卓上スライドマルノコ(など)でいろいろ作ってみて
ほんらいは、卓上スライドマルノコの素晴らしさを伝えるための記事だった。
ルートが途中からそれてしまい、内容が遥か遠く、北欧のスウェーデン山奥くらいまで飛んでしまった。
が、しかし、息子は喜んでくれたみたいなので、それで充分だろう。以前、砂場を作った時は、息子が継続して遊んでくれるか不安だったのだが、今でもかなり気に入って遊んでくれている。今回も気に入ってくれるといいのだが。
へたの横好きではあるが、今後も木工を続けていきたい。
「卓上スライドマルノコ」と「皿取り錐ドリル」があると、木工が格段に楽しくなり、祝祭がはじまります
「卓上スライドマルノコ」とは、木材を置く台座とマルノコがくっついている電動工具。木材をスライドさせることで高い精度で切断することができる。 なぜそんなものをと思われるかもしれない。しかし、これがとても便利なのだ。
きっかけは、マルノコへの恐怖である。マルノコは、直線を切り出す時にとても便利な電動工具だが、ピザみたいな大きさの刃が轟音をたてて回転する。マルノコの巨大な刃が木材を噛むと「キックバック」が起こり、刃が暴れる。
はじかれた刃により怪我をする可能性もある。もちろんどんな道具でも危険性は大なり小なりあるのだろうが、見た目が恐すぎる。
何か安全に、そして手軽に裁断できる道具はないものか。それが「卓上スライドマルノコ」である。
もちろんデメリットもある。普通のマルノコは、裁断できる大きさに制限がないが、卓上マルノコはある。そして、値段も高い(2万〜業務用だと10万円くらいまで)私が通っていた学校には卓上マルノコがあった。めちゃくちゃ使わせてもらっていたのだが、ほとんどの用途はこれで充分だった。そんなわけで某フリマアプリを巡回し、新古品の15年落ちくらいのモデルを4万円くらいで買った。
私は現在33歳。人生を4つの季節で表すとするなら、夏至を少し過ぎたくらいだろうか。やっと憧れの工具が買えた。うれしいすぎる。
ベンチが2時間くらいでできた。書籍に載っていた設計図をもとに作ったから、という理由もあるのだが、それにしても楽だ。不器用な私がノコギリで切ったとしたならガタガタになったに違いない。するすると作業が進む。
もっと、もっと、たくさん切りたい。欲望が止められない。そこで、子供が遊ぶための小屋を作ることにした。箱型の小屋ならば、卓上スライドマルノコがあれば、確実にできる。もう少し挑戦してみたい。
正三角形の小屋。とてもよさそうだ。今回買った卓上スライドマルノコで角度をつけて切れる板幅の限界が20cm程度だったので、板をたくさん買って、ダボでつぎ、ひとつの大きな壁にすることにした。
材料を買いにホームセンターに行く。ここの店舗には、木材カットコーナーに普通は置かれている「カット寸法希望シート」が置いていなかった。仕方がないので、高校生らしきアルバイト店員さんに「ぜんぶ112センチでお願いします!」と伝えると「112センチですね!」と元気良く返事してくれたので、あらためて「はい!112センチです!」と答えたら、全部「121センチ」で切られていた。彼の季節は今、春が終わって夏が始まったくらいであろうか。
勇んで卓上丸ノコで角度をつけて切ろう!と思って血の気がひいた。今回作る小屋は三角形なので、それぞれの角が60°。板材はそれが2分割されるので30°になる。しかし、30°が卓上マルノコの設定にない。そういえば、世の中に三角形の構造物なんてそうそうない。そうそうないから、電動工具もそのような特殊な構造物には対応していないのだろうか。
仕方がないからノコギリで地道に切ることにした。1行で書いたが、6時間以上かかった。
記事としては、電動スライドマルノコの素晴らしさを伝えることを目的としていたので、制作がほぼノコギリによる制作になったことにより、「何やってるんだっけこれ?」と、夏至タルト、いや、ゲシュタルト崩壊が何度か起きた。(もし、卓上マルノコでできる方法があったらこっそり教えてください)
まだ3月だが、今日は陽射しが強い。
ダボを埋め込んだ板をついで、大きな板にする。今回とても役立ったのがこちらの「皿取り錐ドリル」
ドリルの刃が、2段階に分かれており、下穴を開けるのと同時に、ビスの皿頭部分の削り出しができる。
直接ビスを埋め込むと、木が割れたりと汚い仕上がりになることが多いが、皿取り錐ドリルを使うと綺麗におさまる。
穴を深く掘りこむと、木のダボを入れてさらに綺麗に仕上げることもできてしまう。デメリットは、1700円くらいとちょっと高いくらいだろうか。乱暴にしあげた木工品はお父さんの日曜大工感が出てしまうが、皿取り錐ドリルを使うと、一気に売り物感が増すのでおすすめである(先ほどのベンチもこのドリルを使って作った)
ハンマーを一度振り下ろすだけでは、しっかり奥まで入っていかない。
ダボの叫び声が聞こえるようだ。
連日の在宅勤務のおかげもあって、朝イチと、昼休み、仕事が終わってから木工ができる。制作に入る前は、おぼつかない足取りだった次男が、日が経つにつれ、のっしのっしと歩き回るようになった。その過程が逐一見える。在宅は在宅でいいこともある。
まだ次男は、1歳を迎えたばかり。先ほどの人生を季節で例えるやつでいうと、4月のはじめくらいだろうか。桜も散っていないだろう。
彼はまだママ・パパしか言えない。最近は「アンパンマン」と聞こえなくもない言葉をたびたび口にする。
接合部は悲しいくらいにガタガタである。
仕方がないので木工パテを1kg買った。ボテボテと盛り付け、サンダーと紙やすりで地道にやする。
外観のパキッとした黄色と対比する形で、ちょっと生っぽい、内臓を意識したカラーリングにした。
ペンキ缶にざんぶと刷毛を突っ込み、ポタポタと滴り落ちる刷毛を板に押し当てる。しかし、黄色の隠蔽力が弱い。
ここまできて、色味で後悔はしたくないので、今日は中断して白いペンキを買いに行こう。うん。ありあり。
苦労したぶん、めちゃくちゃうれしい。喜びが抑えきれない。踊り出したい。今なら時間無制限の耐久ダンスコンテストで優勝できそう気がする。たくさんパテをもり、やすった効果だろうか。そこそこ完成度が高いように感じる。
友人にスマホで完成写真を送りつけたら、なぜか皆一様に「燃やしたい」と返信がきた。何を言ってるのだろうか。こんなに大変だったのだ。絶対に燃やしたくない。でも、もう少し大きなサイズにしてサウナ小屋にしたらよさそうである。
スケール感を出すために、家にたまたまあったクマのぬいぐるみを中に置いてみる。
中に藁でもしいたらいいかと思って用意していたのだが、雨が降った直後なので諦めた。息子にもさっそく遊んでもらおう。
後ろに入り口があることを伝えると、すぐさま入った。
卓上スライドマルノコ(など)でいろいろ作ってみて
ほんらいは、卓上スライドマルノコの素晴らしさを伝えるための記事だった。
ルートが途中からそれてしまい、内容が遥か遠く、北欧のスウェーデン山奥くらいまで飛んでしまった。
が、しかし、息子は喜んでくれたみたいなので、それで充分だろう。以前、砂場を作った時は、息子が継続して遊んでくれるか不安だったのだが、今でもかなり気に入って遊んでくれている。今回も気に入ってくれるといいのだが。
へたの横好きではあるが、今後も木工を続けていきたい。
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