特集 2020年6月6日

もう沖縄は梅雨明け!?〜6月の天気・前編〜

今月の天気の流れを解説する「今月の天気」。1ヶ月という長いスパンで、その月の天気の特徴や仕組みを見ていく連載です。解説はデイリーポータルZではおなじみ、気象予報士の増田雅昭さん。ついでに、ライターが気になる天気の疑問もぶつけます。

今回は6月の天気を伺いました。(本連載は1ヶ月の見込みをお伝えするもので、詳しい予報は行っていません。詳しい予報が見たいかたは、ウェザーマップなどの専門サイトをどうぞ)

ここの文と対談まとめ:小野洋平(やじろべえ)

1977年滋賀生まれ。お天気キャスター。的中率、夢の9割をめざす気象予報士です。 好きな言葉は「予報当たりましたね」。株式会社ウェザーマップ所属。
ツイッターでも気象情報やってます。(動画インタビュー)

前の記事:初夏と真夏の暑さの違いは高気圧の種類!〜5月の天気〜

> 個人サイト ウェザーマップ・増田雅昭 ツイッター @MasudaMasaaki

梅雨前線が北上するのは太平洋高気圧の仕業

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増田さん(左下)にお話を伺うのは、ライターの西村さん、(右下)林さん(中央上)、加藤さん(左上)
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少しずつ暑くなってきましたね。6月はどんな天気になりますか?
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6月は梅雨がほぼ全てです。主役は雨をもたらす梅雨前線。現在(5月28日)は沖縄や奄美が梅雨入りしており、本州にも迫ってきていますよね。6月はこの梅雨前線がどこまで北上するかがポイントです。
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梅雨前線が北上する要因というのは?
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南からの太平洋高気圧が押し上げています。
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え、高気圧が上げているんですか?
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はい。梅雨前線は太平洋高気圧の北側に位置しているため、高気圧がパワーアップすればするほど、北に押し上げられていくんです。まるでウエイトリフティングのようにグーッと。
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あの「北海道には梅雨がない」と言われているじゃないですか? 梅雨前線は東北から北に上がった瞬間に消えるんですか?
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いい質問ですね。たしかに、気象庁は北海道の梅雨入り、梅雨明けの発表をしていません。そもそも、梅雨前線の正体は熱帯や東南アジアから流れてくる大量の湿気です。
当然、北に行けば行くほど水源地からは遠くなっていきますよね?

 

ということは、水源地から離れる=湿気が届きにくいわけです。要は、北海道あたりまで北へ行くと、天気図を見てもどれが梅雨前線なのかが、だんだんぼやけるんですよ。

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東南アジアから湿気が西から東へ流れ込むイメージ
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では、沖縄と東北の梅雨ではパワーが違うんですか?
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違います。九州の雨ってめちゃくちゃ降るイメージがありませんか? 東北であそこまでひどい雨はなかなかないですよ。
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梅雨前線って南下もしますよね?
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はい。真夏は太平洋高気圧が日本の北まで前線を押し上げます。しかし、8月の終わりや9月に入ると、太平洋高気圧もだんだんと萎んでいき、梅雨前線を持ち上げられなくなっていきます。そうすると、梅雨前線は名前を変えて戻ってくる。それが「秋雨前線」。季節は立秋を過ぎ、暦の上では秋になっていますからね。
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どこまで南下するんですか?
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秋が深まって、どんどんと高気圧が萎んでいくと、秋雨前線は日本のはるか南で存在がはっきりとわからなくなるんですよね。なお、10月ごろは秋雨前線と台風がセットになり、大雨になることもあるので注意が必要です。
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ちなみに、6月は梅雨前線の北側にオホーツク高気圧がときどき現れます。梅雨前線というのは、違う種類の高気圧と高気圧の境目に存在しているんです。
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高気圧と高気圧の間を湿気が流れているんですね。高気圧自体が持つ湿気とは関係ないんですか?
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高気圧自体は晴れており、乾いているため湿気はあまりありません。しかし、高気圧周辺から出た湿気は雨をさらにパワーアップさせていますよ。
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というと?
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高気圧というのは、時計回りに風が回ります。そして、太平洋高気圧は基本、太平洋にいます。東南アジアから流れてくる大量の湿気に太平洋の湿気を合流させて、さらにパワーアップするんです。
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東南アジアの湿気と太平洋の湿気が合流
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なるほど。本当に6月は太平洋高気圧次第ということがわかりました。
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ちなみに、東南アジアからの湿気は九州が玄関口になっています。また、太平洋からの湿気が合流しやすいのも九州など西日本です。だから、余計に九州は大雨が降りやすいエリアなんですね。

沖縄、かなり早い梅雨明けか?

