半袖ニーサンだったが⋯⋯
林:今日(6月10日)は涼しいなと思ったけど、平年ぐらいなんですよね、きっと。
増田:あ、平年よりは低いですね。平年は25℃ぐらいで、今日は22℃ぐらい。
林:今日は23℃じゃないと思って(「半袖ニーサン」⋯⋯23℃を上回ったら半袖でもいける! という増田さん提唱の目安)長袖できたんですけど。
増田:ただこれね、自分も「今日は長袖ですよ」って言ってるんですが⋯⋯。
林:半袖ですよね。
増田:そうなんです。なんかもう、一回半袖着ちゃうと面倒くさくなってきて⋯⋯(笑)
西村:それはまあ、そうですよ(笑)
増田:もう、半袖に一回足を踏み入れたら、半袖でいいかなって(笑)でもテレビではまあ23℃以下になったから「日中長袖でいいですよ」っていいます。
なんか罪悪感あるなと思いながら。
で、TBSから、今この場所(TBS横にあるビルで取材してます)に来るときにサカスの広場通るじゃないですか。結構みんな長袖なんですよね。
林:それは増田さんが長袖でいいって言うから(笑)
増田:で、寒いですね、やっぱり(笑)もう小走りでタタタタタって走りながらこっち来ました。「僕は軽くいつも走ってるから半袖でいいんだ」アピールをしながら(笑)
そうか、皆さん長袖ですね。西村さんもそれ長袖ですね。
西村:あ、はい、室内なんでちょっと腕まくりしましたけど。
どうなってんの「夜の雨」
林:今回は今まできた質問の中から、これ、というのを増田さんに聞きたいと思っていくつか選びました。
質問①
個人的な印象では、昼よりも夜の方が天気が悪く、荒れやすいと思っています。
夜中に強い雨が降り続いていたけど、明け方になるにつれて落ち着いてくるというパターンが多い気がしていますが、実際に夜と昼では天候に差が出るのでしょうか。
気温差など関係するのでしょうか。
呉一さん
林:これは、私も西村さんもそう感じてたということで取り上げたんですが、これは気のせいなのか、なにか原因があるのか?
増田:はい。これは原因はあります。
林:あるんだ。
増田:でも、現象は切り分けないといけないと思います。
①夜に関係がない大雨
まず、発達した低気圧が来るとか、台風が来てざーっと降らしてって通り過ぎる雨をイメージする場合。
こういった数百キロ以上とかの広がりをもつ雨雲の場合は昼夜は関係ないですよね。
西村:たしかに台風の雨は昼夜関係ないですね。
増田:ただ、これに関してひとつだけ印象論でいうと、結構荒れる低気圧とか台風というのは、コンピューターの予測よりもちょっと早く進んだり抜けて行く癖があるという印象が個人的にあります。
ですから、朝まで降ると天気予報で言ってたのよりもちょっと早く、夜のうちに雨が終わったとか。それが夜から朝の印象と結びついて、そう感じるという可能性はあります。
林:台風だから明日学校休みだ! とか思うと、夜の内に通り過ぎて、すごい晴れてるっていうのは?
増田:ある地域が夜で通り過ぎても、地域によって当然どこかは朝や昼にもまだ台風の現象が続いているので。台風が夜の内に抜けてるっていうのは、それはもう印象の話ですね。
林:で、関係あるという方は?
②夜に関係がある夏の大雨
増田:関係あるのは、豪雨、大雨。
西村:はい。
増田:夏場とか、急に発達して大きな被害をもたらすことがある、局地的な豪雨、大雨。線状降水帯と呼ばれるものもありますけれども、これは昼と夜の差っていうのはあります。夜の方が大雨をもたらす積乱雲が発達しやすい。
林:そうなんですか。
増田:夜は「放射冷却」とかよく言いますが、基本的には夜に日が当たらなくなると、地球の熱はどんどん宇宙に向かってどんどん逃げていく、というのが夜です。
西村:(太陽光で)温まらない上に、熱は上にどんどん逃げると。
増田:でも、雲がある場合。地上の熱は宇宙に逃げようと思っても、その雲に邪魔されるのであまり逃げません。ですから地表面はあまり冷えないわけですね。分厚い雲があるとあんまり冷えないわけです。
林:はい。
増田:ところが、その雲のてっぺんというのは、上に何もないから熱が宇宙に向かってどんどんどんどん逃げていくわけですよ。
だから雲の上の方は冷える、ということは、どういうことが起こるかというと、雲の上の方はどんどん冷えていくのに、地上に近い方は暖かいまま。
この温度差が大きいことを「大気の状態が不安定」と言いますけど、暖かい空気と寒気が上下でかき混ざる過程で積乱雲が発達しやすい。結果、雨が降る。まさに夜、そういう状態になるわけです。
西村:その雲は、例えばもし明るかったら、昼間に見る入道雲みたいな形をしている?
