給食でまずいと思った品々は、苦行レベルとまではいかないまでも、やっぱりあまり美味しくなかった。
が、それは単に私の調理がまずかったのかもしれない。本当にうまい「カレー味の酸っぱいもやし」や「ミカンとワカメとキュウリの酢の物」に出遭ったら、また考えが変わるかもしれない。
それより、親子丼を腹いっぱい食べたい。
給食でまずかった思い出のあるメニューってなかっただろうか?
「全部食べないとお替り禁止」
というルールの前に立ちはだかる巨大な壁。
が、あれは今から思えば、単に大人の味がわからなかっただけではなかったのか?
それを実証しようと思ったが、あまり見かけないメニューだけに自分で作ってみることにした。それと、主食として「パン丼」も作った。パンで丼。過剰に主食度が高い新メニュー。
なにぶん男料理なんで突っ込みどころ満載な点はご了承ください。
※2005年9月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
まずはパン丼を作りたいと思う。
その前に、「パン丼」とは何か?
それはある日、かみさんがイライラしながら食事の仕度をしたことにより誕生した。
これはすごい!
と思い、 イライラしてるかみさんをよそに写真を撮った。
この写真を友人に見せたところ、友人も
「『苛』って感じを完璧に表現してるのがすごい。」
とコメントしていた。
芸術作品などで、怒りのエネルギーを作品にぶつけたことで生まれた傑作(「ゲルニカ」など)があるが、そんな感じだ。
で、考えた。
カツ丼の要領で味付けをし、玉子で閉じたらもっと本格的な「パン丼」が作れないだろうか?
早速、やってみることにした。
パンは、サンドウィッチ用の薄い10枚切りのものを準備。カツ丼を真似て、食べやすいサイズにあらかじめカットして載せることにする。
スライスした玉ネギを麺つゆで煮る。麺つゆを使うのは私の常套手段。だしをとって醤油などで味付けしてもよかったのだが、ラクだし間違いがないので、今回は麺つゆを使った。にしても、玉ネギの量ちょっと多かったかも。。
ネギがくたくたになったところで、パンを投入。そして玉子でとじる。かなり簡単な料理だ。
丼に盛ったご飯の上に載せて完成!
ど、どうだろう?
なかなか美味そうに見えないだろうか?(玉ネギが少し焦げてる点には目をつぶって。)
食べた感想などは最後のページにとっておき、次に、付け合わせとして給食でまずかった思い出の品に取り掛かりたいと思う。
給食でまずかった思い出のもの…
と考えた時、思い浮かぶのはなんだろうか?
私は「カレー味の酸っぱいもやし」である。
だいたい、子供は野菜が苦手だ。それを肉などでカモフラージュすることなく、ドーン!と突き出される黄色いもやし。見た目からして子供的にNGだったが、しかも驚くべきことに食べるとそれが酸っぱい。
かなり個人的な記憶で語っているため偏見に満ちた意見かもしれないが、しかし周囲を見渡しても「あれが大好物だ」と言う友達は一人もいなかった。
こいつを作ってみよう。
野菜が嫌いだったなんてのは、もはや過去の記憶。酸っぱいはともかく、「カレー」だ。実は今食べたら案外おいしいんじゃないか?
と思って作り始める。
食材のもやしは、あらかじめ「ひげ」を取ってある根切りもやしを購入。(ひげ取るの時間かかるので。)
水洗いした後、鍋でサッと茹でる。この時、軽く塩を入れる。
次に、カレー粉、醤油、オリーブオイルなどをテキトーにブレンドして、タレを作る。
カレー粉をと書いたが実際はカレー粉は使わなかった。スパイスを組み合わせてカレー粉っぽいものを作る。
「そもそもインドにはカレー粉というものは存在しない。」
と、「美味しんぼ」に書いてあったからだ。
(そういう影響はすぐ受ける。)
一時期カレー作りに凝っていたので、スパイスの調合はお手のもの。というかコレ実は簡単なのだ。かなりアバウトに入れても充分それっぽい味になる。
今回はターメリックとクミンとコリアンダーを、小さじ半分くらいずつ、それに醤油とオリーブオイルと酢を大さじ一杯くらいずつ入れた。
すると、なんだか妙にうまそうな汁ができた。
そもそも味のベースは酢と醤油、すなわち酢醤油だ。そこにクミンなど、カレーを構成するスパイスの香りがブレンドされ、すごく美味そうなオーラを放っている。
思わずかみさんにも香りを嗅いでもらい、自慢する。
このうまそうな汁を、ほぼ無味であるもやしに絡めるのだから、まずいわけがなかろう!
高まるテンションの中、2品目の「カレー味の酸っぱいもやし」が完成。
これもまた、味の感想などは最後に回し、次にもう一品、まずい思い出の料理を作ってみたい。
3つめに作るのは、これまた給食のメニューの中でかなりの強敵だった思い出がある一品、
「ミカンとワカメとキュウリの酢の物」
である。
そもそも子供は酢の物とか普通食べない。そこになんと、甘い味であるミカンがミックスされているのだ。この複雑極まりない味に、普通の小学生がついていけるはずがなかろう。
キュウリは嫌いじゃなかった。むしろ味噌をつけて食べるキュウリは大好物だった。ワカメも味噌汁などに入ってる分には何ら問題ない。ミカンは、これが嫌いな子供などいるだろうか?
