頭から食べるか、しっぽから食べるか問題
たいやきをどこから食べるか問題がある、安藤さんは頭から、自分はしっぽからだ。このことで激論するかもしれないかと思ったが、「へーそうなんだ」で終わった。日本は今日も平和だ。
ふとした帰り道に見かけた「たいやき」の文字に心が動き、思わず買ってしまうことがある。熱々のあんこをハフハフしながら食べながら帰る道はいつもよりも少し楽しい帰り道だ。
そんないい風景とは関係なくたいやきを食べたい。
※この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です(編集部安藤)。
ビジネス街、学生街など多くの町がある東急沿線。そこにあるたいやきを食べ歩くのが今回の企画である。渋谷から初めて各駅にあるたいやきを食べてみようと思う。
編集部の安藤さんが今回のために東急東横線のたいやき屋マップを作ってくれた。これは心強い。効率的にまわれるではないか。これを参考に色々と行ってみよう。
渋谷駅から中目黒駅へ向かう。中目黒駅には2つのお店が向かい合ってあるらしい。たいやき激戦区中目黒である。
最近、都内でもよくみかけるチェーン店である。
「天然たいやき」という名前が気になるのでホームページによると「天然たいやきとは、一匹ずつ丁寧に焼く「一丁焼き」という焼き上げ製法のことをいいます。鯛焼職人が一丁2キロもある焼型に生地と餡をのせ火床の上でガチャガチャと移動させ直火で丹精こめて焼き上げます。」とのことだ。
この型は実はお店によって違う。このお店のように1匹ずつ焼き上げるものを天然焼き、一度に5匹焼き上げるタイプの型を養殖焼きと言うそうだ。模様なども違っていたりと奥深い。
また、焼き上がりも違ってくるようで、天然焼き方がパリッとした食感、養殖焼きはふんわりとした食感になるらしい。
味は十勝あずき、鳴門金時いものさつまいものあん、そして期間限定のあんがある。安藤さんは期間限定の桃のあん、私は名物のさつまいものあんを注文した。
できたての鯛焼きは持てないぐらい熱々である。できたての証拠だ。
食べてみると、香ばしくてパリッとした薄皮にあんがぎっしりつまっている。さつまいものあんは、ほんのりとしたさつまいもの甘さが口に広がり、ペロッと食べられる。
桃のあんこは、白あんをベースに桃の上品な甘さがほんのりと広がるおいしさ。期間限定でなくてずっと出していてほしいたいやきだった。
さぁ、向かいのお店に行こう。
先ほどのお店とは違い、こちらはメニューが豊富なお店だ。
味も気になるが見たことのないたいやきがある。「厚焼きたいやき」というものがあるらしい。
この他にも色々と気になるものを注文してみて、しばらく待つ。
そして、出てきたたいやきを見て腰を抜かしそうになった。
村一番の大男が食べるたいやきが出てきた。なんとあんこをたいやき2匹ではさんでいる大胆なたいやきだ。ふっくらしたたいやきにあんこがあふれるほど入っている。
このほかにも色々と気になったものを紹介してみる。
「目の前に同じたいやき屋があるってどうですか?」と聞いたところ、「2年前あっちのお店ができたんですけどね、まあ負けない気持ちで頑張っていますよ(多く語られた話を意訳)。」と言っていた。
あと、発見したのが麦茶にたいやきがとても合う。甘くなった口の中を、香ばしさのある麦の香りでさっぱりとさせてくれる。
お腹がいっぱいになりつつあるのもあってか、このあと、麦茶を飲みながらぼーっとした。
住宅街にあるたいやき屋「コバヤシ」。優しい老夫婦が営むお店である。お店の見た目からしておいしそうな雰囲気がただよう。
最初はたいやきだけを売っていたが、駄菓子をおいたところ、子どもたちにも大人気のお店になった。平日は午後3時を過ぎると子どもたちが自転車を飛ばしてくるらしい。
たいやきは複数個を焼くことができる養殖型である。作り置きがなかったので今回は焼きたてをいただくことができた。
ここのお店、実はたいやきマップに入っていなかったお店なのだが、地図アプリで調べたところ表示されて「なんとなく行ってみますか」となったお店で期待度がそこまで高くなかったのだが、話を聞くと遠くからも買いに来る人が多い名店だった。開業して15年、多くの人たちに愛されてきた。
なんと羽根付きたいやきである。最初は、きれいに形を整えていたが、お客さんから「そのままにしてほしい」とお願いされて、今の羽根つきになったそうだ。
鉄板に流した生地をへらでひろげて大きな羽根を作る。この羽根が絶品なのだ。そして、店主の工夫はまだまだ止まらない。
縁起がいいとされているタイの形だけでもご利益がありそうなのに、羽がついて、目も入った最高に縁起の良いたいやきである。
縁起がいいだけでなく、おいしさもばつぐんだ。生地はふわふわながらも外側のサクッとした食感、あんこの甘さもちょうどいい。羽根の部分も甘いおせんべいのようで、これだけでも食べたいぐらいのおいしさである。
「たいやきってあんまり食べないな」という人にぜひ、食べてほしい。めちゃくちゃ感動すると思う。
「なんでこんなにおいしいんですか?」と聞いたらかくし味を入れているからとのこと。もちろん、企業秘密である。人生観が変わるたいやきを食べてしまった。駅へ向かう道、世界が輝いて見えた。
続いて3軒目。目黒ひいらぎというお店だ。
学芸大学駅から近く、商店街の中にあるため、家族連れが外でたいやきを食べている。そんな心温まる光景を見ながら店内に入る
注文して30分かかるかと思ったが、先ほどできたばかりのたいやきをいただくことができた。
やはりこだわりの焼き方をしているだけあって、皮がパリッパリで香ばしさも感じる。おいしいたいやきはあんこだけではなく、皮もおいしい。
「おいしいですね」と安藤さんを見たら、悲しい目をしていた。お腹いっぱいになった者の目である。
おいしいのだが、いっぱい食べるとお腹いっぱいになる。たいやきは僕たちに「4匹食べるとお腹いっぱいになる」という胃袋の限界を教えてくれた。
ただ、俺たちは限界を超えた先に行きたい。
最後は東急目黒線の奥沢駅である。この日、駅前はライブイベントが行われていて、ロックやバラードなど、様々な曲が歌われており大にぎわいだ。
お店の名前は「メデタイヤ」という名前だ。イベントをやっていることもあり、注文がとぎれない。
まだまだ食べられるが、甘いものよりもしょっぱいものを食べたい。そんな気持ちになっていたときにいいものを見つけた。
これは絶対に食べたい。今、食べるべき惣菜系のたいやきである。
Wチーズはチーズフォンデュのような味わいで、濃厚なチーズがとろりとしてたまらない。ワインにも合いそう。
筆者が食べたのは「ハムマヨ」である。ハムとマヨネーズが入ったたいやきとシンプルだが、間違いのない味。
2人で計10匹以上食べた。満足である。帰ろうと思ったが、思わず目に入ってきたものに心を奪われた。
たいやきパフェなんて珍しいものを出してくるなんてずるい。そんなの頼むしかないじゃないか。
バニラアイスにチョコレートソース、マシュマロ、そしてたいやきが乗ったボリュームたっぷりのパフェである。
アイスを乗せながらたいやきを食うとひんやりと温かいが一緒に来て面白い感覚だ。夏に外で食べると絶対においしい。
たいやきをどこから食べるか問題がある、安藤さんは頭から、自分はしっぽからだ。このことで激論するかもしれないかと思ったが、「へーそうなんだ」で終わった。日本は今日も平和だ。
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