「林さん」による「林さん」のための廟
私以外、だれもいません。さあお堂の中に入ってみましょう。
ゴージャスな装飾!屋上にあるからといって、地上の大きな廟と比べて何ら遜色はありません。しっかりとしたお供え物もあります。
台北駅周辺の地上だと、こんなに広い廟はなかなか無い…!中庭の先にある別のお堂エリアに行くと、
このご位牌、なんと全て「林さん」のもの。ここ「林姓宗廟」は、台湾の「林氏」の先祖をおまつりする廟だそうです。
中華系の文化には、父方の血縁でつながる同じ苗字のグループ、「宗族」があります。
宗族のなかには、自分たちの先祖をまつる宗廟(祖廟・祠堂ともいう)を建てることもあるのだそう。
この「林姓宗廟」は、「林」という苗字の宗族が作った宗廟。すなわち、台湾全土の「林さん」による「林さん」のための廟なのです・・・!
当デイリーポータルZの編集長は林さんです。デイリーで書かせてもらってるライターとしては否応なしにテンション上がります。
日本だと、先祖代々のお墓があるお寺「菩提寺(ぼだいじ)」があったりしますが、ここまで「同じ苗字グループだけ!」でまとまってる施設は早々ないイメージです・・・!
左は殷の時代に、めちゃくちゃな政治をする紂王をいさめて殺された「比干」、右は比干の息子で周王朝に仕えた「林堅」。2人は林氏の始祖とされています。いや、三千年前の林さん・・・!?
宗族は、はっきりと血縁関係がたどれる人たちだけじゃなくて、「このあたりに住む私たち、めっちゃすごい祖先たちの子孫だよね」を合言葉に、特定の地域に住む同じ苗字の人がまとまるケースがあります。かなり柔軟です。
宗族はだいぶ前のコミュニティの在り方のようですが、台北駅の近くでそれを感じられるとは・・・旅行ってアツい・・・!!
強めの親孝行スピリット
林姓宗廟は林家の廟ということもあって、「家族に尽くしていこうぜ・・・!」というメッセージにあふれています。
親孝行エピソードの絵も描かれてあります。
こういうのは「がんばったんやなあ」と素直に思えますが、中にはギョッとするような親孝行も。

中華系の親孝行故事はインパクト大でドキドキしてしまいますね・・・!(ほかにも気になる方は『二十四孝』という親孝行エピソードまとめがおススメです)
純「林」でないと反応は得られなかった
たまたまGoogleマップで見てたどりついた場所ですが、なんかもう知らないこと浴びまくりでテンションあがりました。
許可取りのために事務室へ。
事務作業をしていたおじさんに「すみません、日本のライターなのですが、こちらの廟の写真付きの紹介記事でネットにアップしていいですか?」と尋ねると、「いいよ」と即答をいただきました。すこぶる早さ。
その際、私の本名が書かれた名刺もお渡ししました。一応、私の本名の苗字には「林」の文字が入っているのですが、おじさんは完全なノーリアクションでした。やはり純「林」でないといけなかったようです。
林姓宗廟は元々台北城内にあったらしいのですが、日本統治時代に大稲埕のこの場所に移動。
その後「ここに林氏のビルを建てて、屋上に廟を移そう 」という計画が立ち、民国67年(1978年)にビルが、つづいて民国70年(1981年)に宗廟が竣工したらしいです。
現在の林氏実業大楼(林実業ビル)には、チェーン店のホテルやギラギラのサウナ施設「天龍三温暖」がテナントで入っております。昔は証券会社やスーパーもあったようです。結構なんでもありで心惹かれました。
ここから
会員特典コンテンツです
この先は「デイリーポータルZをはげます会」会員向けの有料コンテンツです。会員になるとごらんいただけます。

