まったく違った！ 根室のオランダせんべいと、酒田のオランダせんべい

フニャフニャしているおやつ『オランダせんべい』

読者の方からいただだレコメン文はこちら。

聞いたことのないおやつ、オランダせんべい。全文から、その実態のわからなさが伝わってくる。

• 円形でフニャフニャしている（おせんべいなのにフニャフニャ……？）
• 前歯で噛みちぎって（噛みちぎるって肉みたいだな……？？）
• 手でちぎる（割るじゃなく……？？？）

私の知っているせんべいとはどうも違う。

検索してみると、山形県酒田市にある酒田米菓という会社が作っている（これはのちに誤解とわかる！！！）、地元で熱く愛される人気のおせんべいのようだ。

pukuさんは「北海道どさんこプラザ他で売っている」と書かれているが、山形県のお菓子もどさんこプラザで売ってたりするんだなあ（誤解！！！）。

なんと嬉しいことに、酒田米菓はこの2月に東京の広尾にアンテナショップをオープンしたばかりだというじゃないか。

デイリーポータルZ編集部は渋谷だから、近い。これは運命だ！ 早速とんで行った。

パリッパリ、酒田のオランダせんべい

おしゃれな広尾の商店街に突如アンテナショップはあった。

コンパクトななかに今まさに「オランダせんべい」と検索してネットで見た酒田米菓の商品がぱんぱんに詰まっている。うおお。

オープンしたばかりだからか、平日の昼なのに大変な盛況であった。

ノーマルのオランダ煎餅と、チーズ味を買って喜びと希望に満ち溢れて帰ってきた。

パッケージのキャラクターはオランダちゃんというそう。シンプルなデザインがおしゃれでかわいらしい。

お皿にあけてみる。

おや……？ 薄焼きの、それはそれはおいしそうなおせんべいですねこれは。

ここで思い出されるのが、いただいたおすすめコメントだ。

「フニャフニャしていて、手でちぎって食べる」と書いてあった。

けれどこれは……？ 食べてみる。

パリッパリだ！？！？！？

薄焼きせんべいというと、一般的なものでもう十分にパリパリしているものだが、酒田米菓のオランダせんべいはそのパリパリの度合いが違う。

パリッパリ、なんならパッリッパッリと言っていい。スキップみたいな食感だ。全然歩いてない。

えっ、なにこれ？ あまりの食感に理解できず一気に数枚食べた。

パリパリだけどちゃんとした食べ応えがある。お米の味が濃い。さすがは山形県、庄内産の上等のお米を使って、磨かれた職人技で薄く薄く焼き上げているんだそうだ。

ノーマルのサラダ味も良いが、チーズ味にもうなった。しっかりした米の味に負けないためか、かなり濃いチーズの粉がまぶしてある。

せんべいに味をつけている、というよりも、米に味をつけている感じ。米にチーズ、つまりこれはドリアだ。

なるほどこれは地元の誇りであり、他県でも人気が出るはずだ……。

さては、オランダせんべい、北海道にもあるな……？

感動しながらも、私は間違いをおかしたなと気づいたのだった。ぜんぜんフニャフニャじゃないんだもの。

そこでもういちど、おすすめのコメントを思い出す。

「北海道どさんこプラザ他で売っている」

……さては、オランダせんべい、北海道にもあるな……？

私が買うべきオランダせんべいは、山形のオランダせんべいではなく、北海道のオランダせんべいだったのだ。山形の、酒田のオランダせんべいとは、別物なのだ。

間違いとはいえ、思いもよらず山形のほうのオランダせんべいのおいしさに触れられたのはラッキーだった。

ちなみに、酒田米菓のオランダせんべいの方の名前の由来はいかのようなことが言われているそうだ。

• 庄内の風景がオランダに似ているから。
• 庄内地方の方言で「私たち」が「おらだ」。「私たちのせんべい」→「おらだせんべい」→「オランダせんべい」

あとで知る根室のオランダせんべいのネーミングの理由とはまったく違った。

柔よく剛を制される、これが根室のオランダせんべい

酒田のオランダせんべいを味わい、その美味しさに驚いたが、何しろ目的のものでなかったのはたしか。

日を改めて有楽町にある北海道のアンテナショップ、どさんこプラザにやってきた。

ここにこそ、今回の真の目的のオランダせんべいがあるはずだ。

お菓子のコーナーに、さがさずともそのお菓子はすぐ見つかった。これか！ オランダせんべい……！

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