10月は登場人物が入り乱れるなか、ポイントは台風
10月の天気の大きな流れはどうでしょうか。
登場人物からいきましょうか。
秋雨前線がまだ10月始めは残ってますね。で、あとは秋の移動性高気圧、大陸から来る高気圧です。それと交互でやってくる西からの普通の低気圧。あとは台風も来ることがありますし、北から逆にやってくるのが寒気。
秋雨前線がまだ10月始めは残ってますね。で、あとは秋の移動性高気圧、大陸から来る高気圧です。それと交互でやってくる西からの普通の低気圧。あとは台風も来ることがありますし、北から逆にやってくるのが寒気。
いろいろ要素が増えましたね。
入り乱れてます。
季節の変わり目って入り乱れるんですね。
めったにないけど夏の高気圧（太平洋高気圧）もぐぐっと日本のすぐ南ぐらいまでは張り出してくることがありますし。夏秋冬が入り乱れる感じになりそうですね。
5人の群像劇だ。
入り乱れる感じになるので、変化が大きいでしょうね。高気圧がやってきたら秋晴れだし、秋雨前線が残っていたら秋雨、低気圧が発達してやってきたら大雨。
10月後半になったら寒気がやってきて北海道で雪が降ると思うんですけど、となると本州でも寒くなる。いろんな天気と気温が入り乱れる。その中でもポイントは大どんでん返しの台風が来るかどうか。
台風はまだ終わりではない？
終わらないと思うんですけどね。12個でしょ、まだ。年間25、６個平均できるわけですから。ひとつひっかかっているのがまさに今日（対談した9月24日）来た台風12号です。関東から離れていったじゃないですか。
急に東にそれましたね。
あれって北側の秋の空気が完全に勝ってるということですよね。台風は今後発生しても簡単に上がって来られないようになってきてるのかな…。
台風vs秋の空気で、台風が負けた
秋の空気を打ち砕けてない。ということは秋の空気は強まってるということです。実際涼しいですしね。
いっきに涼しくなりましたね。
僕、9月はまだ暑いと先月言いましたよね（笑）。こんなにあっという間に来ると思わなくて。
台風の栄養である高い海水はどうですか。
高い海水温は特に関東の南、東のほうにまだ残っています。だからこのあとも台風は発生はすると思うんですよ。
でも、秋の空気に「なんとか返しだ〜」って反撃できるぐらいの強い勢いのある台風が来るかどうかがポイントですね。
でも、秋の空気に「なんとか返しだ〜」って反撃できるぐらいの強い勢いのある台風が来るかどうかがポイントですね。
12号は返せなかった。
やられたらやられっぱなし。返せませんでした〜。0倍返しぐらい。
このやられ方はドラマだったら伏線ですが。
去年は10月に強烈な台風が来ましたから、今年もそうなのか。そこがやっぱりドラマでいえば大きな転換点になるんじゃないでしょうか。今のところは見えてないです。
台風が来ると気温が上がるんですね。
基本上がりますね。台風が本州を突っ切るような日本海に入っていくようなコースだと、またまた暑さが「倍返し」まではいかないけれど、「ぶり返しだ！」ぐらいは。
ぶり返しだとは普通の言葉ですね（笑）。
10月10日の「晴れの特異日」以上に晴れている日はクリスマスイブ
10月10日は晴れの特異日といわれてますが。
あれはオカルトですか？
あまり最近特異日は言わなくなってきましたけど、11月3日と10月10日はまだ晴天率が高いですね。
東京に関して言うと10月10日は秋雨が終わる時期なので、そのへんから晴れやすくなるんですが、過去30年間の天気の現れ方を見ると、晴天率が10月10日だけやたら高いんですよね。
東京に関して言うと10月10日は秋雨が終わる時期なので、そのへんから晴れやすくなるんですが、過去30年間の天気の現れ方を見ると、晴天率が10月10日だけやたら高いんですよね。
これはなにか理由があるんですか？
