デジタルリマスター 2023年5月10日

線香花火を長く楽しむには(デジタルリマスター)

もう売っていた

このあいだ買い物に行ったらもう花火コーナーが設置されていた。なんと、もう。

さて花火と言ったら線香花火だ。ハデさはないが、刹那的なほかの花火と比べて、「火が消えるまでの時間」を意識させてくれるのが好きだ。

できるだけ長い時間線香花火を楽しみたい場合、どうやったらいいのだろう? 友達と競争する際にも役立ちそうなので調査してみた。

花火シーズンはまだまだ先だが、スタートラインに立つのは早い方がいいと思うので、GOだ。

2008年5月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

前の記事:リヤカーになじむ(デジタルリマスター)

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花火に立ちはだかる壁

というわけで、線香花火を買ってきた。店の棚には、ひょろひょろしたのがたくさん入った安い線香花火と、しっかりしたのが10本入った高い(といっても200円)の線香花火があった。

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宵闇に咲く線香花火
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いい先っぽ

今回は線香花火がメインの企画なので気合いを入れて高級な方を買いました。

さて、善は急げと買い集めた線香花火を手に夜の公園に向かったのだが、なんだか、違う。

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照明が本気だった

なんだか猛烈に明るい。普段あえて夜の公園に来ることもなかったので、実際来てみて気づいた。

こう、敷地の中に暗い部分が存在しないと、誰に言われたわけではないが、花火はしちゃいけない気になってきた。これが環境管理型権力か(実際はどうなのか知らない)。

かといって、暗すぎても体の様子がカメラで撮影できないかもしれない。なのでいっそのこと調査は昼の公園でやることにした。

昼間に線香花火というのはいかがなものか、と思われたが、意外と問題なかった。明けの明星みたいだ。いや、そこまでありがたい感じではないが。

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いつもの公園
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昼でもきれい

線香花火長持ち選手権

今回、線香花火の火を長持ちさせる姿勢を探るにあたって、重要だと思われる要素を、3つに絞った。

  • 持つ手は片手か両手か
  • 持つ場所は花火の上か中か下か
  • 立って持つか、座って持つか、寝て持つか

以上を組み合わせた2×3×3=18通りの姿勢でどれが長持ちさせられるかということを調べようと思う。

ちょっとそれぞれの要素を確認してみる。

1.片手か両手か

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片手か
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両手か

まず、持つ手の問題。

片手で持つのがスタンダードとも言えるが、燃えている部分の振動を抑えるためには両手でもった方があるかもしれない。いやいや、でも線香花火には両手で持つ程の太さはないので、かえって持ちづらいかも。悩むところだ。

2.上か中か下か

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下の方
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上の方

続いて、持つ場所の問題。

安定性を考えると下の方なのだろうかと考えるが、手の振動がダイレクトに伝わってしまいそうでもある。あと、火が熱いかも。逆に上の方は、なんだかプラプラしてしまいそうだ。中庸の精神を持って中央を持つべきか。

3.立つか座るか寝るか

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立つ
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寝る

そして、姿勢の問題。

普通に線香花火をやる時は座ってやるのだが、昔友達と競争したときに「本気を出す」とか言って、寝そべっていた人がいた。意味あんのかと思っていたが、実際のところどうなのだろう。逆に立ってやったらタイムは短くなってしまうのだろうか。

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タイム計測開始

上記のような条件でタイムを計ってみる。

両手持ちの場合手がふさがっているので、手を使ったタイム計測はできない。そこでiPodを使うことにした。

なぜか。足でボタンが押せるから。足でなら両手がふさがってても、立っても寝ても計測できる。便利だ。

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手がふさがっていても
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足で踏めばオッケー

火がつく瞬間と落ちる瞬間に神経を集中させながら、タイムを計測。ノートに樹形図を用意して、結果を記録してゆく。

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樹形図をノートに用意
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枝の方が詰まっちゃったのは御愛嬌だ
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一番スタンダードな格好
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ずっと消えなければいいのに

と、こんな感じで計測した。途中、明らかに攻撃的な風が吹いて線香花火の火が消えて(落ちて)しまった場合があったので、その時だけは再計測した。

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18パターンを終えた

 結果は以下のように。

位置 姿勢 タイム(秒) 補足
片手 立つ 20.0  
座る 31.6
寝る 29.3  
立つ 20.5  
座る 27.1  
寝る 29.7  
立つ 30.1  
座る 23.9  
寝る 26.6  
両手 立つ 26.3  
座る 25.4
寝る 24.8  
立つ 40.5  
座る 27.2
寝る 34.7  
立つ 25.3  
座る 28.2  
寝る 29.6  

計測したタイム的に一番よかったのは「両手で、中央部を、立ちながら持つ」である。すべての平均タイムが27.8秒だったのに対して、40.5秒の記録を残した。実際みんなで競争しようとしたときにこの持ち方をする人がいたら勝負を放棄したとしか思えないが、事実だ。

また、座っていると風に襲われやすい、と言えるかもしれない。

だが火薬や風の具合でたまたまこういう結果になってしまったという可能性は大いにある。そこで今回指定した要素の平均をそれぞれ出すとこうなる。

全平均 27.8秒
片手平均 26.5秒
両手平均 29.1秒
上平均 26.2秒
中平均 29.9秒
下平均 27.3秒
立つ平均 27.1秒
座る平均 27.2秒
寝る平均 29.1秒

平均的に良い要素を組み合わせると「両手で、中央部を、寝ながら持つ」となる。今回の計測では2位だったが、安定した記録を求める場合はこうするといいのだろう。

逆に「片手で、上部を、立ちながら持つ」と記録は望めないようだ。


両手で、中央部を、寝ながら持てばいい

少々シーズンには早いが、今回の実験によって以上のようなことが明らかになった。この知識によって、何秒か長く線香花火を楽しむことができるわけだ。

昼の公園で大量の線香花火を消費するのは幾分切ない行為ではあったが、この調査結果がみなさんの線香花火ライフのお役に立てば幸いである。

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やっぱり夜のほうがいいです

※編集部注:この記事のあと、べつやくれいさんも線香花火を揺れから守るチャレンジをしています。
線香花火を揺れから守れ」 

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