オリンピック、ありましたよね?
林:
冬季オリンピックをみてまして、冬のオリンピックができるような場所はどういうところなんだろうってみてたら、たいていアルプスでやってるんですよね。なんか次(2030年フランスアルプス)もこの辺で……。
冬季オリンピックの開催地
ヨーロッパをアップにしました
増田:
アルプスらしいですね。
林:そう考えると、冬のオリンピックができそうなところってあまりなくないですか?
増田:
ちょっとないでしょうね。
西村:
ちょっとびっくりしたのが、長野がいちばん南で開かれた冬のオリンピックなんですよね。
増田:
そうですね、長野がいちばん緯度が低い(赤道に近い)オリンピックだったんですけど、やっぱり雪は日本海の雪ですよね。日本の日本海側というのは世界有数の豪雪地帯と言われますけれども、いわゆる冬型の日本海を渡ってくる雪雲で、それでジャンジャン降る。ドカドカ降るので、開催できたというところですよね。
林:
候補地も調べてみましたけど、どこもスキーリゾートやウィンターリゾートの町が多いみたいですね。
増田:
やっぱり山ですよ。
林:
山ですね。
増田:
長野から28年経ってますが、専門家が言うには、冬のオリンピックは気候変動が可視化されているようだと、今回のコルティナも1956年に開催されたときは天然雪だったのに、今回はかなり人工雪に頼っていたと。長野の時点でもけっこうギリギリだったんですけどね、あれ。
西村:
長野はスキージャンプの時とか、すごく雪が降ってたイメージありますけど。
増田:
降ってましたね。長野のオリンピックのときは、2月に開催されたんですけど、1月はじめの時点ではまだ雪が少なくて、雪乞いをしたりとか、あとは雪がちょっとでも積もってくれないとどんどん溶けちゃうからということで、事前に必要なところに畳を敷いたりとか。
林:
畳ですか?
増田:
畳です。地熱で雪が溶けてしまわないように、ちょっとでも降った雪が溶けないようにして、それで一回溶けないようになると、どんどん積もっていきますから。そんなことまでして、やばいやばい、雪がないって言っていたら、1月の途中から雪がドカドカ降ってきて、あのときは2週連続で南岸低気圧(※)が来たんです。
※太平洋側を沿うように西から東へ進む低気圧。関東地方などでも雪が降ることが多い
増田:
2週連続で南岸低気圧が来て、長野あたりだったら南岸低気圧でもどかっと降るので、1月8日と15日に二週連続で積もって、その後は冬型になったりして雪不足の心配はなくなったんです。1月15日は成人の日に関東で大雪になった時ですね。
西村:
98年の成人式、東京でも雪が積もったやつかな……ちょっと思い出してきたかも……。
増田:
それでなんとか、長野は問題なくできたんですけど。もし次、何十年後かにまた長野でやろうってなったらどうなるんでしょうね……。
西村:
長野は最近どうなんでしょうか? 雪は降ってるんでしょうかね。
増田:
日本海の海水温が上がってるという事もあって、ここ最近はシーズンはじめにドカドカ雪が積もることが多いですよね。
林:
青森ってスキーリゾートってあるんですか?
西村:
(※毎年、冬に青森に帰省する)あるのかな? スキー場はもちろんあるんですけど。確かに青森ここ数年雪がドカドカ降ってるから、できそうですけどね。ただ、年によっては全然雪が少ないという年もあるのであれですけど。
林:
そうか、当たり外れがあるのか。そういうところじゃやりづらいのか。
増田:
ただ、急にドカッと降るのもね、それこそこないだのスキージャンプを途中で打ち切った件……。
西村:
あー、日本が跳ぶ時に急に打ち切りになったやつですね。
増田:
あれは皆さん言ってましたけど、もう、すぐに雪が止むというのがみんなわかってた状態で中止しましたよね。日本が飛んでメダル圏内に行ったのにスパンと2回目までのジャンプで順位が決まっちゃった。いろんな意見が出てしまうような打ち切りのしかたでしたね。
西村:
日本は6位だったかな、残念ですね。
増田:
逆に長野のとき、日本が金メダルを取れたのは天気予報のおかげ……なんですよ。
西村:
そうなんですか?