10月10日だけなんでこんな晴れてるのか説明はできないですね。11月3日もまあまあ高いですが、前後と比べて10月10日ほどは飛び抜けてない。
いま12月の晴天率を見ていましたが、大晦日ってこんなに晴れてるんですか？
一番年間で晴れてるのは12月24日じゃないですか。たしかクリスマスイブと29日が93％。つまりホワイトクリスマスなんて東京で期待しちゃダメです。
このグラフ面白いですね。（気象庁ホームページにすべて載っています）
いったん広告です
吊るし雲～雲形記号がおもしろい
このあいだTwitterで吊るし雲が話題になってましたが、あれはなんでできるんですか？
基本的に上空の風が強かったりする時に、山にぶつかったりして、その山にぶつかった風が上がって降りて、波打つわけですよね。
上昇気流ができたり、山を回り込んで渦を巻いたりして、そういう状況の時にできる。基本的には山を越えて、ビヨンビヨンと登る時に。山の風下側にできるということです。
上昇気流ができたり、山を回り込んで渦を巻いたりして、そういう状況の時にできる。基本的には山を越えて、ビヨンビヨンと登る時に。山の風下側にできるということです。
空気が冷えて雲になると。
山でバウンドした風が、山の風下で波打って上がる時に冷やされて氷の粒とか、水の粒が出てくる。
飛行機から下を見ていると雲って山のところにしかないんですよね。海のところにはほとんどなかったりして、すごくわかりやすい。
特に夏とかは島の上に雲がわきやすいので、昔の船の人はそれを島の目安にしたって言いますね。
Wikipediaで調べたら、吊るし雲はレンズ雲の一種であるとありまして…ところでレンズ雲の雲形記号がメガネのようです。
メガネっぽいですね。
これはメガネではありません。高積雲という雲で、底がボコボコっとなってるのを表現しているんです。そういうタイプの雲ですよという意味で。
雲形記号って天気図に実際書くんですか？
僕たちは書かないです。
昔は書くこともあった？
いま配信されてるのも打ってありますよ
西村さん好きそうですね
市町村章とかアイコン好きなんですよ。雲形記号は知らなかった。
今日の天気図を見ても雲形記号が入ってるところもありますね。
普段見慣れてる天気図とは全然違いますね。
僕たちはこれなんです。
情報が多い。
多いんですけど、時間がないので全部読み込めないのでポイントだけ見るという感じですね。
長袖って何度？
長袖・半袖というのをよく天気予報で聞きますけど、あの基準は何度でしょう？
だいたいの天気予報が23℃〜25℃ぐらいが半袖長袖の境目かなと。
決まってるんですね。
他の条件とかにもよりますけど、寒がりの人なら25℃未満だったら長袖、暑がりの人だったら23℃より下かな。人それぞれですね。
増田さんはどっちですか？
僕はめっちゃ暑がりです。
そういう個人的な資質、気象予報士として困りますね。
22℃ぐらいなら半袖でいける気がするし。
短パンとか長ズボンとか天気予報で言わないですね。
短パンと長ズボンは気温による変化じゃなくて、ファッションの要素が大きいから。半ズボンでと言われても会社員ははけない。
いったん広告です
先月の問題の答えあわせ
先月の問題は9月の最高気温でした。が、記事が公開される前に40℃が出てしまいました。（9月3日 新潟県三条市40.4℃。記事が公開されたのが9月5日）。
応募もたくさんでした。「答えでちゃいましたね」ってコメントも多かったですが。でも温度って答えやすいのかもしれないですね。
今月もたくさんの正解者がいらっしゃいます。名誉とともに名前を書かせていただきます。
栄誉ある先月の正解者のみなさま（敬称略）
正解：40.4℃
しまみん
さきのじ
プラレール
トマト
has
水縹
あき
やぴ
メロポン
浪速のセラフィ
さきのじ
プラレール
トマト
has
水縹
あき
やぴ
メロポン
浪速のセラフィ
40℃超えはテレビでよく聞くフェーン現象
増田さん、40℃は予想してました？