増田:そうです。あの大きい、雷を起こすような発達したどす黒い積乱雲ですね。
③昼に降る夏の大雨
林:夕方に積乱雲ができるイメージがあったんですけれども。
増田:これまた切り分けて説明すると、今、林さんがおっしゃった、夕方、午後できる積乱雲というのは、あれは夏に地面付近がどんどん熱されて、空気が軽くなることによって上昇気流がどんどん発生して積乱雲ができる。というのが、昔からの夕立のパターンですね。
これは、日がかたむいて気温が下がっていったら積乱雲が小さくなっていきますので、ザーッと雨が降る、一過性のものなんですよ。
林:最後に虹が出ておしまいっていう。
増田:そうですね。
ところが「夜に積乱雲ができる」というのは、日差しで地面が熱せられたわけじゃなく、暖かい空気の水蒸気が集まったり、風が集まったりしてできる。昼間とは違う要因があって積乱雲が生まれているわけです。
昼間だったら雲の上のほうも太陽の光を一部吸収して温度が上がり、上空と地表近くの温度差がそんなに広がらずに雲がシュンってしぼんでもおかしくないんですが、夜はさっき言ったように雲の上のほうがどんどん冷えていくので、温度差が大きくなる。
西村:なるほど。
増田:それを解消しなきゃっていうことで、空気がぐるぐるぐるぐる動きはじめて上下で空気がかき混ざる、混ざると雨が降る。
しかも、夜の方が全体的に温度は低い。そして、冷えれば冷えるほど水蒸気が水として出てきやすくなる。だから、同じ積乱雲の中でも夜の方がただの水蒸気で終わらずに、水になって雨になってしまうという面もあるわけですね。
で、夜にできた雲は上下の温度差が大きいまま上昇気流が維持されちゃうので、雨を降らせる積乱雲も維持されやすい。
確かに夜は昼間に比べて豪雨が多い傾向があります。線状降水帯も夜から明け方、朝にかけての方が回数が多いという統計があります。
林:これは最近特に多い現象なんですか?
増田:昔からある話ですね。ただ、全体的に豪雨が増えているというのはありますよね。 それは、そもそも気温が上がって、流れ込む水蒸気の量が昔よりも増えているということがあります。日本の場合は海に囲まれているので、海水温も上がっていたりして、水蒸気がたくさん供給されやすい状況に昔よりはなっている。
林:確かに、夜に線状降水帯が発生して「もう一部の河川では氾濫しているかもしれません」みたいな、暗いからわかんないけど、もう氾濫してるかもみたいなニュースをよく聞くけど、それか。へー。
増田:線状降水帯の話が今出ましたけど「半日前予測」っていうのを気象庁が頑張って数年前からやってるんですよ。でも、なかなかこれが難しいんですよね。そんな半日前から線状降水帯ができるかどうかなんていうのはぴったり当たらない。
林:半日でも難しいんですか。
増田:はい。的中率でいくと相当低いんですけど、それでもなぜそういった情報を出そうとしているかというと、線状降水帯などの大雨は、夜にやっぱり多いので、夜そういうことが起こると、もう逃げられないってことになる。
西村:寝ちゃったりしたら、外のことわからないですからね。
増田:ですから、夕方までになんとか半日以内、つまり夜の間にこういうことが起こる恐れがありますよ、という情報だけはまず出そうというのが、半日前予測なんです。
西村:警戒してもらおうと。
林:線状降水帯の予測は半日前でも難しいって、水蒸気ってそんなに早く集まってくるんですね。
西村:それって夜の数時間で起きる話なんですよね?
増田:数時間で起きる上に、本当に局所的に集まって、雲が動かなくなってしまう状況なんですよね。だから、そういう雲がどこで生まれて雨が降るかっていうのはなかなかピンポイントで予測するのは難しいんです。
林:線状降水帯は、場所によってはできがちな場所とかあるんですか。
増田:うーん。どこでも発生するものではあるけれども、強いて言えば、九州とかは、西から東シナ海の方から、南アジア周辺起源の大量の水蒸気を含んだ空気が来るので、水蒸気が大量という意味で、そういった雲が生まれやすいっていうのはありますね。
西村:水分をたっぷり溜め込んだのが最初に落ちるところですもんね。
増田:梅雨前線があると、湿った空気がだんだんだんだん集まるということで、大量の水蒸気の玄関口な上に、行き場が集約されていくので確かに線状降水帯ができやすい環境ではありますね。
林:熊本あたりはわかるんですが、そこから山を越えた宮崎とかでも豪雨になるじゃないですか。水蒸気が山の手前の熊本側で落ちたりしないんですね。
増田:基本的には落ちてる部分もありますけれども、それでも相当背の高い積乱雲の列なので、やっぱり山を越えて東側でも雨の被害が出るということはよくありますね。