が、なぜそれらをミックスする?!
・・・と、子供ながらにも疑問を感じたものだが果たして大人になった今、私の舌はどうそれを捉えるのか?
というわけで、これより自分で作るわけだが、イメージだけで作ると激しく間違ったものができかねないため、ベースとなる「キュウリもみ」の部分は料理の本を参考に作ることにした。
酢の物というのは、「三杯酢」というものを作ってそれに漬けるとできるらしい。説明に従って、まずは昆布だしを取り、それに酢、砂糖を加えて一煮立ちさせる。この面倒臭さは、「男料理」のイメージからはかなり逸脱してると言えよう。
(余談だが、アメリカンジョークか何かに書かれていた「真の男の料理とは」によると、それはバーベキューだという。材料の買出しは女性が行い、女性が火を起こし肉の焼き加減を見る。最後に男性が焼けた肉を取り皿にとって、「さあ食べて。味はどう?」と言って女性に差し出す。これが真の男の料理だそうだ。)
キュウリは塩を振って板ずりした後、薄くスライス。その後、ふきんで包んで揉む。
よくもんだ後、洗って水を切ってザルにあけたら、かなりそれらしくなっていた。
これを先ほど作成した三杯酢に漬ける。
ここまでは、私が間違ってなければ料理の本に書いてあった通りだ。
ここから先は私のイメージで手を加えていく。ワカメとミカンの投入だ。
それにしても、なぜこの組み合わせなのだろうか?特にミカン。酢豚に入ってるパインもそうだが、おかず系に紛れ込んでくるフルーツって不思議な存在だ。
みかんは、缶みかんにするか普通のみかん(この時期だとハウスみかん)にするかで悩んだ。缶みかんはシロップに浸かっているので甘さが水増しされている。味のバランスを考えると普通のみかんの方が無難な選択のように思えるが、がしかし給食の味はたしか甘かったぞと思い、あえて缶みかんを使用。
そして…。
あれ?
これもなんだか、うまそうに見えるではないか。
あの頃のまずかった思い出はやはり子供ゆえに抱いた感想だったのか?
では、いよいよ次のページにて味を確認してみたいと思う。
食卓に並んだ本日のメニュー3品。
・パン丼
・カレー味の酸っぱいもやし
・みかんとわかめときゅうりの酢の物
和か洋かと聞かれれば、これは「和」だ。パンが入ってても和。
一品一品はおいしそうだと思いながら作っていたが、こうして3つ並べてみると…私が子供だったら怒り出すかもしれない。
では、まずはカレー味の酸っぱいもやしから食べる。製作過程では、スパイスを調合したタレがかなりうまそうだったのだが…。
酸っぱい…。
「酸っぱいもやし」だから酸っぱくて当然なのだが、正直あまり美味しくない。む~ん。
かみさんにも感想を求めると、
「健康に良さそうな感じ。」
とか言ってるし…。
うん、たしかに健康には良いと思う。もやしにウコン(=ターメリック)をかけてあるんだからな。酢も健康にいいよ。(泣)
では次に、ミカンとワカメとキュウリの酢の物にも行ってみよう。
やはり、酸っぱい…。
が、意外にもみかん部分は甘くて美味しかった。みかんとキュウリを一緒に口に含んでも美味しい。
ここでもまたかみさんに感想を求めてみると…
「キュウリの揉み方が足りない。」
「味がぼやけてる。」
「酢の物は塩気が足りないと味が締まらない。」
「何か工程がひとつ抜けてるんじゃない?」
散々なコメントっぷりだ。む~ん。
作っていた時のテンションとは打って変わって、
どんどんローテンションになっていく私。
そして、いよいよ主食のパン丼。
お!これは意外といける。麺つゆで煮た玉ネギがうまい。パンはほとんど味しないけど。
そう思って食べていたのだが、またしてもかみさんが
「私はそんなの嫌だから普通のにする。」
と言って、自分で親子丼を作って食べ始めた。
うお!すごいうまそう!!
試しにちょっともらったら、すごいうまい。いくらでも食える。 バグバグバグバグバグバグバグバグバグって食いたかったところを2、3口で抑える。
うう。それに比べると私が食べているパン丼は…。
テンションがみるみる下がっていく。下がりっぷりに歯止めがかからない…。ああ、我がパン丼…。
かみさんは
「オーソドックスなのが美味しいんだよ。バカめ。」
とか言ってるし。
給食でまずいと思った品々は、苦行レベルとまではいかないまでも、やっぱりあまり美味しくなかった。
が、それは単に私の調理がまずかったのかもしれない。本当にうまい「カレー味の酸っぱいもやし」や「ミカンとワカメとキュウリの酢の物」に出遭ったら、また考えが変わるかもしれない。
それより、親子丼を腹いっぱい食べたい。
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