ゴージャスにあこがれて
自分の姿をゴージャスなのぼりすることが出来た。
しかしド派手な衣装とは裏腹に、おたからやの前では派手にアピールすることができず、あくまで自然体で撮影することとなってしまった。
目立ちたいのに、何気なく撮影する。
このような心境を歌ったのが、近藤真彦のヒット曲「ギンギラギンにさりげなく」であることは、あまり知られていない。
「真綿色したシクラメンほど清しいものはない」というのが過言でないのなら、「おたからやののぼりほどゴージャスなものはない」と言っても過言ではない。
あんなゴージャスなもの、誰でもなりたいに決まっている。
だからなる!
光り輝く衣装に身をつつんだタレントのコロッケが、ギラついた目で「高価買取!」「お売りください!!」と笑顔で迫ってくるおたからやののぼり。
金のタキシードで、金塊を持って、金目のものを売ってくれという、「金!金!金!」なのぼりではあるが、ベースにユーモアと誠実さがあるため成金趣味におちいることなく、上品でゴージャスな仕上がりになっている。
これになりたくない人間などいるのか、ということで今回はこれになろうと思う。
余談だが、のぼりをよくみると「おたからや店長おたコロ(コロッケ)」と書かれている。
にもかかわらずコロッケのことをおたコロと呼ぶ者は、桑野信義をクマワンと呼ぶ者よりも少ないので、私一人くらいは今後コロッケのことをおたコロと呼ぶことにしたい。
一方、のぼりではなく看板では、高級腕時計、高級バッグ、貴金属類を背景に、おたコロがやさしくほほえんでいる。
メイクの濃さもあいまって、こちらもやはり上品でゴージャスである。
ちなみにこのメイクは撮影の際、おたコロ自ら「僕、ハイボールと目元のメイクは濃いめが好きなんですよね」とメイクさんにお願いした可能性が高いと睨んでいるがどうか?
どうかと言われても困るか?
では、さっそくのぼりの制作にとりかかろう。
しかし私には、おたからやのような高級時計やバッグ、貴金属類がない。だけど僕にはピアノがないと歌う西田敏行の気持ちである。
だからと言ってあきらめる訳にはいかないので、持ってるもので代用することにする。
これらを背景にする。
つづいてはおたコロの扮装だ。
これで、のぼり用の写真を撮影していく。
角度や表情、姿勢などを撮影しては確認、撮影しては確認を小一時間繰り返す。
コロッケのあの表情は意外に気力、体力を消耗するので、撮影した画像には死んだ魚の目をしたオフショットがたくさんあった。
コロッケも楽屋ではこんな表情なのかもしれない。
最終的にこの画像を選択。
できた素材を用いてオリジナルのぼり制作専門店のサイトでデザインしていく。
これに文字も入れてレイアウトし、入稿して到着を待つことになった。
待つこと数日。無事にのぼり一式が到着した。
画像が荒くなったりしていないだろうか?
好き放題デザインしたので、文字がずれたりしていないだろうかと心配になる。
ビニールに包まれた状態でみるとなんだか画質が荒いような感じがする。
失敗していたらどうしよう、と思っていたが…
のぼり業者の人はどう思っただろうと思うと笑いが込み上げてくる。
やったーーーー!!!!
ゴージャスなのぼりが完成だーーーー!!
さあ、出来上がった!プロの力を借りて、品質も申し分なし。
さっそく、広いところでのぼりの全体像をチェックしてみよう。
いいぞ、いいぞ!これならおたからやののぼりに負けないぞ!
異様だがイイ!
しかし、これでは隣家の方から山田五郎の家と思われることはあっても、世間にアピールするというのぼりの目的を果たしているとは言えない。
もっとこののぼりに日の目を浴びさせたい!
そのためには一体、どうすればいいのだろうか?
こののぼりに日の目を浴びさせるためには、どうするか?
それはおたコロののぼりと並べるに限るのではないか。
そうだ、そうだ、そうに違いない!
では元気よく、パパパ、パパパパ、パパパパパーっと、クラクションの音のゴッドファーザーのテーマに乗って、おたからやへ行ってみよう!
一人での撮影のため、のぼりと三脚をもって、おたからやのある通りを歩く。
荷物も多く、歩きもぎこちなくなる。これこそが一人撮影の緊張感だよなあなどと思っていたら店の前に到着。
素早く三脚を立てて撮影体勢に入る。
店の人が出てきたらどうしようと思うと喉が渇く。
一応、コロッケ顔をしてみるが、いや、俺が撮りたかったのはこのバージョンののぼりじゃないと気が付く。
急いでお目当てののぼりの前まで移動し
よし!おたコロと自分ののぼりと並ぶことが出来た!!!!
つづいて高級腕時計やバッグ、貴金属類がうつる看板前へ移動。
やったぞ、おたコロと並んで撮影でき、のぼりに日の目を浴びさせることができたぞ!!!
俺はゴージャスになったのだーーー!
自分の姿をゴージャスなのぼりすることが出来た。
しかしド派手な衣装とは裏腹に、おたからやの前では派手にアピールすることができず、あくまで自然体で撮影することとなってしまった。
目立ちたいのに、何気なく撮影する。
このような心境を歌ったのが、近藤真彦のヒット曲「ギンギラギンにさりげなく」であることは、あまり知られていない。
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