大賞1作品と優秀賞1作品のほか、選外にするには惜しかったキラリと光る作品を佳作として選んでいます。
まずは大賞から!!!!
?大賞
ねるねるねるねをクラシルみたいに作りたい(tonkotutarouさん)
「っぽい」は誰もが感じることなんですが、なにがその「っぽい」を支えているのか、その正体をつかんで言語化しているのが爽快です。
その結果をまた動画で再現するなんてしゃれてますよね。理屈があったうえでのキャッチーさ。
テーマの批評性、動画の完成度、読む人への優しさ、どれも高いレベルで大好きなタイプの作品です。最高。(林)
動画の完成度がまず高いのですが、記事も充実です。元ネタ研究から実際の撮影まで全部わかる。それが記録として面白いだけじゃなく、「これをマネすれば自分もクラシル風の動画が撮れるかも」って思わせてくれるんですよね。読者をその気にさせる記事はもれなくいい記事です。「これを毎日撮っているクラシルの人はすごい。洗い物はどうしてるんだろう。」など、実際にやった人ならではの感想もグッときました。(石川)
大賞受賞作品は後日デイリーポータルZに記事として掲載されます。上記のリンク先で読んでも同じものですが、掲載します。
大賞のtonkotutarouさんには過剰な景品とノベルティをお送りいたします。
?優秀賞
ハンディミシンを使ってパジャマを作りたかった(小木の素さん)
下調べせずにやりたいことだけをやろうとする姿勢に共感しました。そうするとあたりまえのように失敗するんですが、初期衝動が強い分、少しくらい失敗してもめげないんでしょうね。いいと思います。
どうしても室内だけの作業になるので、あわよくば完成した服を着て出かけるとか、もうひと展開あると広がりが出たのではとも思うんですが、noteの他の記事を見させてもらったらこのタオル地のパジャマを着ておられて、おお!と思いました(安藤)。
業務連絡)小木の素さん、賞品について連絡していますので、メールをご確認ください。
ここから審査員を唸らせた作品を佳作として紹介します。編集部からの唸ったコメントつきです。
?佳作
昔、耳の中にダンゴムシを入れた話(潤心さん)
登場人物の行動、言動がいちいちおかしいんですよね。読んで声を出して笑いました。
でもこういうちゃんとしてない人たちをすっと描くところになぜか安心します。人間の業の肯定というのか。
文章の力で言ったら入選レベルなんですが、「やってみた大賞」かと言われたら不安なところがあったので佳作です。(林)
勘のみで作った!「たべっ子都道府県」(ブロジジョンさん)
勘で作っただけあってビスケットの出来映えは商品にはとうてい及ばないんですが、オリジナルの箱に入れたり日本地図に並べたりと、見せ方を工夫しているおかげでいいものに見えてきます。
「勘で作る」と「都道府県ビスケットを作る」という2軸が同時進行してしまっているので、軸をどちらかに絞ってもよかったかもしれないですね。言いたいことは1記事に1つでいいと思います(安藤)。
プロのパティシエが「CRAFT BOSS タルト」をつくってみた(OtsukaYosuke 大塚陽介さん)
全体のセンスがすごいんですよね。CRAFT BOSSをイメージしてタルト化するんじゃなく、CRAFT BOSSの上部三分の一を精巧に模す。ちょっと思いつかないです。
シリコンで型取りしてまで作るCRAFT BOSSのキャップのチョコレートなんて存在が稀有すぎます。そんな尊さ普通ないよね。
模しつつタルトの台や内部がガッチガチにデザインされたデザートになってるプロの手腕もさすがで、上手いし、おいしそうだし、それに「そうやるのか……」という意外性もあって圧倒されました。
(古賀)
ウガンダで体験した人生初の10の事 (もす☕@大人の青春さん)
異文化に次ぐ異文化、それが矢継ぎ早にどんどん繰り出される記事で、とても面白かったです。10(+1)個のポイントにまとめてサクサク紹介、長い部分は別記事に回すなど、読んでもらうための工夫もよくできていると思いました。
あとは文章表現に凝るとよりおもしろい記事にできそうだと思いました。それぞれの異文化に対して自分が思わずしてしまった反応、それは何に似ていて何を連想したかなど、冗談を交えつつ、自分だけの言葉で入れていくとより手触りに生々しさが出ると思います!(石川)
「パワポでよく見かけるアレ」のランプシェードを作った(ゆうもやさん)
笑いました。確かに再現されてる!完成度の高い作品ってうますぎてつっこみどころがなくて逆に面白くなくなっちゃうことも往々にしてあるのですが、これはうまければうまいほど「なぜアレをランプシェードに…?」というつっこみどころが引き立ってくる、最高のテーマ設定だと思います。
記事としてはちょっとシンプルすぎるので、作業工程とか、部屋に飾った様子や他のものと一緒に置いたところ、夜に野外に置いたらどうなるのかとか見たかったです。今度はぜひ締切15日前に賞の存在に気付いていただけると幸いです!(石川)
モスクワ地下鉄の全駅の写真を撮った(チェブラーシカさん)
冒頭の一文を二度見しました。
>2021年6月の1週間で、モスクワ地下鉄のすべての地下鉄駅で途中下車して、駅の装飾の写真を撮ってみた。
もうすごい。全駅の写真は定点的でコレクションのようにきれいな状態で見られてありがたみがあふれました。(古賀)
第一回野菜皿選手権~野菜をお皿にしたい~(柿地成房)
これむちゃ好きだったんですよ。
「野菜を皿にした料理ってかっこいいよね」というそれなりに太い共通認識が、開始するや否や軽やかに覆るんですよね、ご自身の書く「シンプルに写真が下手」なのと「食べる場所が謎の野外」という部分で。そんな全体を通じたかまわなさが良かったです。文章も焦らずじっくりねばって書けてて可笑しかったです。
きわめつけはなにしろ同居の彼女に選手権の存在がばれた際のコメント「バチクソ笑顔になったwwww好きすぎるwwwwwww」でしょう。これが全体の世界観を決定したと思います。(古賀)
審査を終えて
「やってみた」に恥じない"いらんことしい"な記事が残りました。
「やった」を「やってみた」にするだけで、有益性やコスパといった束縛から逃れられるんですよね。
でも受賞作を見ると分かりますが、これらは私たちの世界を広げてくれる予感がします。予感だけだったとしてもそれもまたOK!
もうひとつ受賞作に共通しているのは、楽しそうに文章を書いている作品であることです。
「ほんとその通りだ」と隣りにいるアルチュール・ランボーも申しております。って嘘なんですけどね。
↑でも文章の楽しさってこういう見えないものを書けることだと思います。そんな文章という癖があるけど超おもしろいスケボーを楽しんでいる記事を選んでいました。
応募してくれたかたに改めてお礼を申し上げます。ありがとう!
時間をかけて経験したことをギュッとまとめてくれてありがとう。濃縮した経験を堪能させてもらいました。
(林雄司)
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