理解が深まった気がしていたのに
家で好物を作れるようになれば無敵だ。そう思って購入した素材を、じっくり味わってみた結果、なんだかよくわからなくなってしまった。でも、好きな気持ちは変わらない。変わらないのだから、もっと探究してみればいいんだと思う。とりあえずまずは、家にあるイカスミたちをじっくり味わい尽くしたい。
こんなにも飽きることがないのに、この街を離れたあと、私はどう暮らしていけばいいのだろう。そう思っていた矢先である。
さっそく帰宅後、調理をしてみた。
作り方はいたってシンプルである。
さらに、イカや白身魚などの具材を入れ、ごはんを入れ、なんとなく炒めたあとにイカスミを入れる。
ああ。この工程だけがどうしても、恐ろしい光景に見える。
おいしいのに。
混ぜれば混ぜるほど、メタリックでぎらぎらとした、得体のしれない食べものへと変貌をとげていく。
でも口にすれば、やっぱりうまいのだ。
優しい。とても優しい。羽毛布団のような、おろしたての今治タオルのような、どこまでも包み込んでくれそうな味がする。
そして少し遠くに旨みも感じる。
ところで、イカスミ単品だとどんな味なんだろう。今更なんだが、気になってきたので、ダイレクトに口にしてみたい。
あれ。えっと。たまたまこの商品だからなのだろうか。磯の香りがするとかもっとあると思っていたけど、わりと薄味な気がする。
というか……味……味はどれだ。つかみそうでつかめない。あるんだけど、ないような気がする。なんだかとても味の迷子である。
ますますイカスミのことがわからなくなってきたぞ……!
家で好物を作れるようになれば無敵だ。そう思って購入した素材を、じっくり味わってみた結果、なんだかよくわからなくなってしまった。でも、好きな気持ちは変わらない。変わらないのだから、もっと探究してみればいいんだと思う。とりあえずまずは、家にあるイカスミたちをじっくり味わい尽くしたい。
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