極私的！一度座ってみて欲しい都内の椅子ベスト3！

③都営三田線日比谷駅の椅子

とはいえ、駅から長時間歩いて椅子を目指すにはまだまだ危険な季節。最後は屋内の椅子を紹介しましょう。

その椅子は都営三田線日比谷駅の改札を入ってすぐの休憩所にあります。

こちらはただ椅子があるだけでなく、飲料や軽食の自販機も設置されているのが魅力です。

「中年男が駅で菓子パン食ってるの、なんか侘しい気持ちになるわ！」と思ったあなた。ちょっと待って！ただ自販機があるだけでは皆様に紹介しようとは思いませんよ。ご覧頂きたいのは、座っている私の目の前に広がっている光景なのです。

そうです。1923年竣工、1968年に解体されたフランク・ロイド・ライト設計、旧帝国ホテルの写真ですよ。

学生の頃、愛知県の明治村に移築された玄関を見たことはありますが、1980年生まれの私にはライト館在りし日の日比谷の雰囲気など知る由もありません。いや、例えその時代に生きていたとしても気軽に立ち寄れる場所ではなかったはず。

それがどうでしょう？まさにライト館があった日比谷の地で私は今、その姿を独り占めしているのです。

その前提を踏まえると先ほど中年の侘しい休憩時間に見えた写真も、紳士の優雅なティータイムに見えてきませんか？

豊かさとは持っている物ではなく、備えている姿勢や視線にこそ宿るのです。DPZ読者の皆様も是非この椅子に座って写真を凝視してみて下さい。妄想のその先で、帝国ホテルの扉が静かに開くはず。