特集 2018年11月13日

横綱になりたくて…秋

相撲を取りたい気持ち、そして人生は思い通りに行かない、この2つが記事で伝えたいことです。

強い男に憧れがある。日本古来からの伝統の格闘技である相撲では一番強い階級を「横綱」と呼び、日本中がその強さに憧れを持っている。

相撲を取りたい。全員、投げ飛ばして生きていきたい。そして、最終的には横綱になるのだ。日々を生きる中でそんな思いがいつしか芽生え、気持ちをおさえきれずに両国へ行った。企画が定まらないままに。
 

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。

前の記事:誰も知らない新名物「ラーほー」を食べに行く


相撲の聖地「両国」

大相撲でおなじみ両国国技館がある町「両国」。相撲にまつわる風景や場所が多く存在している。

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横綱駐輪場というたくさん入りそうな駐輪場もある。

ちなみに両国国技館のある場所は「横網一丁目」と地名である。相撲の町となると、地名にも横綱が入ってくる。自分の名前にも入れたい。ちなみに地名の網が違うのは昔からの名残だそうです。

横綱になるためには何をすればいいのか全然わからないので、お菓子屋で聞いてみたところ「体を大きくしなきゃダメだね」と言われた。

「結構、太っている方ですけど、ダメですかね」と聞いたが、「まだまだだね。ちゃんこを食べなさい。」とアドバイスをいただいた。この記事が「ちゃんこの食べ比べ記事」になった瞬間だった。

食べ比べをして、体重がどれだけ増えたか調べようと思う。ドラッグストアで体重計を買った。

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はかるのにいい場所が見つからず外ではかることになった。
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今、外で川を見ながら体重をはかっている。


 

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96キロだった。そして、買ったばかりの体重計に砂がついた。

100キロなかった。こんな体重では横綱なんて夢のまた夢である。食べよう。ちゃんこをたらふく食べよう。食べて大きくなるのだ。目指せ、名横綱。

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道中、どすこいドリンクを見つけた。なんだ、その力強さあふれるドリンクは。
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力強さが60円で買える。
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ロサンゼルスコーラという聞いたことのないコーラが出てきた。味はどすこいという感じだった。

 ちゃんこを食べよう

ちゃんこを食べるためにお店を探そう。実は両国にはランチメニューでちゃんこを食べられるお店が多数存在する。

だいたい2000円以上するのだが、ランチだと1500円でライスお代わりし放題のお店があってお得だ。午後も頑張りたい人、すごく食べる人にもおすすめ。

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相撲では力士に負けるが、おかわりの数ならいい勝負ができそう。

両国にはいたるところにちゃんこのお店がある。どこも予約でいっぱいだったり、満席だったりとにぎわっているようだ。

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8階全てちゃんこのビルもあるぐらいちゃんこがあふれる町。

どこも混んでいたが、駅の近くにちゃんこを出しているお店があったのでそこでちゃんこを食べることにした。ライス食べ放題ではないがおなかも空いているし、太りたいのでちゃんこを頼もう。

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日本一のちゃんこと書いてあった。絶対においしい。
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横綱を目指しているので横綱ちゃんこを頼んだ。
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そして「ご注文は2人前より承ります」が企画を破たんさせることになる。

注文すると黄金色の出汁がやってきた。これがのちの日本でも起こったゴールドラッシュの起源である。

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力士と同じ物を食べると言うことで、神聖な気持ちで煮立つのを待っています。
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そして、やってきた祭りかと思うほどの豪華食材。

サケ、タラ、カニ、肉。誰か優勝したのかと思ったが、横綱ちゃんこの食材だった。興奮を抑えながらも煮え立つのを待つ。特に肉とカニの部分を見ながら待つ。

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手際よく鍋へと入れられる食材たち。鍋のハットトリックである。心のグルメレポーターがそう言った。

全ての具材が鍋へと入れられた。食べたい気持ちが前に出てしまって焼肉では生焼けでも食べるタイプだが、横綱を目指す者、落ち着きが大事だ。煮えるまで待とう。煮えたかどうか菜ばしでつかまないように我慢をする。

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煮えた!ありがとうございます!!

