知らない街で、トイレをすばやく見つけられるようになりたい。
そんな思いを胸に開催をされた「街中トイレ探し競争」のルールはこちら。
シンプルなルールに思えるが、ご存知の通り、トイレ探しは「早ければいい」というものではない。
早足でせっせと探し回り、ようやく見つけて駆け込んだトイレで「トイレットペーパーが切れている!」と絶望したことがある人は多いはずだ。
そんなトイレ探しは邪道である。あらゆる面から多角的に「トイレ探し」を評価するため、今回は5項目で採点をすることにした。
そして、舞台となるのは東京・新橋。
ここに、この真剣勝負にエントリーいただいた皆さんに集まってもらった。
金にものを言わせてトイレを探すのはいかがなものか
「街中トイレ探し競争」では、他の誰かが見つけたトイレは使えないという暗黙のルールがある。
なので順番が大事なのだが、トイレにまつわる有名なマナーに「一番トイレに行きたい人からトイレに行くべき」というものがあるので、今回の競争も「尿意がある人から順番にスタート」とすることにした。
自己申告でそれぞれの尿意を宣言してもらった結果、「この競争のためにわざわざトイレを我慢してきた」という乙幡さんが栄えあるトップバッターとなった。
スピード以外も重要とはいえ、やはりタイムも重要だ。
スマートフォンでトイレにたどりつくまでの時間をはかりながら、競争を行っていく。
スタートの掛け声とともに、なんの迷いもなく歩き始めた乙幡さん。
まるでこの先にトイレがあることを知っているかのように、ずんずん前に進んでいく。
気になるタイムは
流れるような動きでトイレを探し当てた乙幡さんだが、トイレ探しは早ければいいというものではない。
探し当てたトイレのコンディションを、選手兼審査員のまいしろがチェックする。
トイレの中の写真はお見せできないが、結論からいうと「古いが清掃の行き届いた清潔なトイレ」がそこにあった。
ただ、ひとつ気になったのがこのシステム。
なぜかトイレがチップ制になっており、「金を払って欲しい」という空気がすごくただよっているトイレだった。
チップのおかげで清潔なトイレになっているものの、トイレ捜索にあたり金にものを言わせた乙幡さんはエレガント点が減点となる。
以上をふまえた、乙幡さんのトイレ探し採点結果がこちら。
「とりあえず、駅の近くの大きなビルに行けばいいと思った」と語った乙幡さん。
ユニークさとエレガントさでやや点数を落としたものの、昼時でも並ばず入れる混み具合、清掃のいき届いたトイレコンディションなど、バランスの良さで高得点をたたき出した。
また、特に驚異的だったスピードをたたえ、予定にはなかった特別賞も授与させていただくことにした。
初回から高いトイレ探し力を見せつけてくれた乙幡さん。これは競争への期待も高まる。
公共のトイレはトイレマンシップが高い
続いての尿意保持者はこちら。
「言っとくけど、トイレの話をしたら止まりませんよ僕は!」とトイレへの情熱をあつく語っていた西村さんだが、果たしてどんなトイレを探して出してくれるのか。
乙幡さんに負けず、まだ見ぬトイレにむかってずんずん進んでいく西村さん。
そして、西村さんが進んでいった先は...
「できれば駅構内のトイレを貸して欲しい」という考えだったらしいが、聞けば入場料がかかるため、駅の外のトイレを使う方がいいとのこと。
途中、雑居ビルだらけの細道に突入し「こんなところに本当にトイレがあるのか?」と残りのメンバーをざわつかせていたが、無事にトイレを見つけ出した。
しかし、駅員さんとのやり取りや信号によるロスで、気になるタイムは...
