特集 2021年12月20日

米軍基地の脇、見たことないものばかりが集まる中古屋

とにかく知らないものばかりが売られている「Good King's」で店主さんが語ってくれた。

東京の西に福生(ふっさ)というところがある。新宿駅から中央線で1時間ちょっとで着く場所だ。

福生には米軍基地があって、外国風の店やレストランもある。ちょっと変わった、外国を感じられる街だ。

ここにすぐ近くの米軍基地の人々から買取ったものを販売する中古ショップ「Good King's」がある。

なんとなく面白そうな雰囲気につられて入ってみれば、ネットショップでも見たことないものばかり!好きな人にはたまらない店なのだ。

変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

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吸い込まれた不思議な中古屋

福生の横田基地沿いを散歩したときに見かけ、なんか面白そうと思いふらりと入ったのが「Good King's」。

アメリカの中古品を扱う中古屋なので、日本のECサイトやお店では売ってなさそうなものばかりだった。

なんだかわからないものばかりが売られている中で買ったのは、ユダヤ人のおばあさんが語りかける人形と、センチではなくインチを測ることができて、角度をかえて見るとパラパラアニメのように絵が動く定規。

店内で興奮が抑えられず、両手に抱えるほど買いそうだった。しかし若干の冷静さが物欲を抑え、それでも買ってしまったのがこれらだ。

 そんな話をぶらり歩きが好きで福生に行ったことのある友人に話すと、やはりGood King'sになんとなく吸い込まれたそうで、「あそこは面白かったですよ」とそう言うのである。

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まるで気取らない商品ばかりのアメリカンなショップだ。
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購入したユダヤおばあさん人形とインチ定規。

ユダヤ人のおばあさん人形はそのパッケージから、声掛けすれば反応するスマートスピーカーのようなものかと思っていた。

実際は片手にボタンが仕込まれていて、おばあさんの手の平を押すと人生訓を英語で教えてくれるものだった。

「前に行きな!好きなことやればいいんだよ!」

おばあさんはそう英語で語った。僕はスマホの翻訳アプリを使ってありがたく聞いた。

店主に話を聞いてみた

後日、1時間以上電車に揺られても行きたいGood King'sにもう一度行った。

その際店主の夏井さんに「ぜひぜひ紹介してください!」と快諾を受け、店のエピソードを聞くことができた。

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「こんなものも処分しに来るんですよ。よくわからないものですが……」と様々なモノを見せてくれた。


中古屋というと僕は商品情報を入力して、買取価格が表示されるチェーン店を想像する。でもここで買い取る商品は海の向こうの謎の商品ばかり。買取はどうしているんだろう。

「中古屋なので持ち込まれたものはすぐに買取価格を決めなくてはいけないんですよね」

「でもこの通り、いろんなものが持ち込まれてくるんですよ。以前古着屋や古本屋で勤務して感覚を磨いたのが役立ってます」

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「大きな人が多いので大きいサイズしかないかというと、そうでもないんですよ。基地ではいろんなスタッフが働いているのでサイズはいろいろあります」

「どうも米兵が帰任するときに、荷物が入れられるコンテナが決まってるそうなんです。そこに入らないものを日本円に変えてお土産を買いたいというニーズもあって」

「これは在庫が沢山あってそんなに欲しくはないのですが、それでもいらないというので買い取ってます」

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「どちらもコンテナです。下のは昔のものだそうです。これにいれて帰国するんです」

1階を案内する夏井さんに聞いてみた。とっておきのレアなものはありますか?

「珍しいもの……これですね。なかなか買い手はでてきませんが」

案内してくれたのはガラスケースに入ったガラスのボトル。

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紹介する先に1800年代ヴィンテージジンボトルがあった。

イギリスのグリニッジにある博物館で(刻印は異なるが)似たものが紹介されている。

説明によると18世紀後半に貿易品として使われたオランダ製のジンボトルで、火薬やライフルと並んでヨーロッパで人気のある商品だったという。大西洋での奴隷貿易を仲介する業者にこれが売られた、と書かれている。

「あとこれですね。ジンボトルと同じ人が持ってきたのですが……」

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店の上を見ると新聞が飾られている。これがとてつもなく古い。

「日付を見ると1904年なんです。もういらないからともってきたものですが、これは売れないし、売らないです」

裏面を見るとなにやら当時に書かれたであろうメモ書きも。これもあわせてものすごく貴重だ。

「長くやっていると、いろいろなものが持ち込まれますよ」

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さらにカオスな2階の雑貨売り場へ

続いて2階に上っていく。2階は一変して雑貨売り場に。

「2階は最初まるごと倉庫だったんですけど、服以外の物が増えてきて、おもちゃとか雑貨も出るようになってきてやっと軌道に乗りましたね。雑貨は見に来る人は多いけど、売り物としては古着があるからやってこれてます」

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謎のゲームやおもちゃ、それにセブンイレブンのかき氷マシンが並ぶ。
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マグカップやボトル、それに看板が売られている。この辺はお手頃価格だ。


基地内では軍人の家族も暮らしているので、子供用のおもちゃの買取もときどき行う。

「日本人の奥様が、夫が退役して帰国するからと、服をもってくるんです」

「そのときに、おうちにおもちゃはないですか?と聞くと奥様がもってくる。それで買い取って商品化するんですよ」

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「基地から出てきたゴミ箱も売りものです。すげーでかくて頑丈です」
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「車に乗せるやつです」
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変わり種のチューブつきのリュックを紹介してくれた。


チューブ入りの小さなバックパックを指さし、教えてくれた。

「これは、あるときものすごい数が入ってきた未使用品なのです。チューブから水を飲めるんですよ」

「横田から福島に出動したときに米軍がもっていったんですが、使わないで地元の日本人と同じ装備でいこうということになったらしく、未使用のリュックが大量に持ち込まれたんです」

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「入荷したばかりなんですよ」と巨大なバットマンロボを倉庫から出してくれた。

巨大なバットマンのロボットのおもちゃがでてきた。

ロボットに設置されたボタンを押すと青と赤の光がぴかぴかひかり、体の上のダイヤルをひねると体の正面のドアが観音開きになる。

日本でも小さいのならありそうなロボットだが、これはアメリカンサイズのダイナミックなおもちゃだ。

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笑うほど大きいアメリカンなおもちゃだった。惚れた。

クリスマスにアメリカングッズを

気が付けば日は暮れ、福生の街に君が代が流れ、その後アメリカ国家の星条旗が流れた。横田基地から流れるのだそうだ。

「ホーム・アローンもそうですけど、でかいものをクリスマスに贈るのが好きなんでしょうね」

ロボットを前に夏井さんは語った。

なんでもネットで買えそうな今だからこそ、なかなかネットでも手に入らないクリスマスプレゼントを探しに、福生まで足を伸ばすのもいいかもしれない。

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