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じつは今年の沖縄は、もうすぐ梅雨明けするかもしれないんですよ。
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まだ関東は梅雨入りもしていないのに?
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はい。沖縄の梅雨明けは平年6月23日なのですが……。こちらの天気予報をみてください。
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5月28日時点の天気予報
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ほとんど晴れてますね。これは太平洋高気圧が強くなっちゃったんですか?
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強くなっちゃったんです。だから、いま気象予報士の中でも話題になっているのが、本当に梅雨明け発表をするのかどうかって話。平年よりかなり早い梅雨明けを気象庁が思いきれるのかどうなのかが気になります。
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気持ちの問題なんですね。
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梅雨明けしたら、過去最速ですか?
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6月7日までに明ければ、一番早い梅雨明けです。
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それまでに九州は梅雨入りするんですかね?
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沖縄から梅雨前線が上がるタイミングで、九州南部は梅雨入りするでしょうね。
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でも、今までは沖縄も九州南部も梅雨入りという状態があったわけじゃないですか? なにが違うんですか?
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梅雨前線ってウネウネした形をしているんですよ。時には北に蛇行したり、南に蛇行したり。例えば、本州が梅雨入りしても、また沖縄にいくこともあります。この状態を1ヶ月ほど繰り返しながら、段々と北上していくのが梅雨前線なんです。
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では、沖縄もまた雨が降り出す可能性があるんですね?
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本来はそうですが、今年はウネウネが弱く、あまり雨雲が戻って来ないのかもしれません。なんだか、今年の梅雨前線には心の迷いが感じられませんね。
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2019年6月の衛星写真。白い雨雲が太平洋沖に遠ざかったと思ったらうねってまた本州に近づいている。
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6月の天気図は気象予報士の腕が試される!?

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5月27日の日本の天気図(気象庁ホームページより)
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天気図を見ていたら、気になったことがあります。これ、低気圧がめちゃくちゃ多くないですか?
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高気圧と低気圧というのは、気温差が大きくなることで結果的に等圧線が多くなり、はっきりと分かれるようになります。
例えば、春は北が寒く、南が暖かいじゃないですか? 低気圧はこの気温差をなくすために発達し、空気をかき混ぜてくれるわけです。低気圧が発達するイコール、等圧線もぐるぐる巻きになります。逆に、北と南の気温差がない場合は低気圧が発達しません。
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なるほど。では、この天気図はなぜ低気圧が集合体にならず、バラバラな状態なんですか?
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梅雨が近づくと気温差が小さくなるので、一つの低気圧がドーンと発達できません。そのぶん小さな低気圧があちこちで生まれるわけですね。ボコボコと小さい低気圧が増えるのは、梅雨が近い証拠なんです。
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低気圧と決めるのは書いている人次第ですか?
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そうですね。ただ、6月は場所がわかりづらいんです。はっきりと発達した低気圧があれば天気図を書きやすいんですけど、6月はどこに低気圧を置き、どこに等圧線を書くかが見えづらいため、ある程度はフリーハンドで書かなければなりません。ある意味、実力が出やすいので、先輩の前で書く時など僕は嫌でした(笑)。
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台風の上陸は素人が発表してはいけない法律がありますが、天気図は発表していいんですか?
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天気図は全然構わないですよ。予報ではないので。
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そうなんですか? じゃあ、今度「僕の天気図」って発表してみようかな。

気象予報士は天気をどう伝えているか、W杯のときに「お天気味方指数」というのをやってみたら、めちゃくちゃ的中させてしまったなどのちょっといい話は後半にて!
クイズの答え合わせ、6月のクイズも後半です。
(後半は2020年6月8日16時公開予定)

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