特集 2023年2月26日

由来の漢字表記が意外な企業名しらべ

118歳まで生きた? トクホン

人名由来、もうひとつはトクホンです。

湿布薬の『トクホン』で有名な株式会社トクホンですが、もともとは鈴木由太郎が創業した鈴木日本堂が前身です。ロングセラーとなった湿布薬トクホンにちなみ、1989年に社名をトクホンに改めました。

トクホンは、漢字で書くと「徳本」です。これは、戦国時代から江戸時代にかけて活躍した医者、永田徳本の名前にあやかり名付けられたものです。

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永田徳本(小松帯刀 著『永田徳本翁伝』,小松帯刀,明42.1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/781823 (参照 2023-02-24))

永田徳本は、豊臣秀吉が天下を統一する(1590年ごろ)かしないかの頃にはすでに「甲斐の田舎道で、毎日牛に乗り、薬を売り歩き、病人を往診していた」といわれ、その頃はすでにいい歳です。
その後、徳川家光(江戸幕府三代将軍)を往診したという説話が残っているので、かなりの長寿ということがわかります。
実際、1630年まで生き、信州で118歳で没したということになっています。

家光を往診したときは、牛に乗って江戸城に現れ、劇薬といわれる薬を家光に処方し、家光が快復すると「私の薬はどこへいっても一服16文と決まっております」と、薬代16文だけ受け取って江戸城を後にした……という話が伝わっています。

永田徳本は、本草学に精通していたといわれます。甲斐に住んでいた頃、葡萄の栽培を行なっていた雨宮勘解由という人に、葡萄の株を接ぎ木で増やす方法や、葡萄棚を作って、つるをはわせて実りを助ける方法などを発明するなどしたという伝説もあります。

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カンコーの領地、現在は道路

もう一つ、人名由来の企業名を見ておきましょう。

カンコー学生服のカンコーです。

これは、ご存知の方も多いかもしれません。というか、カタカナ表記の方よりも漢字表記「菅公」のほうが有名かもしれません。日本各地にある、菅公のホーロー看板で、おなじみです。

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「菅公 ホーロー看板」でGoogle検索すると、こんなかんじです

菅公は、学問の神様、菅原道真公のことです。

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菅公(守屋貫秀, 新井庄太郎 著『少年菅原道真公』,大同館書店,昭和14. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1719442 (参照 2023-02-24))

菅原道真は、右大臣にまで登りつめ、天皇の側近として活躍したものの、謀反を疑われ、九州の大宰府に左遷され亡くなります。その怨霊を鎮めるため、天神さまとして祀られ、学問の神様として信仰されるようになりました。

学生服のブランドなので、学問の神様、菅公。というわけでしょう。

突然ですが、なにか怖いことがあった際にいうおまじない「クワバラクワバラ」をご存知でしょうか? これはもともと雷が落ちたさいにいうおまじないです。

菅原道真が左遷され、無念のうちに亡くなり、道真公は怨霊となり雷様となったという伝説があります。そのため、雷は菅原道真の所領がある「桑原」には落ちないという伝承があり、「自分のいる場所は桑原です(だから雷を落とさないで)」ということをアピールするわけですね。

この桑原がどこにあったのかについては諸説あり、有力なものに、大阪府和泉市にある桑原町。そして、京都府中京区の桑原町の二つがあります。

京都府中京区の桑原町は、京都御苑、つまり京都御所のすぐ南にあるのですが、町域がまるごと道路となっており、住人はいません。

この京都市の桑原に、本当に菅原道真の領地があったのかどうかはわかりませんが、かつては屋敷があり、幕末〜明治時代の道路の整備で、領域すべてが道路となってしまった……ということのようです。

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長くなりそうなのでいったん区切ります

カタカナ社名の漢字表記、気になったものだけをざっと調べてみましたが、長くなりそうなので、いったん区切ります。残りはまた別の機会に……。

個人的には「エーザイ」の「衛材」なんかは、エーザイ意外にも「衛材」として会社名につかうメーカーがいくつかあるのですが、それぐらいでしか見かけない単語なので、大変気にはなりました。衛生材料、衛材というのは医療関係ではよく使う単語なのでしょうか?

こちらからは以上です。

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