特集 2022年5月18日

気を落とさないで!予報ほど雨は降りません(たぶん)月1天気 2022年5月号 その1

気象予報士、増田雅昭さんに天気について聞く月イチ連載。
今月も2回に分けてお送りします。

第1回はこちらの内容です
・4月はガクッと気温が下がった
・2021年の梅雨入りは変更されていた
・5月の週間予報は雨が出やすい
(構成・林雄司)

1977年滋賀生まれ。お天気キャスター。的中率、夢の9割をめざす気象予報士です。 好きな言葉は「予報当たりましたね」。株式会社ウェザーマップ所属。
ツイッターでも気象情報やってます。(動画インタビュー)

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> 個人サイト ウェザーマップ・増田雅昭 ツイッター @MasudaMasaaki

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今月の登場人物

4月はガクッと気温が下がった

林:
4月は、15日20日とすごく下がりました。

増田:
言ってなかったでしたっけ。4月は暑くなったら必ずその後気温が下がりますよって。
林:
言ってました。そういうときはラップを巻けって話をしてた。
西村:
みんなラップ巻いてくれたと思いますよ。
増田:
お役に立ちましたでしょうか。
西村:
ラップが。
増田:
上がりすぎると、おもしろいように必ずガクッと4月の気温って下がるんですよね。
西村:
バランスをとろうとしているのか。
増田:
30日は7℃台まで下がった。GWに7℃台まで下がるのはなかなかレアですよね。
林:
30日はすごい差があるんですね。
西村:
すごいですね。最高気温が18.5℃とかそれぐらいですね。最低が一桁ですよね。すごい。
増田:
季節がだんだん夏に向かって成長していくわけですけど、成長期に無理して背伸びしちゃうと膝ががくんと来ちゃうみたいな。
西村:
なんでもそうですけどね。
増田:
まだ成長期。体ができてないときに無理しちゃうとこうなっちゃう。
林:
夏みたいに太平洋高気圧が来るとこんなこともない?
増田:
5月はだいぶ季節が成長してくる感じなので、気温が下がっても春先ほど激しくはない。やっぱり4月は一番激しいですね。ほんと寒暖差の月ですよ。
西村:
寒暖差の月。4月は。

2021年の梅雨入りは変更されていた

林:
5月は気温がここまで下がることはないですか?
増田:
ここまで下がらないと思いますよ。
林:
梅雨入りはまだですね。
増田:
梅雨入りはまだですね。いまは曇りや雨の日が多いですが、これは毎年のようにある梅雨の走りですよね。でも、みんな梅雨入りなんじゃないの?梅雨入りなんじゃないの?って…
小林:
言ってますね。
増田:
5月の早い時季に梅雨入りか?という話ですけど、そんなことはない。
林:
5月に梅雨入りって東京ではあったんですか?
増田:
あることはありました。5月の終わりの梅雨入りはたまにあって、これは平年より1週間ちょい早いぐらいなのでそんなにおかしいことではないんですけど、5月6日に梅雨入りというのがかなり昔にあったんです。ただ、これは怪しい。
林:
宣言を先走った。
増田:
梅雨入りの発表日は、夏が終わったあと必要があれば気象庁が修正するんですけど、50年以上も前なので今ほど精査してなかったんじゃないかなと。その記録が、そのまま残っちゃってるんですよね。
今は関東の梅雨入りは5月6日には出さないと思いますよ。ちなみに、去年は近畿・東海が5月16日に平年よりかなり早く梅雨入り発表して、結局修正してましたからね。

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修正された値は気象庁「梅雨入りと梅雨明け(確定値)」のページにあります。
(梅雨入りのニュースで報道されるのは「速報値 」

林:
修正のニュースってあまり出ないですね。
増田:
9月なので、みんな忘れた頃の発表なんですよね。5月16日に梅雨入り発表して、結局確定の梅雨入り日が近畿・東海は6月12日と13日でした。
西村:
一ヶ月。
増田:
一ヶ月以上の修正って、一般の方から見ると大失態ですよね。なので、気象庁は今年はすごく慎重になるんじゃないかなと。5月前半に曇りや雨が続いたぐらいじゃ、簡単に梅雨入り発表はしないと思いますよ。
林:
終わってから。ここ梅雨だったなっていうほうが統計的にはラクですよね。
増田:
個人的には夏が終わってからゆっくり確定させるのでいいと思うんですが、みなさん「今、梅雨なんじゃないの?どうなの?発表してよ」って声が多いですよね。昭和の時代にそういう声が気象庁に届いたところから、梅雨入りの発表は始まってますからね。発表しないと許してくれない空気がありますよね…。
西村:
なんなんですかね。
増田:
市民の声はやっぱり大事ですしね。それがなければ気象庁も、そういう仕事したくないというのが本音なんじゃないかなぁ。
林:
それで宣言みたいになっちゃった。
増田:
発表の業務として決められて、今に至る感じですね。「この日から季節が変わります」って難しい判断ですよね。
林:
言えないですよね。

