おまけ
渋谷では道玄坂やバスケットボールストリートの方を中心に捜索したのだが、力水を販売している自販機は110台中7台であった。本当に少ないのだ。参考までに販売場所をピン留めしたGoogleマップを共有しておくので、ぜひご活用いただきたい。
皆様は「炭酸飲料」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。コカ・コーラ?三ツ矢サイダー?それともC.C.レモン?私は「力水」である。炭酸飲料といえば「力水」。今日はそういう話をさせてほしい。
力水とはキリンビバレッジ株式会社の販売する炭酸飲料である。「DHA配合」を掲げ、勉強中や仕事中のリフレッシュ炭酸としてアピールされているこの炭酸飲料は、Wikipediaによると1994年からとちゅう2年間の休止を挟みつつも24年間にわたり販売され続けている。
今まで意識していなかったかもしれないが、20代〜30代の方にしてみれば人生を共にしてきた炭酸飲料なのだ。無論、私もその一人である。
私と力水の出会いは十数年前、小学生の頃までさかのぼる。
私は当時スイミングスクールに通っていたのだが、もともと水が怖かったこともあり全く泳ぐことができなかった。顔を水につけるのも苦手で、きちんとした泳ぎの練習ができるまでに1年以上もの歳月がかかったのであった。
そんな私を勇気づけてくれたのが、帰り際にときどき買ってもらえたジュースだった。もうお分かりだろう。それが力水だったのである。
あれから十数年。雨の日も晴れの日も、嬉しい時も悲しい時も私は力水を飲み続けてきた。メッツやMATCH、マウンテンデューやセブンアップに心を動かされる日もあった。ファンタやスプライトに傾倒しそうな時ももちろんあった。もうバブルマンしか飲みたくない、そんな日もあったかもしれない。しかし私は未だに力水を愛している。力水もきっと私の事を愛していると思う。
あまり過去の話をしても仕方ない。今の力水の話をしよう。
力水の特徴はまずなんといってもそのパッケージである。「力水」という商品名が非常にデカデカとプリントされているのだ。おしゃれさや手に取りやすさは気にもかけず、ただ「力水」である事を伝えたい、そういった気持ちがひしひしと伝わってくる。かっこいいじゃないか。
長い歴史の中でパッケージは何度もリニューアルされているのだが、商品名デカデカ路線は全く変わっていない。一貫性のある炭酸飲料、それが力水なのだ。
さらにパッケージ背面にはいつからか間違い探しがつくようになった。リフレッシュ炭酸を自称するだけあり、小さい子供にはお楽しみとして、大きい大人には気分転換として提供しているのだろう。
間違い探しといえばインターネットにお住まいの皆様にはサイゼリヤが有名だったりするが、私からすると間違い探しといえば力水のこれである。間違い探しといえば力水。よろしくお願いします。
そして第二の特徴はその味である。スポーツドリンクにアミノ酸を加えたうえで少しだけ酸っぱくしたような味がするのだが、これがまた独特の味わいなのだ。コカ・コーラが「コーラ味」であるように、私はこれを「力水味」と呼んでいる。
何か食べ物に合うわけでもなく、寝起きや運動後など特定の場面にぴったりというわけでもない。しかし時々無性に飲みたくなる。力水の独特の味はそういった魅力を秘めているのだ。どうだ、飲んでみたくなってきただろう。
そんな愛すべき炭酸飲料であるところの力水だが、唯一にして最大の欠点が存在する。なんと、ほとんど売っていないのだ。
ここまでの話の流れから意外に思われる方も多いかもしれない。「コカ・コーラ並の大人気飲料かと思った」「今から買いに行こうと思ったのに」「C.C.レモンと同じ年から販売しているのにその体たらくはなんだ」そんな声が聞こえてくるようだ。しかしこれが現実である。
力水はコンビニやスーパーではめったに見つけることがでぎず、ほぼほぼ自販機にしか売っていない。しかも自販機にもそうそう売っていない。
力水は、不人気飲料なのかもしれない。
ではどうすれば力水を見つけられるのか。気になる人も多いだろう。私としてもここまで力水を啓蒙した責任がある。
そこで渋谷を駆けずりまわって捜索を行い、力水発見のためのポイントをまとめさせていただいた。以下に記しておくので、ぜひ参考にしてほしい。
まず大事なことは自販機の色である。自販機は特定の会社の飲料水がまとめて売られている場合と、複数の会社の飲料水が混ざって売られている場合の2パターンが存在する。
前者の場合はそもそも自販機ごと特定の会社のものだったりするので、その色合いにも特徴が現れるのだ。例えば赤い自販機の多くはコカ・コーラ社のもの、青い自販機の多くはサントリーのものだ。側面に企業ロゴが入っていることもあるので参考になるだろう。
我々の求める力水はキリンのものなので、これらの自販機に並ぶことはまずない。我々が求めるべきは白地に赤で「KIRIN」と印字された自販機、これなのだ。
ただし先に挙げたような数社の飲料水が混ぜて売られている場合は、自販機の色に傾向があるわけではないので注意してほしい。
次に大事なことは期待をしないということである。自販機が何台も並んでいる時、人は「ひょっとして一台くらい力水を売っているのでは?」と思ってしまうものだ。
しかしこれは力水初心者の発想である。そういった場所に力水が売っていることはとても稀だ。大通りから一本入った裏路地、道端にポツンと一台だけある自販機、そういった場所に力水は棲息しているのだ。
不思議なもので何十台も自販機を捜索していると、一台一台じっくり見ずとも力水があるかどうか遠目から判断がつくようになってくる。これはひとえにパッケージや形状のおかげだ。
たとえば数ある自販機から特定のミネラルウォーターを探すのは難しい。なぜならどのミネラルウォーターも大抵透明なペットボトルのパッケージであり、ぱっと見の見分けがつかないからだ。だが力水は青色のキャップ付きのカンであり、似たような飲み物がそうそうない。
力水のパッケージに目を慣らす事。これが力水発見のための近道だ。
お伝えしたかった内容は以上である。ぜひ力水を探し出し、力水を愛する側の人間になって欲しい。そして炭酸飲料といえば力水と思えるようになってもらえると幸いだ。
もしお近くの自販機に見つからなかった場合はAmazonで買うといい。Amazonならば全然売っているので。
渋谷では道玄坂やバスケットボールストリートの方を中心に捜索したのだが、力水を販売している自販機は110台中7台であった。本当に少ないのだ。参考までに販売場所をピン留めしたGoogleマップを共有しておくので、ぜひご活用いただきたい。
自販機が近くになかったらオンラインで。
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