特集 2026年10月12日

37日ずっと雨、東京の9月はどうしちゃったの?~気象予報士増田さんに聞く

毎朝テレビでも天気予報を伝えている気象予報士、増田さんに話を聞く月1連載。

今回はなんといっても9月の長雨です。東京は37日間連続で雨を観測。どうしてこんなことになったのか。増田さんに聞きました。今月も図多めです。
(ここの文章と全体の構成、図制作:林雄司)
 

1977年滋賀生まれ。お天気キャスター。的中率、夢の9割をめざす気象予報士です。 好きな言葉は「予報当たりましたね」。株式会社ウェザーマップ所属。
ツイッターでも気象情報やってます。(動画インタビュー)

前の記事:今年の台風の動きがおかしい理由〜気象予報士増田さんに聞く

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参加メンバーです。いつもといっしょ
熱血解説の様子
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秋雨前線に補給部隊(台風)がいた

林:
9月、東京は37日連続で雨でした。
増田:
正確に言うと、37日連続雨を「観測」です。日中晴れてたのに夜だけパラパラって降った日も含めて37日です。
西村:
ずっと曇ってたっていう方が近いような気はしますね。
林:
直接的な原因としては、秋雨前線がずっと停滞していたから、ですよね。
増田:
そうですね、一言でまとめると、秋雨前線。
秋雨前線って例年は行ったり来たりしながら、だんだん南に行って消えていくんですよね。 

通常の動き

増田:
今年はいなくなるかなと思ったタイミングで台風が現れて、湿気を補給して、また前線がはっきりしてきた。 

消えかけたところに湿ったやつがやってくる
元気になる秋雨前線

増田:
なんでそのタイミングで南から来るんだよみたいな感じで、秋雨前線が顕在化してくる。

増田:
台風が来たら雨をすごく降らせるわけですけど、台風は他の雲たちも持っていくので、東へ抜けると一旦晴れるんですよね。

秋雨前線は台風と一体化して去る。そして台風一過がいつものパターン

増田:
高気圧が本州に来たら広い範囲で晴れが続くんですけど、今年は高気圧が北側にかたよってたんですよね。

いつもの秋より北にいる

増田:
高気圧の周りは時計回りに風が吹き出すので、このタイミングで関東だけ雲ができる。それがパラパラと0ミリ降水になった。

林:
雨の供給源は東北の太平洋ですか。

三陸沖の海の湿気を関東に送って低く薄い雲を作る

増田:
そうですね。このあたりは海水温が高くないので、低く薄めの雲を作りやすいんですよ。
雲が分厚くならないので弱い雨、0ミリ降水なんですよね。

林:
秋雨前線ほど強くはないけれども、つなぎの雨が降った。ワンポイントリリーフ的な。

増田:
打者ひとり繋いでるうちに次の秋雨前線の準備ができていた。

秋雨前線と、低く薄い雲がもたらす雨の2種類があった
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そもそもなんで高気圧が北にいるのか

林:
大陸からの高気圧が北に行っちゃったのが大きな要因なわけですね。

増田:
普通はこの高気圧は、季節が夏から秋に進むほど南に下りてくる。 

通常のルート

増田:
なんで秋の高気圧が南に下がりきれないかっていうと、やっぱり南にまだ暑い空気が残っているから、勝ち切れなかったってことですよね。 

暑いのがいる
暑い空気がいるので下りてこられないカラッとした高気圧

増田:
南の暑い空気がいるので、勝ち切れずに、ちょっと北にずれちゃったっていうところですね。

林:
東京は涼しかったので分からなかったんですが、南に暑い空気があったんですね。

増田:
ありましたありました。晴れが続いたら全然また今年の9月も暑いねってなってたと思います。

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空気の境目が前線、それがずっと日本の上にいた

林:
前線というのは、異なる空気のあいだにできるんですよね。

増田:
夏と秋の空気の間で、こういう風に秋雨前線ができていました。

林:
今年は秋雨前線が普段より北にいてずっと右往左往をしてた

増田:
これが結局長い相撲になっちゃったってことですよね。最終的に秋が勝つって決まってる戦いではあるんですが。

西村:
日本の上でしないでほしい

増田:
暑い空気が負けそうになったら台風に後ろから押してもらってズルしてるじゃん、みたいな相撲でした。

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太平洋高気圧が張り出してないから台風が千葉に行った

増田:
今年はそこまで暑くなかった、夏の高気圧も早めに引っ込んでいました。

今年の9月の太平洋高気圧
暑いときの張り出している状態

増田:
もうちょっと暑い9月でもっと太平洋高気圧が張り出してたら、台風のコースも西になってたでしょうね。 

張り出しているときの台風のルート
今年は張り出していないせいで、千葉に向かった

林:
そうか。台風は太平洋高気圧の端を進んでいくから

西村:
いつも通り、張り出した高気圧の端っこに乗って九州から日本海とか行ってたら

増田:
千葉など関東南部はここまで降らなかったと思うんです

太平洋高気圧の張り出しが少ないせいでヨシダプロの家の近所(佐倉市)がこんなことに

増田:
太平洋高気圧の張り出しが特に弱かった時期は、台風が迷って、これが水蒸気ずっと送り込んでたっていうのも長雨の一つの要因。 

進めてくれる高気圧がないので道に迷った台風
台風24号の気象庁の資料、迷っている

林:
台風って主体性がないんですよね。

増田:
あれだけ威張って強いのに、秋の高気圧が来たら、すいませんってあっさり追いやられる

林:
すごいオラオラ感があるのに

西村:
確かに台風って見えてるから、でけえとか思うんですけど、それより大きい高気圧とかがあるわけですよね。台風を動かす。

増田:
この仕事をはじめたとき気象庁OBのスペシャリストの方に、天気予報っていうのは見えないほうに大事なことがあるんだっていうのは、最初に言われましたね。

林:
日本の周辺の天気図だと太平洋高気圧って見切れてるけど、広域を見たらもっと巨大なんですよね。

実はこれぐらいでかい
広域天気図だと大きさが分かる

増田:
こうして台風が関東に来るのはどちらかというと10月のコースですね

林:
9月が10月みたいだったってことで、つまり早いってことですか

増田:
東日本に関しては季節が早く進んでいます

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10月はどうなる

増田:
秋の高気圧が今週(10/6収録)になって本州に来るようになりましたので、台風が来ても東に行くようになりましたよね。 

形勢逆転

増田:
仮に雨雲が発生しても、台風と同じく東へ流れて居座らない。ということで、もうこれで秋雨シーズンは終了したということですよね。

林:
なるほど。で、じゃあ10月は。そんなに恐れることもなく、

増田:
一発逆転のオラオラ台風が隙をついてくるかどうかですね。

こうなると荒れる

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