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5月の週間予報は雨が出やすい

林:
東京は雨の予報が多いんですけど、あれは梅雨ではない?
増田:
梅雨ではないですし、この時季の週間予報は曇りや雨が出やすいんですよ。今日だってすごく晴れてますよね。昨日も晴れました。でも、もともとは曇りとか雨の週間予報が出てましたよね。
コンピュータの予測って季節の本番になるとある程度強くて「このパターンね、はいはい」って予想できるんですけど、季節の始めとか、季節の本番になってないときって、パターンでうまく出せないことがある。
今は5月なのに、たまたま日本列島周辺に湿気がすごく多くなっちゃってるんですよね。湿気が多いので、「あっ、これ曇りだな、雨だな」ってコンピュータが変換しちゃって、週間予報に曇りとか雨がずらっと並んでるんですけど、そんなに天気って単純なものじゃなくて。雲も出るけど、けっこう晴れ間が出る日もある。そういった天気を、うまく計算ができない時季なんです。だからどうしても、曇りや雨の予報がずらっと並んでしまう。
林:
水蒸気は今多いんですね。
増田:
そうなんです。この時季にしては多いです。でも過剰に曇りや雨の予報に変換しちゃっているので、みんなもう梅雨だ梅雨だって言ってるけど、結果きょうのこの晴天ですよ。

この時季の週間予報は曇りや雨が出やすいんですよ。

増田:
なので、このさき週間予報で曇りや雨の日が目立ってますが、曇りや雨の日がずっと続くのではなく、それなりに晴れ間も出るし、5月下旬になるとけっこう晴れる日が出てくると思います。
なので、梅雨本番はまだ本州では先だと思います。

今は一時的に梅雨前線が押し上げられているだけ

増田:
ちなみに、5月前半でもう梅雨入りなんじゃないの?というような曇りや雨が多い年は、5月後半とかからしばらく晴れが続いて、結局、梅雨入りは平年並みじゃんってことがけっこうありますから。平年より遅くなることもありますし。
林:
湿気を使い切っちゃうってことですか。
増田:
湿気が列島に来にくくなる形に一度なるはずなんです。今は梅雨前線の南側にある夏の太平洋高気圧が、ちょっと強まってるだけなんですよね。だから梅雨前線が北に押し上げられて来て、湿気が多くなってるなんです。ただ、今の太平洋高気圧は成長期が来てないのに無理しているような状態なので、ポキっとこけちゃって、またしばらくは大きくなれないと思うんですよね。
西村:
梅雨もそうだと。
増田:
梅雨もその南の夏の高気圧も、ちょっと無理しちゃうとしばらく休まないといけない。まだ体ができてないのに無理して怪我したら、スポーツだとなかなか復帰できないじゃないですか。それと一緒ですよ。大丈夫かな、この例え。
西村:
わかります。
小林:
イメージはすごいわかります。
増田:
体ができてないのに無理しちゃだめ。
林:
今は無理してる段階。

林の理解で描いた図・左がいまの無理して梅雨前線を押し上げている太平洋高気圧、右が無理がたたって梅雨前線が長期離脱するとき

増田:
5月後半になると、夏の高気圧と梅雨前線は本州から長期離脱するときが来ると思いますよ。

4月のクイズのこたえ

林:
4月の最高気温のクイズの正解は27.7℃
増田:
暑かったですよね。これだけ暑いからもう半袖でしょうって声も聞こえてきましたけど、絶対にそのあと寒さ来るからって言ってたとおり、3日後ぐらいに7℃台でした。人間は目の前のこと引っ張られすぎるという傾向がありますよね。
西村:
今暑かったらずっと暑くなるような気がしちゃうし、雨が降ってたらずっと止まないような気がする。
増田:
曇りや雨の日がちょっと多かったら、このまま梅雨なんじゃないかって思っちゃう。こういうバイアスが自分の中にあることを知っておきたいですね。

メロポン 27.5℃ 先日(4月10日)東京では26.8℃という気温を記録していますね。今月中には再度この時と同じように太平洋上に高気圧がある天気図になり、南寄りの風が吹いて気温が上昇することが1回くらいはあると思います。
ベルヌーイ 27.4℃ 中旬の寒の戻りがあった後、GWにかけてふたたび暖気が入りやすくなって27℃は超える可能性が高い。近年の傾向を考えるとこの辺りと予想する。
温湯 27.3 勘です

増田:
メロポンさん来ましたね。
林:
メロポンさんバッチリ当ててるんですよ。0.2℃違いで。ちゃんとした予想のときはメロポンさん強い。
増田:
高気圧の位置って言ってくれてますね。
増田:
南風が送られてきて、それで気温が上がるというパターン。確かにそのとおりですね。お見事!素晴らしい!
林:
ガチの質問になると強いですね、みんな。おめでとうございます。

今月のクイズ・5月の雨の日数を当ててください

5月の問題:
5月の東京の雨の日数を予想してください(すでに降った日数もふくめます)。雨の基準は降水量0.5mm以上の日です。
回答はこちらから!(締め切り:2022年5月22日23:59)

増田:
5月は後半に晴れる日がそこそこ戻ってくると思うんですよね。
林:
天気予報は雨にしがち、という話がありました
増田:
0.5mm以上の雨にしましょう。0.5mm以上の雨が降った日数は、17日までにすでに11日。
このさきの10日予報をどれだけ信じるかですね。


明日は有名な作品を気象の視点で読み解くシリーズ。今回はドラえもんの「台風のフー子」です。おたのしみに! 

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