胃の底からスッキリしました
本当に大どんでん返しだった。もうこのまま問題は迷宮入りだろうと半ばあきらめていたのに、まさか、だ。
400円のたくあんのために700円の送料を払うという一生懸命さを発揮して本当によかった。サービス品を入れてくださったお店の方角に思わずおじぎをしてしまったよ。
全日本漬物協同組合連合会の事務局さま、日本味と匂学会の二ノ宮裕三先生にもあらためてお礼を申し上げます。
たくあんを食べた後の水は、条件付きとはいえやっぱり甘かった。うおー！
日本味と匂学会さんからのメール
メールには、科学誌「Nature」英語版のPDFが添付されていた。なんと、折りよく最近、水を甘く感じるメカニズムについての報告が掲載されていたというのだ。
恥ずかしながら私はからっきし英語がだめなのだった。まさかたくあんに関する調査にこんな高度な英文読解が必要だとは。
ひるんだが、先生は「つまり……」と要約してメールに記してくださっていた。ありがとうございます！
甘味を抑制する物質が水により取り除かれたときに「water taste」として甘味を感じることを報告しています。
それによると、たとえば、昔のたくわんに添加物として人工甘味料のサッカリンが含まれていたとすると、水があまくなる可能性があります。
サッカリン？ 聞いたことのない添加物だが、これはもしかして決定打といってもいいのではないか。
甘くない仮説4）
以前は入っていた甘味料、サッカリンが入っていないからではないか
これまで買ったたくあんも甘味料が入っていたが、どれもサッカリンを使ったものはなかった。
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いわくつきの甘味料、サッカリン
調べてみると、サッカリンは漬物によく使われる人口甘味料のようだ。
が、いわくの歴史があることも分かった。微弱な発がん性があるとして一時は使用禁止に指定されたものの、その後一転発がん性が認められないという研究結果の元、使用基準が緩和されているのだ。
なんだかちょっと事態がややこしくなってきたぞ……。
添加物としての危険性などはとりあえずここでは置いておくとして、サッカリンを使ったたくあんは使用基準の緩和によりどうやら現在でも売られているようだ。
それでも自宅の近所では見かけなかったので、ネットの通販で手配した。
ここまでやって水が甘くなかったら、わたしどうすればいいだろう。砂糖水飲んでやる。5リットル飲んでやる。
通販した結果、送料を入れて千円以上かかってしまった。こんな高級なたくあん食べるの多分始めてだぞ。
届いたものはまっ黄色で、いかにも私が子どものころ食べたたくあんという感じ。これで甘く感じなかったら最後だ……。早く箸を伸ばしてみたい気持ちと、甘くなかったらどうしようという気持ちがぶつかって食べるのをためらってしまう。
このままたくあんを眺めていても仕方がない。食べるぞ、食べて水を飲むぞ。えいやっ。
ぼり、ぼりぼりぼりぼりぼり。ごくん。ぐび、くびくびくびくびくびくびくび。
……。
残念ながら、水は甘くなかった。終わった……、と思った瞬間である。
甘くない仮説 4
結果）
以前は入っていた甘味料、サッカリンが入っていないからではないか
→×やはり甘くない……
結局調査はここまでとし、あとは読者のみなさまからの情報を募集すべくこの原稿をまとめることにした。
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まさかの大どんでん返し
そうして原稿をまとめ、公開の設定もした。悔しさは残るがたくあんへの気持ちの整理もついたその晩。
ある漬物を食べて癖のように水を口に運んだ私に衝撃が走った。言いすぎみたいだが、本当にビリビリと体が震えた。
わー！ あまいー！
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やはりサッカリンのしわざだった？
食べたのは“日野菜漬”という漬物。実は、例のサッカリンを使ったたくあんを買ったお店がサービスとして一緒に送ってくれたものだ。たくあんではないのでノーマークだったのだ。
原材料を見ると、こちらは甘味料としてサッカリンNaの他に甘草も使われていた。この組み合わせがポイントなのか、それともサッカリンの量の問題なのか、どちらにせよやはりサッカリンがキーマンだったようだ。
甘くない仮説4 再度
結果）
以前は入っていた甘味料、サッカリンが入っていないからではないか
→○サッカリン入りの漬物には水を甘くするものがある！！！
水が甘くなるのはたくあんに限ったことではないことも判明した。そうだったのか……。
