ラブゲティってなんだ?
って思った人も多いのでは。
これからラブゲティの解説をする僕もその一人である。一緒に学びましょう。
1998年に発売されたラブゲティ。(僕と同じ学年!)
男女の出会いを目的としたデバイスで、男性用と女性用の2種類がある。
現代の出会い系アプリ「Tinder」のハードウェア版といってもいいだろう。
このラブゲティ、微弱な電波を使った無線通信を行って、男性用のラブゲティと女性用のラブゲティが近づくと光ったり鳴ったりする仕様らしい。
異性を探すために、ラブゲティを持って街をウロウロするのがメインの使い方であろう。
(逆に言うと、異性を探すことしかできないデバイスだ。なんだこのデバイス!)
ラブゲティ同士が反応する距離はおよそ5~10mとされている。
実際に実験してみたが、おおよそそのくらいだった。
しかも便利なことに、モードが3種類用意されている。
ちょっとお話したいとき用の「おはなしモード」
一緒にカラオケに行きたいとき用の「カラオケモード」
ゲットされたい/したいとき用の「get^2モード」
男性と女性の双方で設定しているモードが一致して、かつ近い位置にいるとき、ラブゲティが鳴るのだ。
「異性とカラオケ行きたいな〜」と思ったら、ラブゲティをカラオケモードに設定して街を歩いて、同じくカラオケに行きたい異性がいれば、互いのラブゲティがピーピー言うようだ。
ラブゲティではこうやって出会いが発生するのだ。Tinderでいうところのマッチである。
これが1998年の話。ゲームボーイカラーだってまだ無い時代である。出会いへの貪欲さがすごい。
当時、リアルに使ってる人いたのだろうか。ラブゲティきっかけのナンパかぁ。超ナウい。
そしていま1周回って同じところにTinderがいるのだ。技術!
ラブゲティを使った当時の出会いはどんな感じだったのだろう?
いや、そもそもこれ、出会えるような実用性があるのだろうか。
2020年のいま、ラブゲティを相当数手に入れたので、22年前の出会いを体験するべく、ちょっとした実験をして遊んでみよう!
ラブゲティかくれんぼ2020 開催!
時は2020年2月。バリバリ令和である。
ラブゲティを使ってかくれんぼをしようじゃないか!
と、筆者が所属する大学の演劇サークル「劇団しろちゃん」のメンバー60人に呼びかけたところ、心優しい8人が集まってくれた。よく考えると訳わからない先輩だ。みんな優しい。
筆者の僕が男性用のラブゲティを持って札幌市内を散歩する。
一方、女性用ラブゲティを持った劇団しろちゃんの8名の精鋭たちが僕を捜索。
みんなの士気を高めるため、僕と出会えた先着2名に賞金を支給することにした。
お互いのラブゲティが光って鳴ったら「どこか近くにいる」ことがわかるという、ハイテクなんだかローテクなんだかよく分からないシステムのかくれんぼである。
(最近はiPhoneのGPS機能を使ったかくれんぼが流行っているらしい。ハイテクだ!)
僕が散歩する範囲はこの範囲。
札幌駅から大通公園の間の、西2〜5丁目までの区画である。狭からず広からずの範囲だ。
撮影当時、さっぽろ雪まつりが開催されていたので人混みもなかなか。
制限時間は1時間。
8人にアプローチされるだなんて初めてだが、うまく出会えるだろうか。
賞金がかかっているので逃げたい気持ちもあるが、出会いたい気持ちもある。複雑だ。
スタート地点の札幌駅をひとまず出発!
