おわりに
慣れない都会に疲れて家に帰り着くと、ホッとした。
荷物がないので、当然ながら荷解きをしなくていいのだ。せいぜいポケットに詰め込んだ物をぶちまけるだけである。洗濯物も今着ているものだけ。寝て起きたらスッと日常に戻れる。
こんなに楽な旅行ってあっていいのかよと思った。
本当に手ぶらで家を出たので、スマホの充電器やコンタクトレンズの保存液などの必需品は現地で調達しなければならない。
ホテルに備え付けのタオルや洗面用具などは積極的にフル活用するつもりだ。
必要なものは必要になったときに買えば済む。まったくその通りで予定調和、ドンキで全て揃うので何も困らなかった。
ただ気づいたことがひとつ。せっかく地方から出てきたので商業施設を見て回ったのだが、何も欲しくならないのだ。おそらく、買っても持ちきれないからな〜、という単純な理由で。
ポケットは常にいっぱいで片手は基本的に埋まっている、そういう状態だと物欲は減退する。持てないから。なるほど、体験しないと分からないことだ。
この理論を応用すれば、子供と外出するときに両手いっぱいにオモチャを持たせておけば何も欲しがらなくて節約できるぞ。
…ケチの度が過ぎて生まれる予定もない我が子に悲しい宿命を負わせてしまった。
意味はないけれど、バッグやリュックのみならず紙袋やビニール袋の所持を禁止するという縛りで2日間過ごした。
さて、袋がないと人はどうなるか。
町の中でずっとゴミ箱を探すことになるのだ。ペットボトルだの、薬の紙箱だの、手で持っているのが疲れてしょうがないから早く捨てたくなる。
旅行記のわりに面白いスポットや華やかな町並みが出てこないのは、ゴミ箱を探すのに夢中で他のことに構ってられなかったからである。
でも土台からして物を捨てるのが好きだから、ローテンションだけど旅はこんなもんでいい。
最後にレギュレーション違反を告白するが、ヨドバシで買いものをしたときにビニール袋をもらってしまった。
袋は次のゴミ箱が見つかったらすぐに捨てる予定だが、それまでならいいだろうとポケットの中で太ももとお尻を圧迫し続けていた物を移し入れた。
これの便利さったらないですよ!!なにせ物が入るんですからね!しかも手が空くんです!不要になったら捨てたらいいんですから!雨にも強いときた!
おお、吾は文明人なりき。袋は惜しみながら捨てた。
慣れない都会に疲れて家に帰り着くと、ホッとした。
荷物がないので、当然ながら荷解きをしなくていいのだ。せいぜいポケットに詰め込んだ物をぶちまけるだけである。洗濯物も今着ているものだけ。寝て起きたらスッと日常に戻れる。
こんなに楽な旅行ってあっていいのかよと思った。
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