増田:
団体のジャンプで日本は優勝候補だったんですが、1回目4人飛んで、4位だったんですよね。で、吹雪がひどくなってきて、そこで打ち切られそうになって協議に入ったんです。でも、現地で情報提供を担当していた気象予報士の人が「この吹雪は収まりますから、ちょっと待てば大丈夫です」と、それじゃあということで条件としてテストジャンパーが吹雪の中ジャンプして25人連続で成功したら問題ないでしょうと。それで25人連続でジャンプに成功して2回目のジャンプがOKになったというドラマがあって、たしかこれ、映画(※)にもなってますね。
※『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』(2016)
西村:
そんなことあったんだ。
増田:
で、あの雪が降ってる中で「ふなきー」っていう、金メダルにつながったんですよね。気象予報士の予報と、テストジャンパーの成功というふたつのドラマがあったわけですね。
標高の問題もある
林:
冬季オリンピックって、採点競技が多いから大変だなって思いますね……重いものを持ち上げた人が勝ちみたいなのがないので。
小林:
そうですね、スキージャンプもテレマークとかいろいろありますもんね。
林:
世界の標高がざっくり分かる立体地図持ってきたんですけど、冬季オリンピック、なぜここ(ヒマラヤ山脈あたり)でやらないんでしょうね? ヒマラヤ山脈に比べるとアルプス山脈は(高いとは言え)そこまででもない気がしますね。
増田:
比べるとそうですね。
林:
雪が降るのと高いのは関係ないんですかね。
増田:
いろいろと条件があるでしょうから、あと、苦しくなるというのがあるでしょうね。
西村:
あー、空気が薄くなる。
増田:
あと、記録が出まくる……標高が高くて空気が薄くなると空気抵抗が少なくなるので、スピードスケートなんかはもろにそうらしいですね。記録が100分の1秒のレベルだと、それで差がでてしまう。ソルトレイクシティ(※)は標高が1400メートルぐらいあるんですよね、だから高速リンクって呼ばれていますね。
※アメリカユタ州の都市、2002年に開催。2034年にも開催予定。
西村:
へー、おもしろい。
増田:
逆にバンクーバー五輪の時なんかは海に近かったから、まあみんな記録は出ないだろうって思いながら滑ってたということですよね。
林:
このソルトレイクシティに雪が降るのがちょっと不思議で……。
西村:
ユタ州って、砂漠があるようなところですよね。
増田:
これはおそらく、グレートソルト湖と山の影響でしょうね。
西村:
北から冷たい空気がふいて、湖の水分を吸い込んで、山にぶつかって雪が降る。新潟県とかと同じような感じですね。
西村:
めちゃくちゃでかいですね。調べたら滋賀県と同じぐらいの大きさらしいですよ。
林:
これぐらいの大きさの湖でも雪が降るぐらい水が供給されるんですね。
増田:
琵琶湖でも一部そういう効果(冷たい空気が水分を含んで山に雪を降らす)がありますからね。瀬戸内海でも(少ないとはいえ)少し雪を降らしたりすることがありますから、この大きさがあれば雪が降るのも不思議じゃないですよ。
林:
なるほど。
増田:
将来的には、冬のオリンピックは標高が高いところに行かざるを得なくなるんじゃないかな。そうなると、どんどん記録が上がってくるでしょうね。たしか、夏季五輪でも走り幅跳びのオリンピック記録は1968年のメキシコシティ(標高約2240メートル)大会の記録(※)で、いまだに破られてませんね。
※ボブ・ビーモンの8.9メートル。世界記録はマイク・パウエルの8.95メートル
西村:
雪が降る、降らないの条件って、どれぐらい北にあるのかというのを考えがちですけど、その場所がどれぐらい高い場所にあるのかというのも結構重要で、しかもそれって気象だけじゃなくて、スポーツの記録の話にも関わってくるんですね。
林:
ソルトレイクシティのあるユタ州の隣、コロラドのデンバーに、メジャーリーグのチームが1個あって、すごい弱いんですよ。信じらんない弱さで。
増田:
ロッキーズですね。
林:
はい、去年120敗ぐらいしてたと思うんですよ。そこに今年、元ジャイアンツの菅野が行ったんですよ。あのむちゃくちゃ投手に不利な球場に、あの技巧派ピッチャーが行って大丈夫か心配で見に行きたい、応援したい。
増田:
バッターズヘブンって言われますよね、コロラドのクアーズフィールド。ロッキーズの弱さ、去年すごかった。気圧が低くて空気抵抗が少ないからぽんぽんボールが飛んじゃう。だからバッターに優位で、バッターズヘブンでピッチャー不利。で、去年はもろにロッキーズがそれやっちゃったらしくて、ピッチャーがボロボロで……でも、ここで野茂英雄はノーヒットノーランやってますからね。
林:
コロラド・ロッキーズ、去年43勝119敗 勝率0.265という打率みたいな勝率で、すごいですね。 菅野頑張れ……。

