237号室の不思議
映画の中で237号室はとても怖い部屋である。Youtubeに237号室にトニーが入ってしまうシーンのみの抜粋があった。
この後、トニーは誰かから首を絞められた跡をつけて、お母さんのもとにやって来る。誰もいるはずのないオーバールック・ホテル……、237号室には「何かがいた」のだ。
もちろん、ホテル立山に「シャイニング」的な現象があるはずもない。ちょっとした記念として、237号室の様子を見てこよう。
非常階段を下って2階に向かった。
2階の非常ドアの横に、部屋の案内があった。
201から239の客室と、会議室、麻雀室があるらしい。
237号室もあるようだ。
非常ドアを押して2階に足を踏み入れた。
真っ暗だった。
暗さに驚いて、慌てて締めてしまった。
何だこの暗闇は。
気を取り直してもう一度ドアを開ける。
やっぱり暗い。
どうやら今日の宿泊客は全員3階に泊っているらしい。2階の営業は既に終了していたのだ。
どうする?
この暗闇の中、237号室を見に行くべきだろうか?
期せずして肝試し的な展開になり、しばらく躊躇した。
少し歩くと、全ての部屋のドアが開いている。全室、掃除を済ませているようだ。真っ暗な廊下とドアが開いてる部屋。怖過ぎる。
しかし、わざわざ立山まで来た、という気持ちの方が勝り、ゆっくりと237号室を目指した。
そして僕は衝撃的な看板を目にしてしまった。
非常階段には「201~239」と表示されていたのに、2階のエレベーターフロアでは236号室までしか表示がないのだ。
なんということだ。
何らかの理由で237号室がなくなっている。
この表示を見つけた途端、一気に酔いが醒めて全速力で走って逃げた。
急いで非常階段を駆け上り自分の部屋に入ってカギを閉めた。
ホテル立山がそういうホテルじゃないことは重々承知している。
でも、怖い。
あまりにも怖くて、この日は一睡も出来なかった。ベッドの上で何度も寝返りを打ちながら、「シャイニング」のことを考えないように努めた。