ色のものに思わず座布団を差し出してしまうのだ。
座布団運び40年を迎える山田隆夫に、笑点以外の世界を見せることができた。前人未踏の快挙であり、来年からは日本テレビから笑点チャリティーカレンダーが毎年贈られてくるはずだ。
しかし正直今回は、過去一番どうしようかと思った撮影だった。
山田隆夫になって外を歩き、笑点メンバーの着物と同じ色のものに座布団を差し出せばなんとかなると甘く考えていた。
しかし、自然の中に笑点メンバーの着物と同じ色は少なく、黄色ばかりが多く、それゆえに木久蔵師匠ばかりが登場し、なんともならない状況となった。
どうにかしようと突堤へ移動すると、僕らの撮影を見ているカップルがいた。このカップルとふれあったエピソードでなんとかしよう。
そう思ってカップルに近づくと「もう、いいですか?」と二人は今まで僕らがいた場所へ移動してしまった。
カップルは撮影を見ていたわけではなく、場所が空くのを待っていただけなのであった。
笑点の世界の中では、いい回答に対して、座布団というご褒美を渡す山田隆夫。
そんな山田隆夫が笑点以外の世界へ飛び出してみたら、大自然に対してご褒美を渡す存在になった。
大自然に対してご褒美を渡す存在といえば神である。
つまり、山田隆夫は神だったのだ。
もう一度言う、山田隆夫は神だったのだ。
別にもう一度言うことはなかったな。
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