かくれんぼというからには、まずどこかに向かって人混みに紛れなければならない。
人混みでまず思い浮かぶのは、やはり、さっぽろ雪まつりだ。しかし、混んでいるとはいえ、安直っちゃ安直な考えだ。みんな来そう。
そうして第一に向かったのは
時計台である。
ちょうど12時の鐘が鳴るところで、そこそこ混んでいる。
近くのビルに座れるところがあったので、少し留まって待ってみることにした。
フライドチキンを食べながらゆっくりしていると15分ほど時間が経った。
その間、ラブゲティは一切鳴らず。
ベンチに近づいてくる人に気づいては、ちょっとビクっとするのを繰り返してはいたが、捜索隊の面々が現れることはなかった。
「この人かも!」と思ってちょっとビクっとするのはなんだかリアルな感覚だった。
当時ラブゲティを使っていた人もこんな感覚だったのだろうか。
よし、移動しよう。
雪まつりの中で出会えるか
時計台のそばで食事をしつつ、すっかりのんびりしてしまった。
「フライドチキンおいしい」なんてのんきなことを考えてる場合じゃなかった。ああ、出会うのが目的だった。やべっ。
出会いが無いのに時間は刻々と過ぎているのである。
まるで人生みたいだ。(自分でこんな比喩を書いておきながらゾクッとした。困る。)
時計台周辺では一切出会いがなかったので、環境を変えよう。
もっと活気のある場所に身を置かないと、ずーっと見つからずに終わる気がしてきた。僕に気づいてくれ!
ああ、これも人生みたいだ。(またゾクッとした)
こうして、かくれんぼ開始から30分後、雪まつり会場である大通公園に移動してきた。
この日は祝日だったので、なかなかの人出である。
こんな人の波のなかで見つかるか…?
と思ったらすぐ見つかってしまった。しかも目視で。さらに連続で。
お互いに目が合って「あっ」となってから、ラブゲティが鳴っているのを確認した感じである。無情だ。ラブゲティいらないじゃん。
出会えた二人には、ちゃんと賞金あげました…。
ラブゲティが反応する距離は5~10メートル。人混みだともっと反応が悪くなる。
だとすると、このような場所では互いがかなり接近しないとラブゲティは鳴らないのだ。
顔見知りだとラブゲティ鳴る前にわかっちゃうんだなあ。
(もちろんラブゲティは顔見知り同士で出会うことを想定していないと思う)
こういう出会い方したかったわけじゃないんだけどな…。
これが理想と現実の乖離かあ…。人生だ。
なんだかちょっと拍子抜けだったので、時間がまだまだあったこともあり、ラブゲティかくれんぼは続行。
僕は大通公園に留まり、今年の雪まつりをラブゲティとともに堪能した。
制限時間いっぱいまで雪まつり会場に留まっていたわけだが、あれからラブゲティで出会うことは一切なかった。
ほんの一瞬、ラブゲティが光ったのでグルグル周りを見回して探してみたのだが、誰もいなかった。
ああ、儚い光だった。
みんなで答え合わせしました
終わってから捜索班にどこを探したか聞いてみたところ、お互いかなりニアミスしていたようだった。
僕は時計台・テレビ塔周辺・雪まつり会場を歩いていたが、タイミングが違えど捜索班も同じようなところにいたようである。
出会うって難しい
人や物が多い街中では、電波が遠くまで飛ばず、互いのラブゲティが光っていることに気づくのがなかなか難しい。物理的にかなり近づかないと異性を誘えないということだ。そんな人間はラブゲティを口実にしなくたってナンパできちゃうだろう。
(当時ラブゲティを使っていた方、ラブゲティライフはどんな感じだったのか教えてください…。)
「もっとガツガツ行きなさい」というラブゲティからの啓示だったのかも。ラブゲティ、ありがとな。
いや~。何か特別な道具を使ったとしても、やはり出会うって難しいものだ。
出会いはタイミングだとか積極性なのかも。へえ~。大人になった。
協力:劇団しろちゃん
かくれんぼに協力してくれたのは、筆者も属している、大学の演劇サークル「劇団しろちゃん」のメンバーです。度々宣伝すみません。
劇団しろちゃんでは年3回の本公演を行っています。
次回は6月頃に学祭公演を行う予定ですので、北海道にお住まいのみなさんはぜひチェックしてください!
観に来ていただけると団員一同喜びます!
劇団しろちゃんWebページ
http://gekidanshirochan.com/