わたあめの袋のキャラになりたい

お祭り開始

お祭りが始まり、さっそくお客さんが来た。

わたあめを作ろう思っていたが、慣れている方がささっとつくって渡していた。せめてお金をもらう係に……！とおもったが、それは一緒に来た友人が率先してやっている。

しかも、皆わたあめの袋にいれずに、そのまま食べている。

やばい！このままだと、わたあめの袋のキャラクターの面目丸つぶれだ！！どうにかしなきゃ！！

袋だけ配る

わたあめを買ってくれた子に、「わらじの袋いる？」と聞いてみたら、小さくうなずいたので渡してみた。

いや、でもわたあめを買った人にしか渡してないし、専用の袋を買ったわけだし、完全にわたあめの袋でしょ！と自分を納得させ、このまま袋のみを配るスタイルに変更することにした。

10枚しか作ってなかったので、わりとすぐなくなってしまった。もう少しつくってくればよかったかな。

この後、「カードもらえるって聞いたんですけど……」と何人かやってきた。袋より名刺の方が喜ばれている可能性がある。

踊る妖怪

なぜか皆「べろさん」とか、「べろべろさん」と呼んでくるのが新鮮だった。初めてあだ名をつけてもらえてちょっとうれしい。

隣でいろんなチームがよさこいやエイサーを踊っていてかっこいい。わらじも真似して踊っていたら、

「化けわらじさんも、よかったらステージで一緒に踊りますか？」

と言われた。

え！？ステージまで行っていいの！？

わらじが混じることで、急に妖怪大戦争みたいな雰囲気になってるけど大丈夫だろうか。

でも、「化けわらじが来てますよ〜」という場内アナウンスをしてくれていた！

みんなが見てるし、頑張って踊るぞ！！

最初は全く踊れなかったのだが、繰り返しの振り付けが多いので、最後の方にはなんとなく踊れるようになっていた。

１曲終わると、

「化けわらじさん、大丈夫ですか！？まだいけますか？」

と声をかけられ、

「全然いけます！！」

と元気よく答えた。

実際は汗だくで、もう無理かも……と思っていた。よさこいの踊りは、１曲だけでもそうとうな運動量である。でも、なんやかんやで結局このあと続けて３曲も踊ることとなった。

わたあめ屋をやりにきたのに、こんなに踊ることになるとは……！！

もはや何をしにきたのか見失いつつあるが、楽しいからまあいっか〜と思って、そのまま踊り続けた。

結局前半の部、後半の部と合わせて合計８曲踊り、最後の方は完全にチームの一員みたいな気持ちになっていた。

終わってから気づいたが、そういえば練習の１回しかわたあめをつくっていない。

わたあめ屋さんのお手伝いに来たのに、全然手伝ってない……！！！

「役立たずですみません……！！！」

と言いに行ったら、

「化けわらじさんがお祭り楽しんでくれたなら、もうそれが何よりです」

と、かなり妖怪ファーストな暖かい言葉をかけてくれた。

でも、1日でわたあめの袋からお祭りのポスターになれたのは異例の出世である。いまから来年のポスターが楽しみだ。 

次なる憧れ

よさこいチームごとに大きい旗を持っており、踊っているときにずっと横で振っている人がいる。

１回、「化けわらじも旗振ってみる？」と言われたが、ムキムキの妖怪じゃないので辞退してしまった。皆がかっこよく踊っている横で疲れて振れなくなってたらまずいと思ったのだ。でもちょっとやってみたい気持ちもあるので、次までに筋トレしておこうと思う。