短い記事 2022年3月28日

ホロホロチョウよ、頼むから彼女との思い出を忘れさせてくれ

私には「ホロホロチョウ」=「元カノ」という不思議な方程式が刻み込まれている。恋愛とは縁遠そうな「ホロホロチョウ」という単語をひとたび聞けば、自分の過去の恋愛事情を思い出してしまうのだ。

この連想ゲームを止めてしまいたい。だから私はホロホロチョウに向き合おうと思う。

昼はデータサイエンティストをしています。トイレと路上観察と観葉植物が好き。行動力があるとよく言わますが自覚はまったくないです。和菓子が全部苦手なのでお土産がいつも食べられないです。

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なぜ、私が奇妙な連想をするか説明しよう

そのむかし、私はデートでさまざまな鳥が放し飼いにされている施設、神戸花鳥園へ行ったのだ。そして、彼女がホロホロチョウという聞きなれない鳥の前で突如、

「ホロホロチョウを見るたびに私のことを思い出して」とささやいた。

この謎の言葉の魔法は強力で、十数年たっても「ホロホロチョウ」と聞けば「彼女」のことを思い出してしまう。まるでパブロフの犬、不便じゃないが不自然なこの連想ゲーム。どうにかして止めてしまいたい。

この連想ゲームの原因は、私がホロホロチョウについて「デートで見た鳥」以上のことを知らないからだろう。それなら、ホロホロチョウのことをもっと知ればいいのだ。

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現在の知識の状態から生じる連想ゲーム。ホロホロチョウと言えば元カノという一本道だ
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ホロホロチョウについて知ることで、元カノ以外を連想する分岐を増やせるはずなのだ。

神戸花鳥園を再訪しよう

神戸花鳥園は私たちがデートしたあとリニューアルし、「神戸どうぶつ王国」となった。

再訪してホロホロチョウと向き合おうと思ったが、いまは遠方に住んでいるため代理でライターの唐沢むぎこさんに神戸どうぶつ王国に行ってもらうことにした。ありがとう。

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こちらが唐沢むぎこさんだ。ひょうきんなポーズをしている。天上天下唯我独尊と唱えているのかもしれない。
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ダブルグッドをする唐沢むぎこさん。

唐沢さんから飼育さんに確認してもらったところ

・現在「神戸動物王国」ではホロホロチョウは飼育していない
・2010年にどんなホロホロチョウがいたか、現在務めている飼育員の方には不明

といった情報が得られた。

もしかして、私の彼女と神戸花鳥園にったこと自体が幻想なのだろうか。心に不安の影がさしてしまう。

神戸花鳥園がリニューアルし神戸どうぶつ王国になったのは2014年のこと。そのタイミングでいなくなったのか、もしくは私が見たホロホロチョウが亡くなってしまい、その後、あたらしいホロホロチョウが迎えられなかった……ということかもしれない。

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ホロホロチョウではない鳥。今の私にはホロホロチョウの情報がとにかくほしいのだ。

仕方がないことだが残念だ。ただ、他に送られてきた写真を眺めていたら、とある写真で脳みそのシナプスがスパークした。

006_丸テーブル.jpg
見覚えがある光景だ! 私はここにいたことがある!

この丸テーブルで食事シーンが蘇ったのだ。私は間違いなくここにいた。でも会話の中身も思い出せない。なんて薄情な人間なんだろう。

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かわいいね。私が訪れた当時はなかった記憶
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神戸新交通ポートアイランド線にも乗った記憶も思い出した

何に乗りどこで場所で食事をしたか覚えているが、彼女のことで覚えているのは「ホロホロチョウを見るたびに私を思い出して」のみだ。

残念ながら神戸どうぶつ王国ではホロホロチョウ情報は入手できず、私の元カノとのデートの断片情報がよみがえっただけ。これでは「ホロホロチョウ」なら「彼女」の連想が強くなってしまっただけじゃないか。

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大宮小動物公園にはホロホロチョウがいるらしい

当時と同じ場所のホロホロチョウを見ることは叶わなかった。

それならばどこでもよいからホロホロチョウを見に行こう! ということで調べたところ、埼玉の大宮公園内にある「大宮小動物園」でホロホロチョウが飼育されていることが分かった。

早速向かう。

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大宮駅前で出迎えてくれたリス。大宮ってリスの街なのだろうか
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こちらが大宮公園小動物園の入場ゲート、ファンシーだ。だが私にとってはホロホロチョウと向き合う決戦の場だ

いや、さあホロホロチョウと真剣に向き合うべき時がきたのだ。

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インスタグラムとツイッターが混じった看板。

一目散にホロホロチョウがいそうなフライングケージに向う。

いざ乗り込み。鳥たちの楽園、ユートピアはここにあるらしい。かなり大それた名前だ。
ここで、魂を燃やしている私が乗り込むこともしらずに。

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とりたちの楽園。大それた名前だ。その平穏も終わりだ。ここにホロホロチョウを凝視してやろうと魂を燃やしている私が乗り込む、と思ったら
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人間立ち入り禁止。とりたちのらくえんは守られた

一気に不安になり、背中に汗がどばっと出た。

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ほかの鳥も展示中止中

もしかして私はホロホロチョウに会えないのだろうか。園全体が私に不安をあおってくる。事前に展示状況について調べてから来るべきだった。

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顔はめパネルも使用禁止。せちがらい。
016_動物園の最終コーナー.JPG
動物園の最終コーナー

ここの一本道を抜けると動物園の出口なのだ。ここにホロホロチョウがいなければ無駄足に終わってしまう。幸せの青い鳥と違ってホロホロチョウは家に帰ってもいる保障はない。どうかこのゾーンにいてくれと祈りながら歩く。

不安のまましばらく歩いたところに……

いた……!!!!

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ホロホロチョウがいた!記憶の中のホロホロチョウはだいぶ曖昧な存在になっていたので、「ご本人登場だ!」に似た興奮だ
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ホロホロチョウの説明。名前以外は知らない情報だらけ

ホロホロチョウは現物を見ると相当に情報量が多いフォルムの生き物だった。

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身体がまるっこい。全身の点点。顔だけ白くて、口元は赤いビラビラ。触れるべきポイントがかなり多い。鳴き声もホロホロと書いてあるがキュキュみたいな声だった。

改めてホロホロチョウのご本人登場を眺めていると色々と発見がある。

「名前が特徴的」で「見た目も特徴的」なのが原因なのか、ホロホロチョウの前で立ち止まる人がかなり多い。

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「ぶつぶつのやつ、いやだ」や「太い鳥がいる」「めっちゃ丸い」「チョコボールみたい」など、特徴をいじっていくのだ。

当時の私と彼女がホロホロチョウの前で足を止めたのもこんな背景があったに違いない。

そんな中、とある客のホロホロチョウへの「草間彌生デザインの鳥だ」という言葉が脳にクリティカルヒットした。

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なるほど……

確かに草間彌生のデザインを彷彿とさせるほどのドットの数だ。

そうだ、確かに草間彌生デザインだ。水玉が全体にあしらわれたデザインといえば草間彌生であり、このホロホロチョウは草間彌生作品と同じ勢いで水玉があしらわれている。

このたとえツッコミの腑に落ちる感じが脳に染み付いた。

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今の私の脳内。ホロホロチョウから草間彌生の連想が強くなった私。

私は今後、ホロホロチョウを見かけるたびに「草間彌生」を連想するようになるのだろう。

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