なんとなくあるかもとは思ってましたけど、あんなにあっさり超えるとは思わなかったです。
これが9月3日の天気図です。台風や低気圧だらけですが、これで40℃が出るものなんですか？
これは典型的な高温パターンです。台風9号がここまで北に来るということは南国から熱帯の空気を北へ持ち上げているんですね。
本場から夏の空気を
台風に南風が吹き込むので、南から熱い空気が供給されます。さらに、南風が日本の中央にある高い山を越えるときに日本海側でフェーン現象を起こしやすいんですね。
暑い＝高気圧だけじゃないんですね
2007年に熊谷と多治見で40.9℃が出るまでは、70年以上山形市が国内記録40.8℃をずっと持っていたんです。それがまさにこのパターン。
北海道で39℃とか出たのもフェーン現象？
去年の5月ですかね。
あれもフェーン現象ですね。台風は絡んでないですけど。北海道でああいう高温が出るのは初夏なんです。5月とか6月とかの初夏に西から、大陸から熱い空気が流れ込んできて、そのときに日高山脈などを西風が越えて北海道の東側で高温が出る。さすがに5月の39.5℃はびっくりしましたけどね。
あれもフェーン現象ですね。台風は絡んでないですけど。北海道でああいう高温が出るのは初夏なんです。5月とか6月とかの初夏に西から、大陸から熱い空気が流れ込んできて、そのときに日高山脈などを西風が越えて北海道の東側で高温が出る。さすがに5月の39.5℃はびっくりしましたけどね。
答え合わせの途中ですがフェーン現象についてさらに詳しく
フェーン現象ってどうもピンとこないんです。空気が上昇するときにあまり温度が下がらずに、下降するときだけどんどん上がる？
単純に空気の塊が上に行くと気圧が低くなるので空気が膨らむ、膨張するのにエネルギーが使われて温度が下がる。逆に降りていくときは膨張してたのが圧縮される形になるので温度が上がりやすくなる。
なので、山の上のほうの高さにそこそこ暑い空気がある場合、それが風下側に吹き下りると一段と高温になるわけですね。
なので、山の上のほうの高さにそこそこ暑い空気がある場合、それが風下側に吹き下りると一段と高温になるわけですね。
はー（分かってない）
小学生に言うのであれば、上に行ったら山の上とか寒いよね、下に降りてくると暑いよね。空気ってそういうものなんだよって。
説明するの難しいですね。中学生には、150人の観客がキャパ150人のライブ会場にいる状態から突然3000人のzepp tokyoに引っ越せって言われたらバラバラになって盛り上がりづらくなる。密集してると盛り上がりで高熱になるけども、バラバラになると高熱じゃなくなっちゃうんだよねってごまかす。
いまどきの説明ですね。今度天気予報で使っていいですか？
もう一個別のメカニズムがあって、山を降りてきた空気は下降気流なわけですよ。上から空気が押さえつけている。
空気が押さえつけてるということは、ビニールハウスのような透明な天井があるということ。その空気の天井と地面の間の狭い空間の中で、晴れていれば熱がこもります。
空気が押さえつけてるということは、ビニールハウスのような透明な天井があるということ。その空気の天井と地面の間の狭い空間の中で、晴れていれば熱がこもります。
ビニールハウスの天井がなかったり高かったら、暖めるのに時間がかかりますけど、ぐーーっと押さえつけられてきて地面すれすれのところに透明の天井ができればこの間はすぐ熱せられますよね。
空気の移動があまりできなくなるからあたためられる？
そうです。熱が上に逃げられなくなるから。狭いビニールハウスのような効果で高温になるわけですね。
フェーン現象は盆地でよく起こると聞いたことがあるんですが、それはそこに溜まってる空気が逃げられなくなるから、という理解で大丈夫ですか？