ちゃんこ鍋は、野菜を中心にあっさりとした味付けでヘルシーな料理である。これだけで太れるのかと疑問に思ったが、具材と一緒に食べたり、出汁をかけて汁ご飯にしたりと炭水化物を腹がはち切れんばかりに食べるそうだ。

また、食べる時間が重要で、できるだけ間隔を開けることが大切らしい。空腹であればあるほどエネルギーが脂肪へと変わり、太りやすくなる。そして、ダメ押しで食べた直後に眠ることで、カロリーが脂肪として蓄積される。

朝を抜いて、お昼に食べて、昼寝をして、夜にまた食べる。聞いたことがあるなと思ったが自分も毎日をそうやって過ごしている。知らないうちに自分が力士の過ごし方をしていた。才能だ。

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さっそくいただこう。
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熱々のうちに食べる。もちろん、ご飯と一緒。
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いや、熱すぎる!

出汁が染みこんだお揚げは絶品だが、マグマを口に入れたのかと思うほど熱い。しかし、暑さなんかに負けてられない。横綱たるものすました顔で食べるべきだろう。(このあとに食べた白菜も熱かったし、鶏肉も熱かった。全部、リアクションした。)

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会話も少なく、もくもくとご飯とちゃんこを食べる。

2人前である。友人と2人で来たので余裕だと思っていたが、全然減らない。大盛りメニューとかではない。太ろうとご飯を2杯食べたのが関係あるがわからないが減らない満腹感が襲ってきている。 

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一生懸命食べている途中に友人を見たら、
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カニの身をハムスターがひまわりの種を食べるときのようにちょびっとずつ食べていた。

1.8人前を食べた気がする。かなりの満腹感だ。2軒目に続けて行ってちゃんこ食べ比べをしてもいいが、もう少しお腹を空かせてから行きたい。なので、両国の相撲にまつわる場所めぐりをしてお腹を空かせよう。

両国の相撲にまつわる場所めぐり

町を歩くと横綱の手形を見つけた。いつしかここに自分の手形も乗るかもしれないと思うと感慨深い。

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ここに載る予定です。

横綱たちの手は大きい。この大きさで張り手なんてやられた日には大型トラックがぶつかってきたかと思うだろう。

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曙の手と比べたら第二関節ぐらいしかなかった。

さらに歩くと空き地に土俵を見つけた。両国の人たちはきっとお昼休みに相撲を取るのだろう。ベンチではワンカップ片手に陽気なおじさんたちがいた。こちらを見て「お前、やれんのか」という目をしている気がする。

力を見せつけようと友人と相撲を取ろうとしたら、「何かしらのケガをするタイプの土俵だから嫌です」と言われた。

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ケガをするタイプのコンクリートでできた土俵。

仕方ない。イメージトレーニングだけしておこう。この一番で優勝が決まる。そういう気持ちで土俵へと上がる。

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この姿勢だけでもきつい。
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のこった! そのかけ声と共に前へと繰り出した。そして、おじさんたちは笑っていた。

良い一番だったのだろう、土俵の外へと倒れる相手が見えた気がした。敢闘賞を取ったなと思った。この気持ちをままに相撲の町めぐりは続く。

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日本国技館を見たり、
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日本国技館の前にあるライオン(生活用品等で有名なおはようからおやすみまで見つめてくれる会社)に行ったり、
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相撲部屋にあいさつへ行ったりした。

両国は相撲好きな人たちにとって歩くだけでも楽しい町だ。もっと時間をかけて見たい。

駅前のお店には本物の土俵が再現された場所がある。そこを見ながらある決断をした。

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いつかここに立ちたい思いと、ある考えが頭に浮かぶ。
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「お腹いっぱいだから別の企画にしよう」

