別に金持ちにならなくてもできる
念願のメロンの丸かじりができた。結果的には、顔面どころか体中が甘くなったように感じ、メロンまるごと一個はさすがに多いと思った。
しかし幸せな気持ちになり、新たな発見もたくさんできた。
そのうえ言うほどお金もかかっていない。もっと早くやっておけばよかった。
行動にうつしさえすれば意外にもあっけなく夢は叶うのかもしれない。
デイリーポータルZのメルマガ「うっかりデイリー」で、ウェブマスターの林さんが「金持ちになったらしたいことは、今すぐできるものも多いと気づいた」と書いていた。
たとえば石垣島とかのきれいな家でぼんやりする(民泊借りれはできる!)
とあり、そうだ、確かにその通りだと思ったのである。
実は私も昔から金持ちになったらしたいことがある。
それはメロンをリンゴのようにむいて丸かじりすることである。
よく考えれば別に金持ちにならなくても今すぐできるのだ。
ということでやってみる。
せっかく丸かじりするなら青肉メロンでいきたい!
皮の表面に白い網目があって、スポンジのネットがついているタイプならなおいい!!
ということでコチラを購入。
関係ないけど子供の頃、このネットかぶって遊んだよね。破れてうまくかぶれないんだけど。
では包丁で皮をむいていこう。
林檎の皮さえむくことの少ない私に、メロンの皮が上手くむけるか不安であったが、手間取ることなくむきはじめることができた。
普通に切ったメロンを皮付近まで食べることは少なく、だいたい5mm~1cm以上は残すことが多い。
ならばはじめから5mm~1cm程度のところでむこうとするのだが、メロン=高級品という固定概念にあらがえず、どうしても薄くむいてしまう自分を発見することになった。
また、メロンは重く、むいているうちに持っている手が痛くなってきた。しかし、これが苦痛ではなく、メロンを丸かじりするための贅沢な痛みだと思うと少し嬉しいような気持ちになり、痛みにも貴賤があることがわかった。
メロンをまるごと皮むきしていると、誰にも頼まれてもいないが「最後まで皮を途切れさせずに一気にむく」とある種の強迫観念にかられ、作業に没頭するうちに軽いトランス状態に陥ってしまった。
結局、途中で切れましたが。
包丁での皮むきが終了し、どんなものかとこの状態で丸かじりしてみるも、皮むきが不十分で美味しくない。
食べられないこともなかったものの、せっかく丸かじりするのではあれば全編、甘く、柔らかいメロンで行きたい。
ということでここからはピーラーをつかってむいていくことにする。
一見、大きいマスカットのようだが紛れもないメロンである。
生まれて初めてのメロンの丸かじり、さっそくいかせていただきます!
では!
これまでの人生で私の口に入ってきたメロンたちは、スプーンで削り取った一口分づつであり、その味わいもせいぜいがスプーン一杯分づつであった。
しかし、今は大口で丸かじりすることにより、口いっぱい分のメロンが流れ込み、一気に耳の奥までその味わいが広がるのだ。
そのうえ、鼻も直接メロンに触れることとなり、香りが鼻孔をくすぐるどころの話ではなく、鼻の穴に直接メロンを詰め込まれたような、ほとんどメロンの拷問状態になるのである。
こんな幸せがあるか!
しばらく食べすすむと中の空洞部分に到達した。種ゾーンである。
食べ始める前はどうするのかと思っていた種ゾーンは、このように登場してくることがわかった。
ここから種を取り出す。
種が取りだせたら、もう迷いはない。
頭をからっぽにしてただ手と口を動かせばいいだけである。
それでは、あらためていただきます!
鼻が種を除いた穴にスッポリと収まり、顔面中、いや頭の先までメロンの味わいが広がる。
種付近を丸かじりすると、ここまでの甘さは、これを際立たせるための演出に過ぎない、あくまで前座の甘さだったのだと思えてくる。
本当にもう!粋な演出しやがってえ!憎いねこの、ド根性メロン!もうTシャツにメロン押し込んじゃうぞ!とだんだん半狂乱になってくるのである。
楽しみがあとからやってくるメロン。なぜこれまでこうしてメロンをむかなかったのか?これがメロンの正しいむき方なのではないか?
と疑問に思ったが、皮をむくのが大変なうえ、手がベタベタになるからだとすぐに結論がでたのには自分でも驚いた。
しかし…
終盤に差し掛かると、ずっと甘い味がつづいたことにより、贅沢なことにメロンの味に飽きてきてしまい、ちょっと塩気が欲しいなあ、メロンに生ハムを添えるのは、こういうブルジョワ的感覚からはじまったのだろうなあ、山田くん、ちょっと生ハム持ってきて!と座布団運びならぬ、生ハム運びの山田くんという人が近くにいればお願いすることになっただろう。
念願のメロンの丸かじりができた。結果的には、顔面どころか体中が甘くなったように感じ、メロンまるごと一個はさすがに多いと思った。
しかし幸せな気持ちになり、新たな発見もたくさんできた。
そのうえ言うほどお金もかかっていない。もっと早くやっておけばよかった。
行動にうつしさえすれば意外にもあっけなく夢は叶うのかもしれない。
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