トンビは賢い
トンビは僕たちが思う以上に賢かった。今回わかったことはぎりぎりそのくらいです。特に言い訳はありません、悔しいです。
中華丼を食べるふりは最初の経験からあまり通用しないことがわかっているので、今回は少し離れたところから静かに見守ってみることにした。
すでに「油揚げをさらわれる」のさらわれる部分がかなりゆるくなりつつあり、もう食べるか食べないか、そのくらいまで問題の敷居は下がっている。
簡単なことだろう。トンビ、食べてくれ。油揚げを食べてくれよ。
トンビはすぐそこまで降りてきてはまた上昇していく。その目には間違いなく油揚げが写っていた(そのくらい近くまで来たのだ)。
僕は興味のないふりをしてカメラのシャッターボタンをさぐる。
と、その時だった
ハトは中華丼(のサンプル)を何度かつついて逃げていった。派手な中華丼のサンプルに釘付けになって、本物の油揚げを逃した格好だ。
ハトを見ていて思ったのだが、これ、もしかして皿が多すぎて怪しまれたんじゃないのか。そうなると夜中に作ったダミーはなんだったのかという話になるわけだ。おー。
文字通り途方に暮れていると、堤防の方からざわついている声が聞こえる。
「あっ、このやろう!」
釣った魚をトンビがかすめとっていったのだ。
「あいつら、ほんとにいっつも横取りしやがって」
そうか、トンビは生魚が好きなのだ。
まあわかる。鳥にとっては豆腐を揚げたやつより刺身の方が絶対うまい。うまいものが近くにあるのに、わざわざ怪しいものをさらいになんて来ないのだ。
最後の望みをかけて、一つの皿に油揚げを乗せて置いておくことにした。もう食べてくれさえしたらいい。
邪魔をしないよう、僕はしばらくその場を離れて散歩することにした。これでなくなっていれば「トンビがさらったんです!」と、いいように解釈してこの記事を終えるつもりだ。
と、ここで記事は最初に戻るわけだ。つまり散歩から帰ってきても油揚げは手付かずのまま残されていました。
もう一度結論を言おう、トンビは怪しい油揚げをさらいになんて来ない。近くにもっとうまそうなものがある場合は特に、だ。大切だから覚えておいて損はない。
「ピー、ピョロロロロー(やっとわかったかー)」と頭の上でトンビが鳴いていた。
トンビは僕たちが思う以上に賢かった。今回わかったことはぎりぎりそのくらいです。特に言い訳はありません、悔しいです。
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