流すと言えば素麺
苦労のかいあって、素麺が流れてきた時の感動は格別なものがあった。皆さんも是非、今すぐ竹林に竹を切りに行ってみてはいかがでしょうか?
自宅で簡単にできますよ! (反語法)
夏といえば素麺だ。
我が家では、夏は週5くらいのペースで素麺を食べている。
ある日ふと、家で素麺流しをしたくなった。が、 うちは団地でしかも5階に住んでいる。そういう理由で断念している全国の流し素麺ファンも多いと思うが、そんなことくらいで諦めてはいけない気がする。
ということで、今回は自宅で簡単にできるステキな素麺流しをご紹介したいと思う。
※2005年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
ということで、まずは材料となる竹を取りに行った。
知り合いのお父さんに案内され、竹林に入っていく。
このお父さん、竹林に入っていく姿が実に素人離れしている。思わず知人に
「業者の人?」
と確認をしてしまったほどだ。(業者の人ではない)
我々が入った竹林はほとんど手入れしてないとのことで、竹がすごい密度で生えていた。この中から、素麺流しに適した竹を探す。
素麺流しに適した竹とは、
・幹が太い孟宗竹で
・真っ直ぐ伸びていて
・なるべく節が少ない(節と節の間が長い)
ものだ。
めぼしい竹をみつけて、切りにかかる。
生で生えてる竹を切るなんて初めてだ。
竹は意外と切りやすく、のこぎりの刃が気持ちいいくらい入っていく。
ちなみにこれ、当然だが勝手に切っているわけではない。ちゃんと竹林の持ち主から許可を得てる。
最初は水が流れさえすればなんでもいいだろうと思い、ホームセンターで雨どいのパーツなどを見ていた。が、そこに素麺を流して最終的に食べるのだから、衛生面も考慮しないといけない。となると、やはり素材は竹がベストだ。
しかし、そんな都合よく素麺流しに適した竹が手に入るだろうか?と不安を抱きつつ、なんとなく知り合いに相談してみた。すると、
「あ、うちのおやじが、竹林持ってる友達がいると言うんで。」
という具合で話が進んでいき、無数の竹の中からベスト・オブ・ベストな竹を選べるという状況に至った。やはり持つべきものは人脈だ。
ド素人の私に、「流し素麺の神様」が降臨したかもしれないと感じた最初の瞬間だった。
竹を持って竹林を出るのがまた一苦労だった。
なにしろそこら中にすごい密度で竹が乱立している。その中を、およそ2メートルに寸断した極太孟宗竹を抱えて出る。
後で写真を見たら、ランボーみたいでかっこいいな、と思った。竹を持ち運ぶランボー。
こうして、まずは台となる竹を入手した。
読者のみなさんも、まずはお近くの竹林から手ごろな竹をGETして来てください。
素麺台にするためには、次にこの竹を真っ二つに割らなければならない。果たしてうまく割れるだろうか?
ナタなんて家になかったので、このために専用の竹割りナタを買ってきた。 「若獅子、Green Communication」。
「木元竹上」という言葉あり、木を割る時は根元の方から、竹は反対に上の方から割るとうまく割れるらしい。
ただ伐採した後だと、どっちが根元側でどっちが上側か判別が難しい。竹の節の形を見れば判断できるのだが、そもそもどっちがどうだったかを忘れてしまった。
結局、
「汚れがついていて下っぽいな」
とか、そういう判断で識別した。
竹はけっこう固くて、木槌でガツンガツン叩かないと前に進まない。カーン!カーン!と大きな音がベランダに響き渡る。ちょっと近所迷惑だったかもしれない。
ナタが深く食い込むにつれ抵抗が大きくなるため、間に物(私の場合金槌)を挟んでいく。節が裂ける瞬間のパーンッという音がけっこう快感。
で、割れた。
なぜかクマと枕が写っているが、天気がよかったので日に当てて干していたものだ。(生活感あふれててすいません。)
竹の中は神秘的なほどツルツルしている。汚れがまったくついていない!まさに素麺を流すために存在しているかのような物体だ。
慣れない作業に、最初の一本目はかなり時間がかかった。時間の感覚があやふやになってくるので1時間くらいかかったような気もするが30分くらいだったかもしれない。数をこなすうちにだんだん調子が出てきて、最終的には一本15分ほどで割れるようになった。
次に節を取っていく。節は薄くてもろいので、ハンマーでガツンガツン叩けばだいたい取れる。おおよそ削ったところで、やすりで研いて仕上げをかける。
ちなみに、作業はこんな感じで行っていた。
あまりの日差しの強さにシャツなんか着てられない。
こうして、流し台が完成した。
だいぶ時間もかかったが、その甲斐あって今にも素麺が流れ出しそうな完成度の高い流し台ができ上がった。しばし、いろんな角度から眺めて悦に入る。
同様のものを全部で6コ作った。
次に、これを乗せて支える台を作る。
3本の細い竹を組んだものを2コ作り、その上に前のページで作成した流し台を乗せようと思う。
ということで、細めの竹を台1コにつき6本、合計30~40本ほど入手したいのだが…。さて、どうしよう?
