案外包めた(けど、本音は透ける)
実際にやってみたら、オブラートで思ったよりも本音を包むことが出来た。
ただ、透けているのですぐに見透かされそうだ。
オブラートに包んで言ったつもりでも、言われた方は真意をわかっているのかもしれない。
なぜかまじめなことを書いてしまった気分になったが、オブラートの食べすぎで錯覚しているようだ。
あと190枚余っているので、オブラートに包んだ漢方を飲んで落ち着こう。

オブラートに包む、という表現がある。
言いにくい本音を遠回しに伝えるために言い換えることだ。
これ、本物のオブラートに本音を包んだらどうなるのだろうか。試してみた。
なんとなくはっきりと言いづらいことをやんわりと言い換えることを「オブラートに包む」という。「いつも変な工作ばかり作って!」よりも「独創的なものを作っているね」の方が、言われた側(の僕)はダメージが少ないだろう。
この「オブラートに包んだ状態」を実際に再現出来ないものだろうか。実際にやってみることで見えてくるものがないか。
そう思いたち、早速オブラートを買ってきた。
いつも漢方をオエオエがんばって飲んでいたのだが、オブラートを買うのは初めてだ。
こんなにコンパクトなのに200枚も入っているのが驚きだ。
このオブラートで本音を包んでいくわけだが、肝心の本音の部分はどうすればいいだろうか。
悩んでいたら、いいものを見つけた。
ひらがなやアルファベットを組み合わせて、好きなメッセージをクッキーに刻印出来るスタンプが売っていた。
お菓子作り業界、知らないことがたくさんあるな。
これを使って、クッキーに本音を刻んでやれば良さそうじゃないか。
早速クッキーを作ろう。
かわいいクッキーに急にネガティブな本音が刻まれた。
この本音をオブラートに包むための文字をオブラートに書こう。日本語がおかしくなってきた。
これは意外といいんじゃないか。
チョコペンは湯せんで溶かして書くので、オブラートが溶けてしまいやしないかと心配したが大丈夫そうだ。
先ほどの「行かない」という本音に対して、オブラートに包んだ表現を書いたのがこれだ。
こう言って本当に行った試しがない。相手に言われてやって来た試しもない。
まさにオブラートで包む代表選手ではないだろうか。
これで早速包んでみよう。
これが本当にオブラートに包んだ状態だ!
本音が透けて見えるのも、「行けたら行きます」と言われた方はだいたい本音を理解しているのに通じているのかもしれない。
もちろんオブラートよりもクッキーの味が勝つのだけれど、クッキー単体にはない口の中への貼り付きを感じる。
この口への貼り付きが、オブラートに包んだ表現のまどろっこしさを表しているのだ。言い切ることでいま自分に自信を持たせています。
他の言い方はないだろうか。そう思って家の本棚から参考になりそうな本を探した。
このフレーズ、会社でも聞くので笑ってしまった。「悪い人じゃないんだけど…」はいい人には言わないのと同じだ。
同じように会社で言いそうな表現を探してみた。
会社で言いそうな表現、と書いたが僕が実際に言っている表現だった。
僕と同じ会社でこの記事を読んだ人は、僕が今後こういう風に言っていても真意に気づかないでほしい。
ネガティブな流れが続いたので、ポジティブな方の言い方はないか。
考えてみると、1つだけ思い当たった。
なんだこの恥ずかしさは。オブラートに包むことでより恥ずかしさが増していないか。
オブラートを開けたら本音が出てくるお菓子、インスタを狙う店は売り出した方がいいだろう。
やっぱり本音はポジティブではない方がいいかもしれない。
最後に都市伝説的な表現を再現しておきたい。
嫌味な言い方もチョコペンで書いたら、居酒屋のトイレに貼ってある詩にも見えてきた。
このクッキーが出されたら帰らざるを得ないだろう。
オブラートに包んだ言い方が有名になりすぎると、あまり効果がなさそうだ。
実際にやってみたら、オブラートで思ったよりも本音を包むことが出来た。
ただ、透けているのですぐに見透かされそうだ。
オブラートに包んで言ったつもりでも、言われた方は真意をわかっているのかもしれない。
なぜかまじめなことを書いてしまった気分になったが、オブラートの食べすぎで錯覚しているようだ。
あと190枚余っているので、オブラートに包んだ漢方を飲んで落ち着こう。
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