健闘したものの、5分超えというやや苦しいタイムを記録。
また、公共トイレということで「決して不衛生ではないが、ものすごく快適というわけでもない」という、いわゆる外のトイレっぽいトイレだったことも不利となった。
とはいえ、「駅員さんに聞く」というテクニカルな技を出したことは高評価。
「遠くまで歩いて公共トイレを使う」というトイレマンシップも存分に発揮し、高いエレガント点を記録した。
また、その高いトイレマンシップをたたえ、今回はこの特別賞を授与させていただくことにした。
ちなみに、新橋駅はNGだったが利用者が少ない駅だとトイレを貸してくれることも多いらしい。
ぜひ(あるかわからないが)次回の競争ではマイナーな駅でベストトイレマンの真価を発揮して欲しい。
ローソンはトイレがある確率が高い(気がする)
続いての尿意保持者はこちら。
3人目となるとそろそろ目ぼしいトイレは減ってくるが、果たしてどんなトイレを探し出してくれるのか。
スタート前から「僕はとりあえず街をふらふらします」と宣言していた石川さん。
さっきまでの2人とは違い、少し迷いながら街のトイレを探していく。
「時間がかかってもいいから、きれいなトイレを探して高得点をねらう」という作戦だったが、尿意をかかえて街をうろうろする人を見るのは心臓に悪く、こっちがかなりハラハラした。
トイレコンディションにこだわるあまり、「見つけたトイレを見送る」という荒業を見せつけた石川さん。
そのまま吸い込まれるようにローソンに入り、店員さんに許可をもらって奥のトイレへと入っていった。
コンビニのトイレということで、清潔さ・安心感・トイレットペーパーの補充などすべてにおいて高水準のトイレだったが、気になるのは「トイレの見送り」技である。
石川さんに「なぜトイレを見送ったのか」を聞いてみた。
数あるコンビニの中でも、ローソンはトイレを貸してもらいやすい方らしい。
コンビニにそんな違いがあるとは知らず、「ローソンすごい」「もっとローソンで物を買おう」と言いながら、とりあえず皆でローソンで飲み物やお菓子をいっぱい買った。
そんなコンビニの違いを見抜いた石川さんのタイムはこちら。
街を散策したわりにタイムはなかなか高水準。これは採点結果も期待できる。
テクニカルな技をもとに、「街中をうろうろする」という成功確率の低いトイレ探しを成功させた石川さん。
そのあくなきトイレ探しへの情熱に敬意を評し、この特別賞を授与させていただくことにした。
緊急時のトイレにBGMはいらない
最後の尿意保持者は、今回の発案者であるまいしろ。
4番手ということでかなり不利だったのが、せっかくなので「いつもやっているトイレ探し」を披露することにした。
あまり来たことがないとはいえ、ここは東京・新橋。
「絶対にあれがあるはずだ!」と向かった先は...
ここで何かを買いつつ、そのままトイレを済まそうと思ったものの...
いつになくマックが混んでいた。
競争をしたのがお昼だったので当たり前だが、地元のマックはいつでもけっこう空いていたので気付かなかった。新橋すごい。
すぐ近くにテイクアウト型のコーヒーショップを発見。
ここで、「カフェでできるだけトイレに早くいくための細かな技」を組み合わせる。
これは私が長年かけて洗練させた「できるだけお店でトイレに早く行く方法」の集大成だ。
できれば人にあんまり言いたくなかったが(恥ずかしいので)、この際なのでしかたない。
細かなテクニックを組み合わせ、たたき出したタイムは..
そんなに早くもないけど、遅くもなかった。勝負に勝って試合に負けた気分である。
金にものをいわせて確保した清潔なトイレ。このトイレ探しの自己採点結果は...
やはり尿意を金で解決したのはよくないと思い、エレガント点は大きく減点。
とはいえ、自分としては頑張ったので、特別に大人の財力を褒めてもらうことにした。
尿意がある方がトイレ探しはクリエイティブになる
無事に競争を終えてそれぞれのトイレを見つけたので、皆で「ここにトイレがあるんじゃないか」「こっちにトイレがあるんじゃないか」と言いながら街を歩いた。
この他にも「銀行・郵便局は実はほとんどトイレがない」「区役所・図書館は借りやすい」などいろんなトイレ探しの知識が集まり、とても有意義な散歩になった。
個人的にもっとも納得したのは「尿意が強いと打ち手が広がる」というもので、「本当にせっぱつまっているとなりふり構わずトイレを探すので、自ずとトイレへの道が開ける」という話がかなり希望があってよかった。
と、同時に参加者から「街中トイレ探し競争をするなら、もっと尿意があった方がよかったかも」というご指摘を受け、今度開催するときはもっと尿意のあるメンバーに集まってもらおうと心に誓った。
トイレを探しながら散歩するうちに、なぜか全員のトイレスイッチが入ってしまい、競争後にそれぞれのトイレの思い出をシェアする時間が始まった。
乙幡さんが「実家のくみ取りトイレで、水を流す手伝いをさせられていた」という話をすると、西村さんが「ミャンマーのトイレにはだしで入らされた」という思い出を話し、石川さんは「都会はいいけど、田舎だと『どうやって大自然の中で処理すべきか』という方向になりますよね」と語っていた。
その他にもいろいろなトイレの話で盛り上がり、結局、競争が終わったあとにトイレの近くで15分ぐらい、ひたすらトイレの話をし続けた。
食事の場だとどうしてもトイレの話はしにくいので、人は誰しも「誰かに話したいけどなかなか話せないトイレの話」があるのだと思う。今後はぜひ、いろんな人のトイレの話を聞いてみたい。