風邪が流行っている。私の周りでも風邪を引いている人がいるし、なんなら自分も引いているのだ。いつもなら2時間ぐらい歩けばお腹が空いてくるが、お腹がいっぱいで2杯目のちゃんこなんて入らないのだ。

物言い(撮影を手伝ってくれた友人)からは「マジすか」と言われた。「体調がよかったらちゃんこ鍋1億人前ぐらい食べられるのにな~」と冗談を言ったが、友人の目は笑っていなかった。ごめんと小さく言うしかない。何か違う企画を考えよう。

大きい写真で横綱の雰囲気を出したい

そんな英断をしていた直後、いいものを見つけた。横綱の優勝写真である。

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これはかっこいい。

優勝額と呼ばれ、優勝を達成した力士へおくられる額縁のことである。これを作れないだろうかと探したがどこにもない。なら作ろう。

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東急ハンズで木材を買う。

ちゃんこの食べ比べ記事からまさかの工作記事になった。人生なにが起こるかわからない。額縁を作るために木材を買う。長さとかは勘だ。

あとは写真である。外で撮影しようとしたが、雨が降ってきてしまい家で撮影することに。果たしてかんろくのある写真は撮れるのか。まずは家でとりあえず撮った写真を見てほしい。

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動画の冒頭のようなこれから何かパフォーマンスをする直前の人になった。

貫禄なんて一切出ない。家で立っているだけである。これは工夫しなければならない。ブルーシートを後ろにすればいいのではないか、そう思って家の中を探すが、ブルーシートなんて引っ越したばかりの家にはない。

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なので青い布団を代わりに使った。
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「家で撮っております」とキャプションをつけたくなるぐらい自宅感があふれてる。

この後も優勝額への試行錯誤が続いた。腰に布を巻いた方がいいのではないかと思い、バスタオルを巻いてみた。果たしてどうか。

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貫禄はないし、右はサウナでロウリュウをする店員みたいになった。
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「ズボンが見えない方がらしく見えるんじゃない?」とウキウキしていたあの時間、意味がなかった。

もうダメかもしれない。万策尽きたかと思われた瞬間、友人が撮った写真が奇跡を起こした。

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下からたまたま撮った写真が、
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今まで一番迫力がある。

下から撮ることで足腰が太く見えて、体も大きく見える。(この写真なら飾れる!)と興奮していた。

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四股(しこ)を践む写真も迫力が出るかと思ったが出なかった。高さが大事だ。

これで写真が決まった。ただ、でかく印刷をするにはどうすればいいのか。キンコーズだと値段が高くなってしまいそうだ。なので、コンビニにポスター印刷を使った。

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まずはカメラで撮影した画像を印刷する。
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そして、その画像をポスター印刷すると、A3が4枚に分割されて大きい画像にある。余白ははさみで切り取れば完成。

家に戻り、額を作る。買ってきた接着剤が木につかないタイプだったぐらいで大きな失敗もなく完成した。

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「月曜日、嫌なことがあったら上手投げをしよう」の気持ちをこめて字を書いていく。
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自分の優勝額ができた。優勝おめでとうございます!

夢にまで見た優勝額ができた。夢にまで見たというより、町で見た優勝額だ。誰がなんといおうと優勝額である。気持ちで見てください。

完成したあとに友人は「なにに優勝したんですかね」と言った。

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「きっと、生きているだけでみんな優勝ってことなんじゃないかな」

ちゃんこはおいしい

このあと、東中野にある元力士の方が営むラーメン屋に行こうとしたが、スープ切れで閉店していた。なのでちゃんこ屋でちゃんこを食べた。煮詰まるほどに味が濃くなり、味が変化して最後までおいしかった。帰って体重を測ったら96キロだった。変わっていなかった。

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最後に入ったちゃんこ屋の感想として、メモには薄い字で「ちゃんこの大噴火」と書いてあった。
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