ふたつあって、盆地だからどっちから風が吹いてもフェーン現象は起こりやすいわけですね。さらに透明な天井が下降気流によって作られて、西村さんがおっしゃったように盆地で熱が閉じ込められて効率よく熱くなってしまう。
山形は盆地ですよね。でも新潟とか北海道のこっち側は盆地というわけではない。盆地が必須というわけではないんですね。
冬の北風だと「おろし」、南風だとフェーン現象
赤城山とか六甲おろしとか山から降りてくる風は冷たいですが、あれは違うんですね。
山を越えるというメカニズムは一緒です。あれも一応温度は上がっているんですよ。元が冷たすぎるから温度が上がっても寒い。
シベリアから来る空気ですもんね。
シベリアから来る空気だと赤城おろしみたいに冷たくて、台風がからんでいる空気だとフェーン現象になるんだ。腑に落ちました。
おろしって風に名前がついているところは山の南側や東側が多いですよね。六甲山の南側の六甲おろしとか、赤城山の南側の赤城おろしとか、北西からの風が勢いよく強く吹く季節、それは冬ですよね。
今月の問題「10月の東京の最低気温は何度でしょう」
答え合わせが長くなりました。今月の問題も温度にしましょうか。10月の最高気温
いや、最高気温は上旬に出やすいので、9月の二の舞になってしまう可能性が。
最低温度はどうでしょう？
氷点下は出るでしょうから。そっちにしてみます？ちょっと想像がつかないですね。気象庁のホームページを見てみます。
富士山になってしまうと肌感覚で予想できないな
東京の最低気温にしましょうか。
今月の問題：
東京の10月の最低気温は何度でしょう。小数点以下1桁までお答えください。
東京の10月の最低気温は何度でしょう。小数点以下1桁までお答えください。
締め切り：2020年10月8日
回答はこちらから
回答はこちらから
10月の最低気温は、2019年が12.1℃、2018年は11.6℃。2017年は9.1℃。9.1℃は31日ですが、19日でも9.9℃。
ハロウィンの時期、そんな寒いんだ。
これけっこう難しいですね。
ヒントはありますか？
今の最新の予報だと10月の前半は気温が高くなる傾向なんですよ。問題はそこからですね。最低気温は後半に出るんでしょうけど、わかんないな、これは。わからないですよ。
2007年を参考にするのはもうダメですか。
一応それ持ってきます？今年は2007年と似ている説（*）。行ってみましょうか。10月の最低気温12.8℃。
* 2020年の7月8月の天気は2007年と瓜二つだった。詳しくは先月の月一天気をどうぞ。
僕の予想は2007年と同じ説をまだ引っ張って12.8℃にします。西村さんは？
10℃下回ったら面白いですね。9℃ぐらいが出たらおもしろいな。
僕は12.8℃。西村さんは9.0℃で確定です。
ちなみに東京でこれまで10月で一番低い気温は氷点下0.5℃。1877年10月31日。
明治時代？
記録を見ると、10月の低い方からのベストテンで2℃とか3℃とかがズラッと並んでるのがだいたい1800年代。
江戸時代は雪が降りやすかったとか言いますけど。
ミニ氷河期が来ていたとか寒かったって言いますよね。
明治の最初ぐらいまではそういうのがあったのかもしれませんね。
都市の熱ってのもあるんじゃないですかね。
だんだん都市化して、最近はその熱の影響がありますよね。
車がビュンビュン走って、エアコンの室外機がゴーゴーなってると気温も変わりそうな気がします。
さすがに明治時代の記録は参考にはならないと思うんですけど4年前に東京で雪が積もってます。11月24日だったかな。勤労感謝の日の翌日。都心でもうっすら積もって、八王子まで取材に行きました。
惑わせる情報がたくさん出たところで、みなさまお考えください。
あらためて今月の問題：
東京の10月の最低気温は何度でしょう。小数点以下1桁までお答えください。
東京の10月の最低気温は何度でしょう。小数点以下1桁までお答えください。
締め切り：2020年10月8日
回答はこちらから
回答はこちらから