と思ったら、あっさりGET!
先ほど登場した知人のお父さんが、
「こんだけあれば足りるやろう。」
と言って、さらりと集めて来てくれたのだ。(やはりぜったいタダモノではない…。)
が、サイズが大きすぎて、家まで運ぶのがまた一苦労だった。車に乗らない…。
それでもなんとか家の前まで運んだのだが、今度は長すぎてうちの団地の階段を上がれない。仕方がないので、家の前でちょうどいいサイズに裁断することにした。
がしかし、本数が本数だけに、やってるうちにこんな状況になってしまった。
↓
さすがにこうなってくると近所の人の目をごまかすことができなくなり、いろんな人から
「何を作るんですか?」
とか
「どうやって作るんですか?」
とか話しかけられる。
が、美人な奥さんからも声をかけられるので、まんざらでもない。
あと、これを家の中で展開することにだんだん不安を感じてきた。流し素麺をちょっとなめてたかも。。
竹が揃ったところで、試しに家で組んでみる。上と下の2箇所を紐で結んで三角錐を作る。
室内に持ち込むので、雑巾で汚れを拭きとる。こうやっていろいろやってると、だんだん竹に愛着が湧いてくるものだ。
ところで、NHK教育でやってる「ピタゴラスイッチ」という番組をご存知だろうか?その中で、ドミノ倒しのように様々なカラクリが連鎖反応する「ピタゴラ装置」というのが出てくるのだが、私はそれが大好きだ。
あるいはバック・トゥ・ザ・フューチャーのオープニング。目覚まし時計がなると、いろんな機械が連鎖的に動き出し、目玉焼きが自動的にできたりするやつ。
ああいうやつの流し素麺版を作りたかった。
その名も「ピタゴラソーメン」。
が、作り始めてみてわかったことは、
「流し素麺でそれを実現するのはとても大変だ。」
ということだった。
水車とか盛り込んでみたかったのだが、私は素麺台作りを専業でやってるわけではない。時間的・能力的に厳しい。
が、せめてもということで、鹿威し(ししおどし)を作って組み込んでみたいと思う。
あの水が溜まるとカッコーン!と鳴るやつだ。
鹿威しを作るには、適当な位置で竹を斜めにカットすればいい。が、回転軸を作るため、竹に穴を開ける必要がある。私の手持ちの工具ではできそうになかったので、近くのホームセンターにある工作室を借りることにした。
こういうところを利用するのは初めてだったので、
「初めてで使い方とかわからないんですが…」
と、恐る恐る店員に尋ねてみたところ
「どうぞ~。」
という回答。
しばらく「どうぞ~」の意味について考えていたが、
とにかく トライ&エラーでやってみることにした。
工作室内を見回してみたところ、「卓上ボール盤」というマシンを使えば竹に穴をあけられそうだった。
こういう一歩間違えばケガをしかねない機械をヤミクモに試行錯誤するのには抵抗があったが、15分くらい悩んであれこれやっていたら、うまく穴をあけることができた。
それも、思っていた以上に完璧なできばえ。
調子に乗って穴をたくさん開けたくなってきたが、その衝動はなんとか抑えた。
ちなみにこちらの工作室、利用料は無料だった。いい店だ。
以上で、すべての準備が完了した。
いよいよ自宅で素麺流しを行いたいと思う。
というわけで、以下が完成した作品の全貌である。
以上のようなコースとなった。
なんかもうパッと見、古代ローマの水路だ。
歴史的遺産と言っても過言ではないだろう。(過言)
が、はたして思ったとおり素麺は流れるのか?!
早速、実証してみたい。
素麺台に水を流し入れるため、浄水器のホースを延長する。ベランダに置きっ放しにしてあったホースでは衛生面が気になるので、今回のために新しくホースを買ってきた。
ホースの先端をガムテープで素麺台にセットし、水を出す。心配していた水漏れ等の心配もなく、スムーズに流れていった。感動の瞬間。
自分が作ったコースを水が流れていくのを眺める喜び。
小さい頃、砂場に溝を掘ってそこに水を流した時以来の感激だ。
鹿威しがまた完璧な出来栄えだった。
わりと適当に感覚だけで作ったのに、この完成度。
これは是非、動画で見ていただきたい。
鹿威しは、鹿だけでなく娘にも威し効果があった。
きっと喜ぶだろうと思っていたのだが、恐がってあまり近寄らなかった。
ではいよいよ素麺投入である。
台所で素麺を茹で、ボールで冷やした後、素麺台に流す。
おお!来た来た。
うまい、面白い、涼しい!
流し素麺はなんて最高なんだ!
苦労のかいあって、素麺が流れてきた時の感動は格別なものがあった。皆さんも是非、今すぐ竹林に竹を切りに行ってみてはいかがでしょうか?
自宅で簡単にできますよ! (反語法)
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